村上重良氏の象徴天皇観をめぐって ー 伝統との融和か、妥協なき理論主義か ー
1,序
私自身日本人として天皇陛下や皇族の方々に自然な敬愛の念を抱いており、皇室について学んで考え自分の意見を持ちたいと思い、保守派のみならず批判的論客の皇室論も読もうとするに至った。天皇のあり方への批判というのが如何なるものかを知っておき、さらに自分でその批判への批判を考える事で、この分野についての私の意見をより深みあるものにしようと思ったのである。そこで、村上重良氏の「日本史の中の天皇(講談社学術文庫)」(原本は同氏の「天皇と日本文化」)という著書を選んだ。この書が私の