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20240808 いかなごの釘煮に関する衝撃の事実

  神戸の伝統料理に関心を持ち,その後明石の伝統料理について調べて,玉子焼き(明石焼き)とたこ飯について書いてから本日いかなごの釘煮について書こうと思って調べていてびっくり。
 
「くぎ煮」って商標登録されている!

 神戸市長田区の株式会社伍魚福という会社が昭和62年から権利を持っているようです。いかなごのくぎ煮振興協会を運営していたり,「くぎ煮.jp」というHPを後悔していたり「くぎ煮検定」というこれまた商標登録されている検定なども実施されたりなど精力的に活動されているようです。
 
 なので,商標登録されている表記を使うのは避けたいなと思って「釘煮」表記にしたのですがお気づきだった方はいらっしゃるでしょうか?

 「でも,“くぎ煮”表記で商品売られていない?」と思ってYahoo!ショッピングで確認すると大量に出てきますね…これらの企業は大丈夫なのかなあと。
 商標のルールはよくわからないのですが,「くぎ煮」の商標を持っている株式会社伍魚福がその後「くぎ煮検定」という商標も確保しているし,「小春のいかなごくぎ煮」という商標も登録されているので,だめなのは「くぎ煮」単体での使用であり,「いかなごのくぎ煮」と表記すれば商標の件はクリアできるのかなと思います。
 
 ちなみに「明石焼」で検索すると商標は4件登録されていますが,「たこ焼き割烹~長いので中略~たこ昌」「俺たちの明石焼き」「おうちde明石焼!」「超ふわとろ明石焼」などで「明石焼」での登録はできておりません。
 また,「たこめし・たこ飯・タコ飯・タコメシ」で検索すると「みなとのたこめし」,「いすみ宿泊業組合の蛸めし」が出てきましたが「たこめし」などでの登録はありませんでした。
 
 ある意味「明石焼」も「タコ飯」も多くの人にとっての共有財産としての伝統料理としての認識があるからこそ,この2つの単語単体での商標登録はできないのだと思います。
 しかし「くぎ煮」に関しては商標登録がなされてしまっていて,その事実こそが,「当時くぎ煮は神戸の伝統料理と思われていなかった」ことの証拠になると思います。最近は漁獲量が激減して1日しか漁ができず価格も目ん玉が飛び出るようなものになってしまっているようので,伝統料理としてくぎ煮を扱うのはもうやめた方がよいのではと思うようになりました。
 
 おそらくなのですが,砂糖と醤油で煮詰め「佃煮」をつくる食文化は日本のいたるところにあり,神戸や明石や淡路などで漁業に携わる人たちがちりめんのかわりにいかなごを佃煮にして食べてはいたのでしょうが,それは地域の伝統食品という感覚ではなく「佃煮の一種」的な感覚だったのではと思います。
 それが,漁業に関係のない市民全体がそれぞれの家庭でオリジナルのレシピを考えながら自作するようになり,かつ全国的な知名度も上がっていくことで神戸近隣の伝統食品として認知されるようになった要因としては,複数の箇所で書かれていましたが「震災への支援のお返しとしていかなごの釘煮を送ることが多かった」というのが関係しそうだなと思いました。

 なんというか,震災への支援のお返しに神戸牛やらフロインドリーブのクッキーとか返すのは「なんか違う」という感覚が出てくるような気がします。でも,そんなときに各自の手作りの「いかなごの釘煮」をお返しすると,生活頑張っていることを伝えやすい感じもあって選ばれたのではと思います。そういえば震災前後は関東にいた私ですが,結構長い間親からタッパーにみちみちに詰められたいかなごの釘煮が送られてきて,一人暮らしでご飯をあまり炊かない食生活だったので食べ切るのに難儀した記憶があります。

 震災から来年で30年,復興に予算が取られなかなか新しいことにお金を使えず伸び悩んでいた神戸ですが,ようやく三宮周辺の再開発も本格化してきだした流れに乗っていかなごの釘煮ではない新たな「神戸の伝統食品」を再発見する動きがあっても良いのかな~などと思いました。
 パンの消費価格は神戸市が一番らしいので「神戸っ子ならではのパンの食べ方!」を再発見したり,それが無理なら「神戸では自宅でメロンパンに白あんを挟んで食べていたんです!」みたいな嘘歴史を作ってみたりしましょうか(笑)。

 書誌情報をつけるのを忘れたのでCiNiiで「くぎ煮」ではなく「釘煮」で検索すると以下の文献が出てきました。
 
【書誌情報】
森田智子・江川隆子・笠岡和子・神谷千鶴・西村めぐみ・原田美穂子・服部直子・東 美鈴・出原弥和 2021 A町内会の高齢者の老人力(知恵・経験・技)に関する実態調査-県民運動実践活動より-. 関西看護医療大学紀要, 4(1), 14 – 22.

 調査対象者が兵庫県内のP市のA町内会の65歳以上327名なのでどの地域かわかりませんが,関西看護医療大学は淡路にあるので淡路のどこかかもしれません。

 そこで行われたアンケート結果をみると…圧倒的にいかなごの釘煮が伝統料理としてあげられていたので,やはりいかなごの釘煮は大事にしないといけないなと反省しました。
 

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