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土や水|純粋な動機を問う|わたしの豊かさ#8

千川上水の思い出

東京に住んでいたころ、家の近くに千川上水という小川がありました。
緑豊かで、季節の草花で溢れ、魚も泳いでいる本当に素晴らしい場所でした。
子供が生まれてからベビーカーで毎日この小川を散歩しました。
この川沿いには日替わりでパン屋さんや惣菜やさんがセンス良くひっそりと営業されていたのと、川の先によく遊びに行くお友達の家や子育てひろばがあったので、寒い日も暑い日も、ここを何度も往復しました。
季節ごとに家族で記念撮影をしたのもいい思い出です。

桜が満開になると、花びらが雪のように舞って、川を流れていきます
四季折々の草花が何種類も溢れています

ここだけは東京ではないかのようでした。ここがあったから5年も住めたのだと思います。

ここに住むあらゆる生命たちを見ていると、この小川を、土を、汚したくないなと思いました。日本の下水処理技術は高いそうなので、家庭の排水が直接この小川に流れ込むことはないかもしれませんが、意識してみようと思いました。

水や土を汚さない工夫を5つ

SDGsやエコを大義名分として意欲的にSNSで発信していた時期がありました。会社員時代、200人くらいが参加する集会で高らかにそんな発言をしたこともありました。
大事なんだけど、わたしの場合、ちょっと無理していたと振り返っています。「あの発言よかったよ」と代表や他部署の上役の方に声を掛けて頂きましたが、自分としては反省してます。

自分がどこかで無理をすると、巡り巡って結果水だけでなく、あらゆる自然(人間も含めた自然)に負担をかけることに繋がるような気がします。

堅苦しく考えず、他者への喚起でなく、最初に思った「この綺麗な小川をいつまでも見ていたいな」という些細な、純粋な気持ちだけ大事にしていよう、と思いました。

水や土を汚さない工夫っていろいろあります。完璧は難しいですが、我が家の取り組みの一部を紹介します。

1.食器洗い洗剤は基本つかわない、ウエスでふき取って重曹とセスキ炭酸ソーダ

2.油は菜種油や米油など自然な油を使う

3.洗濯洗剤は竹炭の洗い水、洗濯マグちゃん、甘夏みかん洗剤

4.石鹸・シャンプー・リンスつかわない、湯シャンにする

5.歯磨き粉つかわない、なすの黒焼きと塩をブレンドした手作り歯磨き粉

3年以上自然に続いていて既に習慣になっている生活の一部です。ひとつずつ、いろんなことを調べながら、水や環境への負担はなるべく自然なかたちで、最小限にしていると思っています。
他にも蜜蝋ラップとか、スポンジはヘチマとか、ティッシュは使わず晒し布、などありますが、ここでは5つに絞りました。

こうすると、ドラッグストアへいくことがほぼ無くなります。
掃除に関しては、重曹、セスキ、クエン酸があればほぼ問題なく、唯一使っている甘夏みかん洗剤は手作りされたものを、直接購入しています。
湯シャンについては人によっては眉をひそめる方もいらっしゃるのではと、正直書くことを躊躇しなかったこともないのですが、全くシャンプーしないわけではないです。わたしも息子も肌が敏感で、特に息子は赤ちゃんの頃はよく荒れていたのですが、頭も身体もジャバーとお湯だけ、お風呂をでてからもなにも付けないでいたらすぐに健康な肌になりました。肌をおもって湯シャンを始めたわけでは無かったのでラッキーでした。あと、ラクです。

熊本を選んだのは、土と水

当時、東京で食にもこだわり始めたわたしは、無農薬無肥料・自然栽培の野菜や穀物、古来からの伝統的製法の調味料を買い集めていました。
そのとき、様々な販売店さんから取り寄せる野菜や商品の原産地を見ると、圧倒的に、熊本が多かったのです。
このようなお米や野菜は肥沃な土で作られるのだろうな、土が良いということは、水も清らかなんだろうな、と思いました。
日本全国、豊かな風土を持つ地域はもちろんたくさんあると思いますが、この時は熊本への想いでいっぱいでした。

そして、移住するからには最低限の礼儀として、その土地の土と水を汚さない意識と敬意を持ち続けよう、と思いました。

感動の土と水

熊本の移住先では、30年以上無農薬無肥料で作物を育てている畑を貸してくれる場所を見つけました。というかここで畑がしたいがためにその近辺で仮住まいのアパートを探しました。それが今の家です。

早速地主さんに問い合わせると、ずっと自然農なのは一区画だけ、その区画は自然農でやりたい人のために取っておいたんです、という場所を借りられることになりました。
早速畝をつくると、土のなかから出てくる大量のミミズや虫たち!!
東京でも畑を借りていましたが、こんなにも魑魅魍魎が悠々と暮らす豊かな土ははじめて見ました。当然土もふかふかです。耕す必要はないな、と思いました。手間をかけなくても、美味しい野菜が自然栽培で育ってくれます。

息子は虫たちに遊んでもらっています。
立派なジャガイモが育ちました。息子はやはり虫に夢中。

そして水。
近所には湧水の汲み場がたくさんあります。
熊本で生まれ育った方からしたら当たり前なのでしょうか?こんなにも水が湧いているなんて、本当に驚きです。阿蘇山の恵みですね。
いろんな場所を巡って湧水を飲んでみて、ここのお水からはどうしても離れられない、と思うほどの湧水を見つけました。
その湧水を毎週汲みに行って、飲み水と料理にはすべて湧水を使っています。贅沢です。ほんとうにありがとうございます。いまはこの湧水の周辺地域で住むための土地を探しています。

湧水の付近に広がる美しい棚田。

都市を出るまで、水も作物も、そして土地も、自然が無償で与えてくれているものだと気付きませんでした。
本来誰のものでもないものに、高い価値をつける都市というシステムにも気付きました。

土と水に対するちいさな純粋な動機から、暮らしや住む場所の探求がはじまり、大きく変化しました。自然に敬意をもって、自分も自然の一部として共生していくことが、居心地よく暮らしを営むうえで欠かせないものであり、わたしの考える豊かさに繋がっています。

この記事は2023年の「豊かさ」に必要な8つのことの中の
1.居心地のいい家の材料:土や水をなるべく汚さないについての内容でした。元になる記事はコチラ▼

明日からは新章 【好きなものに囲まれる】に入ります。「スキ」って一番分かりやすいものさしだと思います。そして「スキ」を丁寧に手繰り寄せていくことが人生において重要なヒントになっていると思います。
まずは #9【使いやすい・愛着がある】について書きます。


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