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風通しと光|価値の指標|わたしの豊かさ#5#6

どんな家でも慣れる

風通しが悪い、光もあまり入らない、おまけに常に騒音があり、雨の日は排水溝の匂いがあがってきて、通りに面したベランダは排気ガスで黒くなって洗濯物が外に干せない、床が平らじゃ無くて傾いていたり盛り上がっていてトイレのドアが床に擦れる…
という家賃13万円のお家に住んでいた話について書きたいと思います。

場所は東京、三鷹駅までバスで20分ほどの利便性のよい住宅地でした。
名古屋に住んでいたわたしは東京にいたパートナーと一緒に住むための家を探していて、写真と動画のみで判断しました。3LDK59.36㎡、間取りも設備も申し分ない一見とても綺麗なマンションだったからです。

しかし、引っ越しを住ませた夜、深夜も絶えず走る車の騒音でなかなか寝られず、寝不足が続きました。わたしは耳が良くて、超音波のような電子音も気になっていましたが、次第に慣れてきて寝られるようにはなりました。
途中、大きなスーパーが目の前に建ち、搬入出庫のサイレンが常に鳴って更に騒がしくなりました。遊びに来た友達が「なに?ずっと電話鳴ってる?」と言っていましたが、わたしたちには日常でした。

その他の残念な点も、やはり慣れてくると、まあ仕方ないし、と嫌な気持ちを無かったことにするのが無意識に上手くなっていました。会社までの1時間半弱の満員電車も、慣れました。

慣れが解けるとき

その家に3年住み、子供が生まれました。
子供というのは、本当に価値観を大きく変える存在です。

産休育休で社会と離れ、一気に暮らしにフォーカスするようになりました。
赤ちゃんとの生活は、ほとんどの時間を家で過ごします。
心地よく過ごす家を、ちゃんと本気で考えられるようになったのはこの頃で、それまで固く蓋をしていた感覚とか感性とかを認識できるようになりました。「感じる」という能力を封印していたのだと思います。

それから家がどんな風だったらよいか細かに書き出すようになりました。そのときに一番大切だと思ったのが「光」と「風」でした。
洗濯物を外に干せない、窓も開けられない、開けても風が入らないというのが一番の残念だったからと、一日のうちに唯一光が差し込む朝の1~2時間がだいすきだったからです。

唯一光が差し込む朝の時間。子供が「光をつかまえてる」と教えてくれました。
「お母さんも一緒につかまえよう」と言われて、光をつかまえたところです。
1階でベランダすぐ外に車が走っています。植栽は綺麗だった。洗濯物はいつも浴室乾燥でした。

モノの価値はほんとうにお金では測れないと気付いたとき

よく言われることですが、東京の地価は異常なほど高いです。資産税の仕事をしていたとき、いつも思っていました。
ちなみに当時住んでいた地域の路線価は32万/㎡、銀座だと4000万/㎡を超えます。一方熊本の一番高い地域で約200万/㎡、現在住んでいる地域では路線価がついているところでも3万/㎡くらいです。(路線価のない倍率区域が多いです)
比例して、現在は東京の家より少し広い3LDKに住んでいますが、家賃はその半額以下です。しかし東京の家の残念なところを全てクリアして一日中光が入る、風通しのよい家で、山々を見渡し朝日と夕日を眺め、夜は静かで星も綺麗です。お金という指標で価値を決めるなら、今の家のほうが家賃が高くても納得がいく環境です。

ただ、5年くらい前のわたしは、商業ビルの立ち並ぶ一等地に建つ、8000万とか1億とかする無音で無機質なタワマン億ションに憧れていました。
なにに価値を見出すかは人それぞれで、尊重したい大切な豊かさの材料ですが、お金という指標と本来の豊かさを勘違いしていたので、惑わされてはいけないとよく実感した体験が今回の記事でした。

あの東京の家に住んだからこそ価値の指標に気付き、今の暮らしがあると思います。

この記事は2023年の「豊かさ」に必要な8つのことの中の
1.居心地のいい家の材料:風通しがよい光が入るについての内容でした。
元になる記事はコチラ▼

明日は#7【空が見える】について書きます。
いまの家に住んでから、はじめて家から空が見えるようになりました。
そのことがあまりに幸せで、それを噛み締めるような記事になりそうです。


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