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T先生の算数課外授業

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算数(時には数学)っておもしろいんだ、勉強って楽しいんだと、子どもに感じてほしい。  そこで、T先生(私)とその周りの人たちが、算数(時には数学)にまつわる話をしながら、自らの世…
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#教育

【第14話】数字をうまく使え!②

こう「僕らでもうまく数字を使うことができるの?」 T「できるよ! たとえば、テストの点数が上がったことを伝えたいときとか?」 りん「70点から90点になったよ! って言えばいいのか!」 こう「テストの点が20点上がった! でもいいかもね!」 T「そうだね。 あと、クラスの活動でも、 僕の意見に賛成する人が20%も増えた! とか言うと説得力あるね。」 りん「スーパーでも、○○%引きって強調してるよね。」 こう「テレビの通販番組でも、○割引!って何回も聞く。」 T「

【第13話】数字をうまく使え!

前回も述べたが、T先生はソース顔である。 こう「先生って、ほんまにソース顔だよね。」 T「10人中8人には言われるね。」 りん「私の好みは塩顔だけどね。」 T「たしかに! 最近はカッコいいって言われなくなったなぁ。」 こう「どれくらいの人が先生のことカッコいいと思っているんだろうね。」 T「実は先生の高校で調査したことがあるんだ。」 りん「そうなの?」 T「これを見てみて!」 100人に聞きました。 T先生のことカッコいいと思いますか?  ○そう思う   

小学生の全国共通の行動【第4話の補足】

ツッコミは関西の文化であるが、この小学生に見られるツッコミは全国共通である。 この話でもあったように、 小学生は「習った/習っていない」に対して本当に厳しい。 小学校4年生に対して、うっかり「消費税」と漢字で書いてしまうと、 「その漢字まだ習っていません。」 と反射的にツッコミが入る。 中には、 「先生、その"しょうひぜい"という漢字まだ習っていません」 と読めているのにツッコミが入る。 逆に、習った漢字をひらがなで書くと、 「先生その漢字もう習っています

【第8話】世界は算数でシンプルに表せる

りん「昨日の晩は、雷がすごかったね。」 こう「夜中に目が覚めちゃったよ。」 T「雨もすごかったなぁ。」 りん「そういえば、雷って光ってから音が聞こえるまで、時間がかかるよね。」 こう「光の速さのほうが音の速さより速いから、そうなるんだよ。」 T「お、よく知ってるやん。」 こう「担任の先生が言ってた。」 りん「昨日こうくん担任の先生にめちゃめちゃ怒られていたよね。」 こう「担任の先生の雷は、怒ったらすぐ怒鳴り声が聞こえてくるんだ。雷みたいに遅れてきたら逃げられる

【第7話】上下関係に悩んでいる君へ②

前回の話より続く 2人は、次の大きさの三角形を書いて、辺の長さを測っています。 りん・こう「あれ、これはおかしくない?」 T「なにかおかしいことあった?」 りん「これだって、ななめの14cmのところ14cmじゃないよ。」 こう「14.1cmより少し長い。定規では測れない。」 T「何を言っているんだい? ここは14cmだ。」 こう「いや、そんなことないよ」 T「それ以上言ったら、処刑だよ。」 こう・りん「えっ!!??」 T「ごめんごめん。2人の言っていること

【第6話】上下関係に悩んでいる君へ①

こう「あー、月曜日が憂鬱だなぁ。」 T「どうしたん?宿題がまだ終わってないの?」 りん「いつもね、1週間に1回、なかよし会といって1年生から6年生まで20人ぐらいで遊ぶ時間があるんだ。」 こう「でも本当は、僕はいつもサッカーをしたいのに、6年生が鬼ごっこやりたいと言ったら、4年生の意見は通らなくて、6年生の意見ばっかり通ってしまうんだよね。」 T「なるほど、それは大変だね。毎回ではなくても、時々はサッカーやりたいよね。」 りん「算数にも、そうやって年上の人の言うこと

【第4話】一瞬で求められる消費税

このエッセイは子どもと一緒に算数を学ぶことができます。「」の部分は,お子さんの考えや発言を入れて、ぜひ一緒に読んでください。 そのため、今回の文章はひらがなが多くなっていますが、大人の読者の方にはご理解いただけたらと思います。 このお話には、小学生のりんちゃんとこうくんと たまたま近くをとおりかかった高校で数学の先生をしているT先生との物語です。 あなたもこの3人といっしょに話をしているつもりで、「 」の中には自分のセリフを入れて読み進めてみましょう。 T先生がスー

【第3話】1リットルの牛乳パックの中身は何リットル?

 T先生の日課は、毎朝牛乳を飲むことである。1Lの牛乳パックと朝ごはんになるようなおかずを買い、家に帰ろうとしていた。  先ほどの公園をもう一度通りかかったとき、2人がまた声をかけてきた。 りん「さっきの問題おもしろかったね。」 こう「最後は、9だけになるんだね。」 T「ふたりが算数の不思議な性質に触れてもらってよかったよ。」 りん「そういえば、計算は役に立ったことがあるけど、図形も日常生活の役に立つの?」 こう「たしかに。面積とか求める機会ってあんまりないなぁ。

【第2話】虹色の数

(この話は、紙と鉛筆を持って一緒に計算して読んでいくと、よりお楽しみいただけるかと思います。) こう「砂場に虹があるの?」 T「そうなんだ。ちょっと今から言う計算をしてもらってもいい?」 りん「うん」 T「142857✖️1」 りん「こんなの計算しなくてもできるよ。」 T「これはそうだね。でも、式と答えを書いといて。」 2人は同時に砂場の真ん中にしゃがみ、人差し指で砂場の砂を掘り、式を砂に書き始めた。     142857✖️1=142857 砂場の真ん中に

【第1話】なぜ算数を学ぶの?

 今日は土曜日。  T先生の朝は遅い。時計の長針と短針が重なり合う時間に起きる。  朝ごはん(?)を準備しようとしたが、あいにく冷蔵庫の中は空っぽ。重い身体を仕方なく動かし、近くのスーパーへ向かうことにする。  さっきまで雨が降ったのだろう。地面が濡れている。それが嘘のように今は太陽にさんさんと照らされている。  公園の前を通りかかったとき、2人の子どもたちの声が聞こえた。いつもここで遊んでいる小学校中学年くらいの2人。おそらくご近所さんであろうが、まだ挨拶すらしたこ

【Prologue】はじめてご覧になる方へ

 高校生に「数学のイメージは?」と聞くと、「難しい」「嫌い」とネガティブなイメージしか返ってきません。学校現場に関わっていますが、特に勉強が苦手な生徒ほどネガティブに感じているようです。学校教育の中では無理はないかもしれません。1年にここまで進まないといけないというノルマがあるため、教師側も余裕がなく、どうしても詰め込み型の授業になってしまいます。  だからこそ、 算数(時には数学)っておもしろいんだ、 勉強って楽しいんだ と、子どもに感じてほしい。  そこで、T先生(私