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【第7話】上下関係に悩んでいる君へ②

前回の話より続く

2人は、次の大きさの三角形を書いて、辺の長さを測っています。

スライド3

りん・こう「あれ、これはおかしくない?」


T「なにかおかしいことあった?」


りん「これだって、ななめの14cmのところ14cmじゃないよ。」


こう「14.1cmより少し長い。定規では測れない。」


T「何を言っているんだい? ここは14cmだ。」


こう「いや、そんなことないよ」


T「それ以上言ったら、処刑だよ。」


こう・りん「えっ!!??」


T「ごめんごめん。2人の言っていることは大正解。」


こう「なんだぁ。よかった。」


りん「処刑ってどういうことかと思った。」


T「昔の時代,みんな14cmだと思っていたんだ。
でも2人と同じように, 14cmよりも少し大きいんじゃないかよ発見した人がいたんだ。」


こう「すごいじゃん。その人はヒーローだね。」


T「いや,それが処刑になったんだ。」


りん「なんで?」


T「この時代,世の中のすべて数は分数で表されるとされていたんだ。
でも,実際の長さは
14.142135623730950488…
で、この14cmより大きい分をどうしても分数で表すことができなかったんだよね。」


こう「分数で表せなかっただけで処刑になるの?」


T「そう。この世の数字は、分数で表せない数字はないと偉い人が言っていたから、
その考え方に背くような者は処刑の対象になったんだ。
だから、本当はさっきの2人みたいに『14cmよりも少し余る』と気づいた人がいたかもしれないけど、
処刑されるから誰も言えなかったと言う人がもっといたかもしれないね。」


りん「今の時代に生まれてよかったよ。」

T「ちなみに,この数はルートといって,中学校で習うから楽しみにしていてね。」

こう「いや,月曜日のなかよし会と同じくらい楽しみじゃないよ。」

T「そうだな。なかよし会の問題があったな。」

りん「中学校の部活でも,大人になって働いてからも優しい先輩ばかりがいいな。」

こう「言いなりにはなりたくないよ。」

T「不安になることはないよ。なかよし会は,年上の人が偉いとなってしまっているけど、これからの社会はそうでもないかもしれないね。」

T先生は続ける。

T「昔の日本だと,何が何でも年上の人が偉かった。家族だとお父さんが一番偉かった。でも,今は少しずつ変わり始めている。

コンピュータの進化で目まぐるしく時代は変わっている。しかも,今のコロナウイルスみたいに予想もできない状況にもなる。
そんなとき,【今まで通り(現状維持)】というのが通用しなくなってきているんだ。

学校だって,毎日通わなくてもある程度はオンライン授業でなんとかなることも多いよね。

だから,これからは偉い人ではなくて,今の時代に合っている考え方をできる人が重要になってくるんだ。

大人の中にも,年上の言うことが偉いという姿勢の人もいるけどね。もちろん,年上の人をバカにするのがいいわけではない。しっかり敬うことは必要だ。
でも,意見とか考え方とかは,偉い人の言うことに従うだけだと,どこかで限界が来る時代なんだよね。

だから,今回のなかよし会は少し苦い思いをしているかもしれないけど,
自分の意見を言うことをあきらめないでほしい。」

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