クレーム・パティシエールって、なんだ?[クリーム編vol.2]
みなさんも大好きなはず、カスタードクリームにまつわるあれこれを紐解くお話。
今回のテーマは、クレーム・パティシエール。
見習いパティシエ、真白けいと共に楽しんでいきましょう。
Crème pâtissièreって、なんだ?
まずは定義を見てみます。
想像してみましょう…。
甘くて、卵と牛乳のコクとミルキーな香り…。
そう、英語ではカスタードクリーム、フランス語ではクレーム・パティシエールです。
黄色い、コクのあるクリームです。
そう言われれば馴染みがありますね。
カスタードが、わからない。
一つ、ここでお知らせがあります。
厳密には、
カスタードクリーム<カスタード
(カスタードの中のカスタードクリーム)
らしいです。
ただ、調べていて正直僕も混乱したのが、「カスタード」についてです。
誰かが「カスタード=卵、牛乳を混ぜたもの」
だと言えば、
別の誰かが「カスタード=卵、牛乳、砂糖を混ぜたもの」
だと言ったり、
「加熱するものだ」「単に混ぜたものだ」
「香料が入る」「いや、入らない」
「カスタードクリーム、略してカスタードだ」
などなど。
プロにわからないことが、どうして見習いにわかろうか、いやわからない…。
詳しくは後で述べますが、カスタードとは古くからの付き合いなので、さまざまな解釈が生まれたのも当然かもしれません。
実はその中に、見習いパティシエが覚えておくべき、とっても大事なクリームがもう一つあります。
Crème anglaiseって、なんだ?
紹介しましょう。
文字面だとわかりにくいですが、先に紹介したクレーム・パティシエールとの違いがわかるでしょうか。
こっちの、クレーム・アングレーズには小麦粉が入っていない、です!
2人ともカスタードファミリーですので、とっても似たもの同士ですが、個性があって、活躍の場もちょっと違います。
クレーム・アングレーズの方が液体っぽいみたいです。
たしかに、シュークリームの中からサラサラのソースが出てきたら食べづらいどころの騒ぎではありません。それでフランス菓子では裏方として暗躍しているんですね。
なぜ小麦粉が入ってると粘りがあるのかについては、糊化という現象が関わっていまして、それについてはまたちゃんとお勉強します。
続いては、それぞれのクリームをもっと知るために、名前の由来を調べてきました。
クレーム・パティシエールの由来
まずはフランス語の名前の意味をご紹介します。
「じゃあ他のクリームはなんなんだ」「例えばクレーム・シャンティイとかはパティシエじゃない人たちのクリームになるのか!」
と思いませんか?
どうでしょう。
ここで、みなさんに3つの事実をご紹介します。
3つの事実は、繋がりを持って残されているわけではありません。
しかし、少し考えました。
もしも、このクリームが、歴史上パティシエにとって1番最初に扱ったクリームだとしたら?
それはこんな王道ストレートな名前をつけるのではないでしょうか。他のクリームは、その後で誕生し、それぞれの個性に因んで名付けられたと考えることもできます。
そこで、想像を交えて一つ流れを作ってみました。
[想像]古代ローマ以前から、卵を加熱すると固まり、安全に食べられることがわかった
↓
[事実]古代ローマ、卵と蜂蜜と牛乳のTyropatinamが食べられる
↓
[想像]Tyropatinamが原型となり、卵と牛乳でのちに「カスタード」と呼ばれるものができていく
↓
[想像]ヨーロッパ各地に伝播する
↓
[事実]フランスで粉ものを扱うパティシエという存在が生まれる
↓
[想像]パティシエの作ったパイやタルトの生地にカスタードを流して焼くため、それも
パティシエの仕事だった
↓
[想像]パティシエが、生地を扱うように、カスタードに小麦粉を加えて加熱してみた
↓
[事実]17世紀頃、卵、牛乳、小麦粉を加熱して作る濃いソースがクレーム・パティシエールと呼ばれる
↓
[想像]砂糖が簡単に手に入るようになり、デザートに使うクリームとして甘いクレーム・パティシエールが作られるようになる
いかがでしょうか。
誰が作ったとかじゃなく、いろんな人たち、いろんな場所で、いろんな状況で、創意工夫を重ねて育まれてきたクリーム。それがクレーム・パティシエールではないか、って思いました。
カスタードとその由来については、本当にいろんな人がいろんなことを言っているので、あなたもぜひ考察してみてください!
クレーム・アングレーズの由来
まずは名前の意味をご紹介いたします。
なんでイギリスなんだろう…。
そう思って調べました。でも、あまりにも情報が少なくて、調査は困難を極めました。
僕が得られた情報は2つだけです。
さあ、どうでしょう。
なんとか見つけたもので少し情報が弱いのですが、僕はこれらを信じるしかありません。
想像力で繋げてみます。
[事実]1828年、クレーム・フランセーズという澱粉で作ったクレーム・パティシエールが考案される
↓
[事実]エスコフィエがイギリスを訪問する
↓
[想像]イギリスではカスタードそのままのような液体を料理に使ったりするのが一般的だった
↓
[想像]それを知ったエスコフィエ、クレーム・フランセーズから澱粉を取り除き、とろみのある軽くて甘いソースをデザートに使う
↓
[想像]エスコフィエのもとで働く料理人、それを学び、イギリスの風土に合わせて作ったクリームをイギリス風と伝える
↓
[想像]シンプルなソースなのもあり、のちにクレーム・アングレーズと呼ばれるようになる。
我ながら苦しい。
もっといい情報があったりとか、考察をされた方はぜひコメントで教えてください!
クレーム・パティシエールを炊くのは見習いの新人の仕事なんですが、パティシエはこのクリームが大好きなので大量に作る上に、小麦粉が入るので粘りがあり、焦げないように混ぜ続けるのはとっても重労働なのです。
それに比べてクレーム・アングレーズはサラサラとしていて、混ぜ続けるのも割と容易なんです。
そんな見習いの所感も入れた想像になりました。
さて、ここまで読んでいただけた方はパティシエとクレーム・パティシエールの関係性と長い歴史を感じていただけたのではないでしょうか。
粉が入り火にかける、生地のようなクリーム。
パティシエにとって、こいつはやっぱり特別な存在です。
あなたも、洋菓子屋さんに行った際には、1つシュークリームを頼んで、その店の職人の腕と愛を確かめてみてください!
ということで今回は以上です!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
次回のテーマは…
「クレーム・ディプロマット」
※この記事で紹介している内容は上記の参考文献をもとに作成したものです。諸説あるものは一部のみ紹介しています。また、新たな事実を勉強し次第、追記・編集する場合があります。