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ISO30414認証取得への道(その2)
前回は、以下のISO30414認証取得にあたってのポイントの内、「取得目的の設定」についてご紹介しました。https://note.com/masayukiima/n/n89a4a2fef67b
今回は、
1.取得目的の設定
2.推進体制の整備 →ココ
3.認証取得時期の見極め
4.人的資本の情報開示媒体(ヒューマンキャピタルレポート)の位置づけ
5.経営との連携
この内、2について書いてみます。当初は3もご紹介予定でしたが、思いのほか長くなったので次回に回します。
ちなみに、上記の5つのポイントの順番は、必ずしも優先順というわけではありませんので、各社の状況に応じて取り組む順番や注力する点等は検討頂ければと思います。とはいえ1はやっぱり最初でしょうか。
どの部門の誰がリードするか
まず、推進体制を考える上での前提条件として、現状の組織体制において「人事」という業務(機能)がどういう役割分担になっているか、また今回の「人的資本の開示」というようなテーマをどの組織の担当か、という点は各社各様だと思いますので、やや一般化して整理しています。
後者の点を少し補足すると、いわゆる「情報開示」の話なのか、人事戦略を進める上での取り組みなのか、によっても、進め方が大きく異なるのでその点は前回ご紹介した「目的」をどう置くかということにも大きく関わってきます。
その上で、第一に「誰が取り組みをリードするのか」は超超重要です。ISO30414で定める11項目58指標を見て頂くとわかりますが、いわゆる人事関連以外のデータも対象となっているので、ISO30414のような取り組みに興味をお持ちの企業のほとんどは、人事部門だけではデータ作成ができないと思われます。
ですので、「どの部門が」ということに加えて、どういった方がリード役になるのか、という点もその後の仕切りや進め方のスピード感にもかなり影響します。もちろん、「ベテランが良くて若手がダメ」ということではないので、早めに関係部署を巻き込むアクションを行い、推進チームの役割分担を整理して、こうした取り組みのどのあたりがボトルネックとなりそうかをよく見極めた上で推進体制を検討されるのが良いと思います。
理想としては、関係部署/関係者に対して、
取り組みの認知→理解→共感
といったプロセスを踏みつつ進められればベストではありますが、多くの企業ではそんなに簡単に進む話しではないと思いますので、取り組みを進めて行くにはかなりの時間を要することは覚悟しておいた方がよいでしょう。
細かい話としては、この取り組みのためにデータを新規に取得する場合に、例えばその担当部署/チーム/メンバーの業務繁忙期等も考慮して進めることも、その後の取り組みをより円滑に進めるためには必要なポイントです。
ISO30414の認証取得は内製できるか?
次に、推進担当者の知識レベルについてです。
ご承知の通り、ISO30414のガイドラインでは、11項目58指標について細かく算出式が定められていて、そうした知識を正しく理解していることを証明する資格として、日本における認証審査機関であるHCプロデュース社が認定する「ISO30414リードコンサルタント/アセッサー」という資格があります。資格を取得すると正式にISO30414導入のコンサルティングやサポートを行うことができることができます。(詳細は以下にも書いてます)
日本ではなんと約1000人もの資格保有者がいるとのことで、人材サービスを提供する多くの会社がISO30414の認証取得の支援サービスも提供していますので、そうした会社に推進役を委託することで、その後の現状分析(Fit&Gap分析)等は円滑に進められます。
(その場合でも、もちろん社内の推進担当者を必要です)
一方で、内製は可能なのか?という点ですが、超個人的な見解ではありますが、社内にリードコンサルタント資格保有者がいない場合は、完全内製はほぼ無理だと思います。前述のとおり、ISO30414のガイドラインでは算出式が細かく定められていて、あわせてその具体的な解釈はガイドラインだけでは判断付かないような例もあります。HCプロデュース社の講義ではそうした実務的な点もレクチャーしてもらええますが、独学でそうした点を関連するサイトで勉強することも可能かもしれませんが、やはり現実的ではないと思います。
では、リードコンサルタント資格保有者が社内にいれば内製が可能か?という点ですが、ここは結構微妙です。というのも、実際のデータ収集/作成、可視化、開示ストーリー作りというプロセスにおいて、人事(それぞれの担当業務)の実務的な知識を要する局面が多々あり、単なる算出式を当てはめる、ということ以外の知識や判断は、狭義の意味でのリードコンサルタント資格の知識だけでは、正直不十分だと感じます。
このあたりは、すべてここでは書ききれないのですが、例えば、データの有無だけで判断せずに、ISO30414のガイドラインに準拠しつつ、データはないけどこういうデータで代替することは可能かも(またはこの解釈でいいよね)、といった判断をしていくことも多くなるので、すべての業務に精通している必要はもちろんないのですが、この領域に一定の土地勘があった方がより円滑にかつ効果的に進められると思います。特に会社規模が多くなければなるほど、ここの難易度は高くなりそうです。
あくまでも個人的な見解であって、認証取得した企業の体制をすべて確認したわけではないので、その点は加味した上で、参考にしてなさってください。
次回は、「認証取得時期の見極め」のポイントをご紹介する予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。