見出し画像

「わかったさん」はゴルゴのように続く

前回が「秋の味覚アイス」の話だったからというわけではないのですが、今回は「わかったさん」シリーズについて述べます。
(冒頭画像はあかね書房公式より引用。)

『わかったさんのスイートポテト』

『わかったさんのスイートポテト』が新作として今月(2024年9月)発売になっています。
新装版や復刻版でない、最新作です。

33年ぶりの新作です。

何故か「わかったさん」でなく「こまったさん」のほうがX(旧Twitter)のトレンドだったようです。
(私はリアルタイムでは追っていません。)

「こまったさん」のほうでも新作が出て欲しい、という期待が多かったものと推察されます。

上記リンクにはこうあります。

昭和から平成にかけて子どもたちを夢中にさせた『わかったさん』シリーズ。待望の新作発売のニュースを受けて、Twitter(現X)には喜びの声が続々届いています。

そのいっぽうで、なぜか、わかったさんではなく「こまったさん」がトレンド入り。

『こまったさん』とは、寺村輝夫さん×岡本颯子さんによる人気お料理童話シリーズ。タイトルが似ているため混同してしまうのですが、わかったさんはお菓子、こまったさんは料理をテーマにしています。

上記リンクより筆者引用。

こまったさんとわかったさん

こまったさんとわかったさんの違いを、もう少し詳細に示しているのは以下のリンクです。

二人の違い、分かりましたか?
まず一番の大きな違いは、「こまったさん」が教えてくれるのは、お料理の作り方、「わかったさん」が教えてくれるのは、お菓子の作り方なんです。

上記リンクより筆者引用。

どちらもレシピ本として名高く、お話の中心にお料理やお菓子作りがあるので、「こまったさん」も「わかったさん」もお仕事でお料理やお菓子を作る人なのかと思いきや……。

「こまったさん」はお花屋、「わかったさん」はクリーニング屋とちゃんと他の仕事を持っているんです。
ちなみに「こまったさん」は花屋の奥さん、「わかったさん」はクリーニング屋の娘さん、のようですよ。

同上。

プロの視点でなく、素人の視点だったからこそ、初学者・入門者である児童、そして、かつて児童だったことがある大人、そのどちらにも幅広く、そして、長きに渡り、支持されました。

「こまったさん」と「わかったさん」は、両方、ベストセラーであり、ロングセラーなのです。

私は「わかったさん」派

上記リンクのタイトルに「あなたはどっち派?」とあります。

私は「わかったさん」一択。

「新シリーズが出るほうだから」という理由ではなくて、昔からです。

『かいぞくポケット』も好きだったからです。

『わかったさんのアイスクリーム』では、なんとかいぞくポケットが出てきます。
(ネタバレはやめておきます。)

表紙をよく見てください。
わかったさんの左足の左(表紙だと右のところ)に、かいぞくポケットがいます。

セルフコラボになっているんですね。

そんなこともあって、私は「わかったさん」一択なんです。

「わかったさんのあたらしいおかし」

最新作の『わかったさんのスイートポテト』は、『わかったさんのあたらしいおかし』シリーズの第1巻として出ます。

そんな『わかったさん』シリーズの最終刊行から33年経った2024年、作絵を担当する永井さんが寺村さんが構築してきた世界観ごと受けつぎ、新たに『わかったさんのあたらしいおかし』シリーズとして始動することになったのです!

上記リンクより筆者引用。

第2巻は2025年の夏に出ます。

永井 はい。今作だけでなく、2巻、3巻と続きます。2025年の夏には、次作が出る予定ですから、楽しみにしていてください。

下記リンクの2より筆者引用。

わかったさんはゴルゴのように続く

わかったさんはゴルゴのように続くのです。

寺村輝夫さんはお亡くなりになってしまいましたけれども、永井郁子さんの手で続くのです。

――しかし、わかったさんの著者で児童文学作家の寺村輝夫先生は2006年に亡くなられています。

永井 そうですね。だからまずはスピンオフ作品を作る意向を寺村先生のご家族にお話ししました。そうしたら、とても喜んでくれたんです。やっぱり、寺村先生の作品をずっと忘れないでいてほしい気持ちは同じで。

上記リンク1より筆者引用。

――それで新作を書く決意をしたんですね。

永井 わかったさんは、いずれ40周年を迎えます。そうすると、読者はもう2代目。もしかすると、最初の読者の孫世代が読むものになるかもしれません。それで最初は、赤ちゃん絵本を企画しました。

同上。

――赤ちゃん絵本はどのような内容だったんですか?

永井 わかったさんは、クリーニング店で働く若い女性で身長が高いのですが、赤ちゃん絵本では線を太くして、小学校高学年から中学生くらいのキャラクターにしたんです。メニューは、離乳食としても親しみやすいふかし芋。文章も少なくシンプルにしました。

同上。

ただ、永井郁子さんの手だけでは続きません。

 けれど、あかね書房へ持っていったら、「わかったさんはお話の面白さが大切で、絵がかわいいだけでは難しい。寺村先生のファンが見ても納得できる作品じゃないと」と言われたんです。それで悩んでいたら、編集担当者が「もうすこしだけ長いテキストに挑戦してみませんか?」と提案してくれました。寺村先⽣の書いた「わかったさんのおかし」シリーズは1冊80ページですが、いろいろ検討したうえで、新しいシリーズでは原稿の枚数を減らし、絵は全部カラーにして、64ページの本にすることになったんです。

 それで、あらためて原稿を書き終えて渡したら、「寺村さんの世界を捉えながら、永井さんの世界も表現できた読み物になっている」と言ってもらえて、制作がスタートしました。

同上。

私が「ゴルゴのように続く」と述べているのは、この部分にあります。

わかったさんとゴルゴは「らしさ」が「なければならない」ものなのです。

それが永井郁子さんの手によるものであっても、「らしさ」は「なければならない」のです。

「わかったさんらしさ」を担当編集者が指摘したことで、『わかったさんのふかし芋』ではなく、『わかったさんのスイートポテト』が出ることになりました。

永井郁子さんの手だけでは「わかったさん」ではないということなんです。

ベストセラー、かつ、ロングセラーの場合には、読者のイメージがあります。
そのイメージから外れることは、誰にも許されていないのです。

幸い、寺村輝夫さんの世界観を表現できたため、永井郁子さんの新シリーズが出ます。

「わかったさんのあたらしいおかし」シリーズは2024年9月(今月)から順次発売です。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集