トーンポリシングとスメルポリシング1
前回、トーンポリシングについて述べました。
トーンポリシングとは、トーン警察をすること。
自粛警察のトーン版です。
本物の警察じゃないのに警察みたいに取り締まるのが、自粛警察であり、トーン警察です。
これはスメル(香り、匂い、臭い)にもあるよな、と強く思いました。(下記リンク参照。)
今回からトーンポリシングとスメルポリシングを述べていこうと思います。
スメルポリシング、というのは、私が今つくった造語です。
他に誰か提唱していないかグーグルで調べましたが、いないようです。
取り締まりの対象は似たようなもの
トーンポリシングとスメルポリシング。
(勝手な)取り締まりの対象は、同じです。
言いやすいと思った人間。
それだけです。
トーン警察は、「小さい声にしろ」と言いやすい人間に対して「のみ」、取り締まりをします。
(警察でもないのに勝手に。)
大声で怒鳴り散らしている不良少年に対しては、トーン警察をしないのです。
スメルにおいてもそうなんです。
言いやすそうだから勝手に取り締まる。
極めてタチの悪い話なんです。
トーンポリシングは広義化した
トーンポリシングは、言いやすい対象に対して、「声を小さくしろ」というものです。
元々はそれだけです。
トーンは、音の大小や音の高低を意味します。
けれども、トーンポリシングにおけるトーンは、音の大小や音の高低のみに留まりません。
言い方、話し方、敬語が云々、誤用が云々を含む広義のトーン。それがトーンポリシングにおけるトーンです。
広義のトーンでトーン警察が恣意的に用いられているので、タチが悪いのです。
「そんな言い方でくるなら聞き入れてやらない」という悪用が出来るからです。
広義のトーンポリシングは、有色人種への差別を維持してしまうのに、極めて効率的でした。
黒人が不当な差別への是正要求をしたところで、白人が「そういう黒人英語で怒鳴られてもね」と返したら、是正への無為、差別への温存が容易であったからです。
現在では、ありとあらゆる弱者に対して行われています。
白人から黒人に対してだけではありません。
多数派から少数派に対して行われています。
最低最悪の効率的な差別維持手法です。
スメルポリシングも広義化する
スメルポリシングは、私が今日つくった造語ですが、広義化すると思います。
「香害(こうがい)は公害」の広まりを見る限りでは必ずそうなっていくでしょう。
「香害(こうがい)」という語彙は、元々は、香水や芳香剤に含まれる化学物質に対するアレルギーに配慮してほしいという呼びかけでした。
「でした」です。過去形なんです。
現在では、化粧品くさいだの加齢臭くさいだのと広義に用いられています。
香害やスメルハラスメントだと騒ぎ立てることが極めて容易になってしまっているのです。
ゆえに危ない。
スメルなんてものは慣れです。
味噌汁に対してさえ苦情は出るのです。
(下記リンク参照。)
日本にはかつて「バターくさい」というド直球の差別用語がありました。
現在ではほとんど言われていません。
日本人の食生活の変化によるものです。
けれども、語彙を変えて復活する兆しがある。
それが香害やスメハラです。
広義の香害や広義のスメハラを、声高に主張してしまうのは、スメルポリシングなんです。
スメルの元になる人間を取り締まろう、或いは、取り締まれないのか、という主張に、他ならないものであるからです。
異質なスメルは異臭である。
そこまでは現実です。否定しません。
けれども、スメルで因縁をつけて、取り締まろうとするのは、異質への排除や排斥です。
化粧は臭いから女性差別が出来る。
発汗量の違いで若年差別も出来る。
加齢臭によって老人差別も出来る。
食生活によって外国人差別も出来る。
極めて恐ろしい話なんです。
次回も続きにします。
リンク
本稿執筆の契機となった参考記事を載せます。
サンドラ・ヘフェリンさんの記事です。