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「ヴィレヴァンらしさ」とは何か

前々回、前回を踏まえ、ヴィレッジヴァンガード(以下、ヴィレヴァン)の話をもう少しします。

冒頭画像は「ヴィレヴァン全店まわる人」さんのXから引用しました。

「ヴィレヴァンらしさ」とは何か

「ヴィレヴァンらしさ」とは何か。

個性的で、普通じゃない本屋であるところです。

その個性が、普通の本屋と同じように最低賃金で支えられてきたのが現実としてありはしますが。

普通の本屋では文学部の大学生の有り余る知性を有効活用し、やり甲斐搾取もし、何とかギリギリ成り立ってきたように。

ヴィレヴァンもまた、個性的な芸大生や専門生の有り余る個性を有効活用し、やり甲斐搾取もし、何とかギリギリ成り立ってきたように思います。

派手な髪で、派手な化粧の女性店員が多い印象がどうしてもあるのは「ヴィレヴァンがサブカルの店だから」ではないと私は思っています。

派手な髪で、派手な化粧の大学生や専門生たち、もしくは、売れない芸能人など(何々の卵たち)が、ヴィレヴァンを選んだから偶然そうなったのだと私は思います。

「ヴィレヴァン全店まわる人」さんのXより引用。

そして、そういう個性的な(はみ出したような)人の選ぶセンス、置くセンス、推すセンス、そういうセンスの総体を、我々は「ヴィレヴァンらしさ」と呼んでいるように思います。

有り余る個性は計り知れないから、さらに言えば計る術がないから、賃金には結びつきません。

が、「計り知れない価値は計れないがある」のでビジネスとしては謎の成功を遂げた、ということなのではないでしょうか。

サブカルがサブでなくなったから?

では、「ヴィレヴァンらしさ」が失われていった原因は何なのか。

サブカルがサブでなくなったから、メインカルになったから、という意見を拝見しました。

私はそうではないと思います。

ヴィレヴァンはどう見てもサブです。
もし、メインカルチャーになっているのならば、競合と似てくるはずだからです。

ヴィレヴァンの競合とは未来屋書店です。
ヴィレヴァンは本屋ですからね。(本当)

最近のヴィレヴァンって未来屋書店っぽいよね、と思った方、いますか。
私はそんな奴がいるわけがないと思っています。

本部の一括仕入れが原因?

コロナによる自粛期間と、自粛に伴い開始された本部の一括仕入れが原因であるのだという意見も拝見しました。

これは大いにある話だと思います。
一括仕入れでは個性が出ませんから。

ただ、個性的な店が減ったからという理由では、個性的な路面店の閉店を説明するに足りません。

ヴィレヴァンの売り上げは、個性的な路面店よりイオンのヴィレヴァンの方が良いのです。

多店舗展開によって似たような店舗が増えた、と批判されてはいますが、イオンのヴィレヴァンは売り上げ的に路面店以上の成功なのです。

そして、本部の一括仕入れは、五類移行以降には終わっています。いつまでも本部の一括仕入れのせいにしていてはいけないと思います。

では原因は何か

では原因は何か。

売る前提の仕入れになったこと。
予算消化が出来ないと予算を減らされること。

私はここが大きいと思います。

ヴィレヴァンの良さは、個性的な人間の有り余る個性と、計り知れない価値にありました。

そこに制限がかけられているのです。

ヴィレヴァンは店であるので、いかなる商品でも売る前提です。
どう見ても売れそうにない商品であろうとです。

けれども、本部と店舗の間にズレがあります。
私はそこが原因だと思っています。

本部と店舗の間のズレ

では、本部と店舗の間のズレとは何か。
一番分かりやすいのは「悪ふざけ」です。

ヴィレヴァンの場合は「悪ふざけのようでいて、本人は大真面目」ということがあります。

予算を「悪ふざけ」に用いさせないというのは、正しいですが、正しくない。

「ただの悪ふざけじゃないか」ではいけません。
しかしながら、「悪ふざけのようでいて、本人は大真面目」は価値を生むことがあります。
個性的な人間にのみ見える文脈があるからです。

「売れないが関連グッズの売り上げを伸ばす」を封じていると、店舗の売り上げに影響します。
が、商品名や項目名ではそこがわからないので、封じられるだけになってしまっているのです。

そこは難しいところで「本当にただの悪ふざけ」ならば絶対に阻止しないといけません。
けれども、関連グッズの売り上げを伸ばすための仕入れと紛らわしいところがあります。

ヴィレヴァンは仕入れルートが優秀であるため、そして、かつて程の体力がないため、悪用防止が個性的な裁量の部分に対して制限をかけている、と私には見えます。

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