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空転し続ける会議の責任は、ディスカッションマテリアルを準備しないファシリテーターにある(2/2)
【ポイント】
よく言われることだが、会議は準備が9割。あらかじめ参加者の価値観や問題意識を洗い、議論の流れを想像し、その流れに沿ってディスカッションマテリアルを準備する。
ディスカッションマテリアルの作成はファシリテーターの役割である。ファシリテーターは単に会議を盛り上げるだけでなく、会議を目指すゴールに導かなければならない。参加者に満遍なく発言させるだけのファシリテーターは、ビジネスが平穏だった時代の遺物でしかない。
ディスカッションマテリアルの作成を担うファシリテーターの選定は、会議を成功させる上で重要なカギとなる。
前回は、会議が空転し話が堂々巡りする原因を、3つ挙げました。
参加者の間で全体像を共有できていない
前回の議論の結果が、誰もが理解しやすい(=構造化された)形で共有できていない
今回の議論を進める上で効果的な枠組みが準備されていない
これらのうち「参加者の間で全体像を共有できていない」については過去にブログ内で取り上げたため、今回は、これを除く残りふたつについて話しをしました。
私が強調したのはディスカッションマテリアルの大切さです。
ディスカッションマテリアルは「共通認識」と「考え方の枠組み」という2つの要素で構成され、この両者はつながり(=構造)をもっています。
以前に「頭の中を構造化すれば、判断力が身に付く」というエピソードの中で使用した例を思い出してください。
このときは、「使用目的」と「年齢層」を軸にとったマトリックスを作成したことで共通認識が生まれ、議論が深まりました。このマトリックスこそ、代表的なディスカッションマテリアルと言えます。
このように、議論を前に進める力をもつディスカッションマテリアルですが、これを作成するのはいったい誰なのでしょうか。
私は、ディスカッションマテリアル作成はファシリテーターの仕事だと考えています。それゆえ、会議を成功させたいなら、ファシリテーターの選定は極めて重要です。
ファシリテーターは会議運営を担う議長の役目を兼任することが多いですが、重要な合意形成や対立軸の調整を伴う会議では、議長とは別に任命することが必要です。
一例ではありますが、ファシリテーターは以下のような発言で会議をリードします。
前回は、全体像のこのあたりを議論しました。
これまでの流れと今後の進め方をフロー図で表現するとこのようになります。
議論の内容を整理するとこのようなキーワードが重要であり、それぞれこのような関係がありました。
これらの現状にはこのような理由があり、その真の原因は○○でした。これに対して△△の施策が提案されました。
今回は、△△を実行に移すために乗り越えなければならない障壁を洗い出しましょう。
障壁は、A~Fの6個の軸で評価しますが、議論の中では軸の追加や修正も行いたいと思います。
今回の議論を受けて、次回までにこのような枠組みの内容(=コンテンツ)をすべて埋めておいてください。
たいていの人はゼロから考えるのは苦手ですが、考え方の枠組みを与えられると、その枠組みに沿って具体的な意見を述べることはできます。このような特徴を利用して、ディスカッションマテリアルは議論を活性化させます。
なお、議論の場では筋の通らない意見も出ますが、これをスルーすると、議論の内容を構造化する際に苦労します。ファシリテーターは議論の最中も、参加者の意見を構造的に捉え、筋の通らない意見に対してはその場で質問するなり、追加説明を促すなり、ときには意見を否定するなりしなければなりません。
優秀なファシリテーターは、議論を通じて、組織の生産性を格段に引き上げることができます。
もし皆さんがこの話に共感してくださり、優れたファシリテーターを目指すなら、皆さんはまず概念化力(≒構造化する力)を身に付けていなければなりません。ディスカッションマテリアルは概念化力によって生み出されるからです。
私の意図するファシリテーターは専門職ではなく、概念化力を身に付けた皆さんひとりひとりです。
皆さんが概念化力の向上に取り組み、優れたファシリテーターとして組織を引っ張る存在になることを、私は期待しています。
最後にひとつ書き添えておきます。
例えば提案書には間違いを書いてはいけません。しかし、ディスカッションマテリアルの場合、それが議論の活性化につながるのであれば、抜けや間違いであっても価値を発揮します。つまり、ファシリテーターはテーマとなっている事象のプロフェッショナルである必要はありません。
私はコンサルタントゆえに取り組むテーマはさまざまで、私自身はそれぞれのテーマのプロフェッショナルではありません。
しかし、どのような場面でも立派にファシリテーターの役割を果たしています。
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