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「計画の大切さは、教えるのではなく気付かせる」 ひとは他人に意見されると心にバイヤスがかかる

私が計画の大切さを説くと、素直な人は「そうだ、計画は大切だ」と計画の必要性を認め、すぐに行動に移します。ところが、ひねくれ者は「計画なんてやるものか!」と計画を忌み嫌うようになります。
どっちがいいということではありません。私に言わせれば、両方ともよくありません。なぜなら、どっちの心にもバイヤスがかかってしまっているからです。こうなってしまうと、自分を素直に見つめることができていません。

前者は狙い通りにいっているように思えるかもしれませんが、ちょっとした挫折で計画を止めてしまう危険性をはらんでいます。口先だけとは言いませんが、きっと共感には達していません。私の言葉は、心の表面的な部分にしか響いていないのです。

後者の状態は深刻です。もともと計画の大切さには気付いていなかったのですが、気付く可能性は残っていました。ところが、他人の指示に従いたくはないというひねくれ根性が可能性に蓋をしてしまいました。この蓋をこじ開けるのは至難の業です。彼はきっと、これからも、私の話には耳を貸さないでしょう。

計画の大切さは伝え方が肝心です。

私は、できればひとりひとりを相手に、それが無理でも多くて2~3人を相手に本音で話し合うというやり方をとっています。なぜなら、計画の基本行動を定着させるのは “躾(しつけ)” だと考えているからです。大人数を相手に躾はできませんし、相手の価値観や感受性に応じたやり方で寄り添う必要があります。

「計画は大切だ。だからあなた方もしっかり計画をしなさい」
こんなストレートな言い方では伝わりません。
押し付けは、相手から気付くチャンスを奪います。覆水盆に返らず、まさに取り返しのつかないことになってしまいます。

大切なのは“教える”ことではなく“気付かせる”ことです。

10倍の回り道が必要ですが、ここで時間をケチってはいけません。効率化は他でやってください。
これは計画に限ったはなしではありません。

問題は、どうやって気付かせるかです。
例えば、こんな感じではいかがでしょうか。

    「いま、プロジェクトはどんな状況でしょうか?」
プロマネ「期限には間に合いそうにありません」
    「何かうまくいっていないことがあるのですよね?」
プロマネ「技術課題が解決しなければズルズルと遅れていくばかりです」
私    「状況を絵(日程計画)に描いてみてはどうでしょう?」
プロマネ「その前に技術課題の解決に向け、方針を決める必要があります」
    「解決に向けた作業の流れをホワイトボードに書き出しましょう」

プロマネは当面の作業をホワイトボードに描き始めました。
できあがったのは日程計画のようなものでしたが、消したり書いたりでゴチャゴチャしていました。
私は手元のパソコンで、それをMS-Projectに描き始めました。

    「MS-Projectにしたのでディスプレイに映していいですか?」
プロマネ「ありがとうございます。そうしてください」

MS-Projectで作成した計画を大型ディスプレイに映し出しました。
そして「こうしたい、ああしたい」という要望を伺いながら、目の前で計画を編集しまた。

プロマネ「計画はいいですね。頭で考えているよりも考えやすいです」
    「ほら、期限を1ヵ月踏み越えています。どうしますか?」
プロマネ「明日、関係者を集めて、この計画を囲んで対策会議をします」
    「MS-Projectの操作をお手伝いいただけないですか?」
    「もちろんです。方針が決まったら計画を詳細化しましょう」
プロマネ「承知しました。では明日、よろしくお願いします」

こんなやりとりは、これまでに何度もありました。こうやって彼らは計画にのめり込んでいきます。計画嫌いに逆戻りすることはけっしてありません。今も計画ファンは増え続けています。

私はMS-Projectをうまく使いこなせるので、それを武器にプロジェクトマネージャの皆さんの心の隙間に入り込みます。しかし、私は業務の中身や技術の話はわかりません。
逆に皆さんは、業務や技術を理解している相談相手として寄り添い、その活動を通じて計画の大切さに気づかせてあげることができるはずです。

計画を押し付けるのはタブーです。
相手が自分で計画の大切さに気付くまで、根気強く寄り添ってあげてください。
結果的には、それが近道なのです。


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