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初アートフェアで作品を売るためには
この3か月ほどで爆発的に関西での活動が広がりました。
きっかけは去年10月に開催されたArt live Kobeというホテルワンフロアを貸し切ったアートフェアのコンペに入選し、展示販売を行ったことです。
webサイト上で360度ギャラリーが見られるので是非ご覧ください↓
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他にも様々なコンペや展示に参加することが急に増えたのですが、個々についてはまた詳細を書ければと思っています。
今回はこのArt live Kobeにおける僕の試行錯誤について振り返りつつ、実施してみた売れるためのアイディアをいくつか紹介しようと思います。
アートフェアですから販売結果から言うと、作品1、受注2、その他小作品30ほどを購入して頂きました。お買い求め頂いた皆様、誠にありがとうございました。
ただ初日は全く売れず、ギャラリーのオーナーさんたちの反応も芳しくありませんでした。
企画自体の集客はそこそこあったと思うので、人の入り自体はありました。
しかし僕はこれまでホワイトキューブといわれる真っ白な空間でのギャラリーや、古民家・野外などでの芸術祭で展示をしていた為、いわゆるアートフェアでの展示の経験がありませんでした。
そのため値札の表示を少しためらって中途半端な見せ方にしたり、作品説明がやや深い内容にまで最初から行きすぎたりしていました。
Art live Kobeでは出展者は展示室となる部屋にそのまま宿泊することが出来ましたので、初日の夜はあらゆることを思い出して考察し、アイディアを出してみました。
仮設を立ててアイディアを実行する。
・体験価値の創出
・滞留時間の増幅
・豊富な選択肢
2日目、一つの仮説を立てた上でいくつかのアイディアを実行してみました。
それは「来場者の多くはチケットを購入した時点で、27人の作家の展示を見るという体験を買っている意識にあるため、更に作品を買うにはハードルがやや高い心理状態になっている可能性がある」ということでした。
もっとも、主催ギャラリーについている、日常的に作品を買う方ももちろんいらっしゃっていたようですが、おそらく多くは買いなれていない層の方々だった印象でした。
それに対する僕のアイディアの趣旨は「より体験価値の高い見せ方、手法を実施することで、より来場者の満足度をピンポイントに高める効果がある。その満足度が作品への魅力と所有欲求を向上させるだろう」というものでした。
具体的には、実験作品としてたくさん持って来ていた小さな小物のようなものをテーブルに広げて、手に取ってもらうように促しました。(アルコール消毒をしてもらってから)
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これにより、多くの来場者はまるで小物雑貨で商品を手に取るような感覚で、これらの実験作品を触り、来場者同士で互いに会話をして楽しむことができるようになりました。
この実験作品はそのまま立体の本作品へ昇華されているため、本作品への自然な導入にもなったと感じています。
またインタラクティブ(相互作用性)な映像作品も出展していたのですが、それまで昼間は備品のテレビモニターを使用していました。
なので昼間でも早い時間からプロジェクターによる投影の作品に切り替えて、より大きく画面を投影して、来場者が映り込んだりイメージを変えたりすることができるようにしてみました。
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これがなかなかの人気で、特にお子さん連れのお客さんはお子さんが映像で遊ぶため何度も来てくれたりもしました。
つまり来場者の滞留時間が長くなり、部屋の前には少し列ができる時があったくらい、何やら賑わっているという雰囲気が更に人を呼ぶ形になったのだと思います。
これには会場設営の間取りも関わっていたのかもしれません。意識的ではありませんでしたが、総合的に人の入れる面積が少し狭かったのです。
また入り口付近が狭く、奥の空間が開けているのでそこへ人は集まって、すぐに出ることはできずある程度人の流れに乗って部屋を動かなければなりません。
その間に作品をじっくりと見ることが促されて、鑑賞時間と質が高まっていた可能性もあります。
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更に価格の表示が大きく、見えやすいキャプションに代えて、それを見えやすい場所へ置きました。
そして写真作品などはサイズ変更によって価格を抑えられたり、逆に大きく印刷したりなど、選択肢が豊富にあるように見せました。
つまり選べる幅が広がったため、これにより来場者は自分の状況に合わせて自分で選ぶ安心感と満足感(コントローラビリティ)を得られたのではないかと考えています。
一つ一つの経験の中にアイディアの種がある
他にもいくつか取り組みはしていましたが、大きく要因となったのは以上のようなことだったと思います。
そしてこのアイディアへとつながるきっかけを作ってくれたのも、来場者の方でした。
ある女性の方がとても熱心に一つの実験作品をのぞき込んでいたので、まぁ実験作品やしええかと思い、「どうぞ手に取ってのぞき込んでみてください」と促したのです。
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すると「っうわぁぁぁあああ~」と、とても嬉しい声を上げてくれて、その後しばらくの間、窓から入ってくる光を透かして見たり、プロジェクターの光を透かして見たりなど、存分に鑑賞して頂きました。
はじめは実験作品なので値段なんてつけられない、ただ空間を埋めるには持って行った方がいいかな・・・くらいで持って来ていたのですが、そこまで感動してもらえたのならと思い、購入したいか尋ねてみると「っ!買いますぅぅ!」という、なんとも作家冥利に尽きるお言葉を頂くことが出来ました。
その後、複数あったその小作品は全て完売となり、受注して販売することにもなりました。
この経験があったからこそ、その後具体的にどう展開していけばいいかを進めるきっかけになったのです。
その来場者さんには大変感謝しています。
ちなみにこの小作品は「フレアクリスタル」という名称で、マルチプル(大量生産される作品)として、iichiなどで販売しております。
フレアクリスタルは3つの楽しみ方がある、デバイススカルプチャーです。
気になった方がいらっしゃいましたら、是非ホーム画面からショップのアイコンをタップして覗いてみてください。
では次回は、関西での活動を通して少し浮かんできた、神戸におけるアートへのアイディアを語れればと思っています。
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「神戸 | 着装するアート」なんてタイトルでいこうかな・・・