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休みの理由なんて聞きたくない

毎年この時期になると、企業には取引業者から年末年始の営業についてのお知らせが届く。
街でも商店などに貼り紙がしてある。

先日近くのスーパーでこんなお知らせが貼り出されていた。

「2022年年始の店休日は、従業員の心と体のリフレッシュを図るため、例年より1日延長し、1月3日(月)までとさせていただきます」

この後は1月4日からの営業時間の案内などが続いている。

何の問題もないお知らせだ。
ただ、「従業員の心と体のリフレッシュを図るため」、この文章は必要だろうか。

「2022年年始の店休日は、例年より1日延長し、1月3日(月)までとさせていただきます」

この内容では駄目なのだろうか。
このスーパーの客は正月三ヶ日に休む理由がないと許してくれないのだろうか。

いつからサービス業は、休みをとるのにここまでへりくだらなければならなくなったのだろう。いつからここまで客に気を遣わなくてはならなくなったのだろう。

もちろん、一方では「弊社はここまで従業員を大切にしている会社です」というアピールであることも理解できる。
それでも僕には、これが精神的土下座に見えて仕方がない。

1980年代半ば頃までは、基本的には一部の業種を除いては、官公庁の休みに合わせるのが慣わしだった。
小売店なども普通は1月4日から営業開始というのが普通。大きな百貨店、デパートもそうだった。

当時はコンビニも少なかったので、一人暮らしをしていると、年末にインスタントラーメンなどを買いだめしておかないと(その頃は電子レンジは今のように当たり前ではなく、冷凍食品も少なかった)、正月は飢え死にするんじゃないかという恐怖に襲われたものだ。

それがいつの頃からか、年末年始も休みなしとか、せいぜい元旦だけ休みで2日からはもう営業していますというのが当たり前になってきた。
それと共に24時間営業も珍しくなくなって来た。
セブンイレブンだって最初はその名の通り、朝7時から夜11時までだったのに。

マクドナルドも24時間営業が当たり前になっていった。
以前は、というのはハンバーガーを注文するとお姉さんが「ポテトやドリンクもいかがですか」とすすめてくれた頃、24時間営業でもないのに深夜の店舗に謎の明かりがついていた。
これは客のいない深夜に清掃だけのアルバイトがあったためだ。
しかし、24時間営業とともに、店内からは清潔感がなくなっていった。

これはファミレスにも言えることだと思う。
以前は家族で訪れて、制服のお姉さんお兄さんに席まで案内をしてもらう。そして、ハンバーグランチをフォークとナイフで食べる。そんなプチ中流意識を満たしてくれる場所だった。
それも24時間営業とともに失われていった。

そしてどちらもヤンキーの溜まり場(あくまでも個人の感想です)のようになっていった。

物流にしてもそうだ。
最近は初荷などという言葉もあまり聞かなくなった。
Amazonなどのサイトの買い物も、ほとんどは年末年始関係なく届くようだ。
本当に頭が下がる。みんな三ヶ日くらいは外して日時指定してあげようよと言いたい。

こういう日本の土台を支えて現場で働く方々、物流もそうだし、他には交通機関、警察官、消防士の方々にはもっともっと給料を払ってあげてもいいと思う。特に、凶悪犯に立ち向かう警察官、燃えさかる炎に飛び込む消防士の方々は命懸けで僕たちを守ってくれている。
国会議員に訳のわからない百万円を支払って、マスクの保管に6億、クーポンに960億もの税金を使うくらいなら、こんな人たちの給料を上げるべきだ。
この国は首相が言えば給料が上がるらしいのでぜひお願いしたい。

ただ、バラマキではダメだ。
末端に届くまでに多くのハイエナに食い尽くされてしまう。
介護関係の経営者で、ロールス・ロイスに乗っている人を僕は何人か知っている。

コロナの少し前から、働き方改革がやかましく言われ始めて、法整備もすすんできた。そのあたりから、サービス業でも休日、営業時間の見直しが行われだした。

いいことだと思う。みんな、もっと堂々と休んでほしい。
もう「従業員のリフレッシュのために」とか、そんな理由はいらない。
いついつは休みますと、バシッと貼り出してもらいたい。
申し訳ないなどと思う必要はない。

子供の頃はお年玉をもらっても、正月三ヶ日が終わるまではじっと我慢していた。それも教育だ。

僕たちも、何で休んどんねんとか言わないようにしよう。
そんな奴には、お前もな、と突っ込み返しだ。

みんなが、理由なんか言わずに堂々と休める世の中がいい。
それと共に、みんなが休日を楽しめるのは、その日、休まずに働いている人のおかげだということも忘れずにいたい。

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