マガジンのカバー画像

死を想う

13
医療の発達に伴い、多くの人が天寿を全うする時代。誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには。「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と…
運営しているクリエイター

#エッセイ

『カランコエの花』を知っていますか?(占部まり)

『カランコエの花』を知っていますか?(占部まり)

「あなたを守る」
「おおらかな心」
「たくさんの小さな思い出」
「幸福を告げる」

こんな花言葉を持つ"カランコエ"にちなんだ映画が、いま静かなブームとなっています。

ある高校のクラスで、ある日唐突に「LGBTについて」の授業が行われた。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…思春期

もっとみる
「対話」を選んだ医師たちの話(占部まり)

「対話」を選んだ医師たちの話(占部まり)

「私の話を聞いて、あなたの安楽死やPASに対する考えが変わるとは思えません。
それでも私たちの国で起こったことを聞いてほしいのです。
今ではないかもしれませんし、少し先のことかもしれません。
それでも、近い将来かならず向き合わなくてはならない問題だと考えています」

これは先日、「医療倫理を考えるカンファレンス」での、カナダ医師会副会長ジェフ・ブラックマー氏の言葉です。彼の報告を聞いて、私は衝撃を

もっとみる
高瀬舟考(占部まり)

高瀬舟考(占部まり)

多くの人が天寿を全うする時代、誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには? 「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。
連載:死を想う――その人らしい最期とは

森鴎外の『高瀬舟』という短い小説があります。これはおそらく、近代文学で初めて安楽死を取り上げた作品です。あらすじをご紹介します。

京都の罪人を遠島に送る高瀬舟に乗せられた弟

もっとみる
「塩の芸術家」から死を想う(占部まり)

「塩の芸術家」から死を想う(占部まり)

多くの人が天寿を全うする時代、誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには? 「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。
連載:死を想う――その人らしい最期とは

内なる記憶と対話するもう一度、大切な人に会いたい、思い出に触れたい、という強い願望のもとに創作活動をされている山本基さんの作品を見に金沢まで行ってきました。作品が展示されてい

もっとみる
死期を告げることに、どんな意味があるのだろうか?(占部まり)

死期を告げることに、どんな意味があるのだろうか?(占部まり)

連載:死を想う――その人らしい最期とは
医療の発達に伴い、多くの人が天寿を全うする時代。誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには。「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。

医師が告げる余命はどのくらい当たる?
命を脅かす病を宣告された際、多くの患者さんがご自身の余命について質問されます。これから人生とどのように向き合っていくか、

もっとみる
「在宅ひとり死」という生き方(占部まり)

「在宅ひとり死」という生き方(占部まり)

連載:死を想う――その人らしい最期とは
医療の発達に伴い、多くの人が天寿を全うする時代。誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには。「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。

「生まれ変わってもおひとりさま人生」を望む社会人生の最終段階をご一緒していると、人は亡くなるタイミングを選べるのではないか、人はこの世を去る時を自分で決める力

もっとみる
答えは与えられるものではなく、自分自身の中にある。(占部まり)

答えは与えられるものではなく、自分自身の中にある。(占部まり)

連載:死を想う――その人らしい最期とは
医療の発達に伴い、多くの人が天寿を全うする時代。誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには。「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。

誰しも「死のものがたり」をもっている私が主宰する日本メメント・モリ協会では、様々な分野の方にお越しいただき、「死を想う」場を提供しています。昨年の10月から計

もっとみる
私たちは「痛み」と向き合えているか(占部まり)

私たちは「痛み」と向き合えているか(占部まり)

連載:死を想う――その人らしい最期とは
医療の発達に伴い、多くの人が天寿を全うする時代。誰もが前向きに人生の幕を下ろせるようになるには。「死を想う」をテーマに日本メメント・モリ協会を設立した著者が、その人らしい生き方と最後の時間を考える。

痛みと戦う自分を、もう一人の自分が見下ろしている感覚先日、これまで感じたことのない歯痛に襲われました。その痛みは半端なく、ちょっとの距離を歩いて帰宅することも

もっとみる
「医療の本質」を教えてくれた二人の患者さんとの出会い

「医療の本質」を教えてくれた二人の患者さんとの出会い

日本メメント・モリ協会を設立し、「死を想うことで生が豊かになる」ことについて考える場を提供している著者。自身にとって、医療の本質を考えさせられた出会い、そしてその本質を体現する人との出会いを語る。

「何があっても先生について行く」私がまだ研修医だったころ、いまでも思い出す二人の患者さんとの出会いがありました。そのお二人から私は、医者として絶対に忘れてはいけないこと、いわば「医療の本質」を学びまし

もっとみる
「よりよく生きる」とはどういうことか

「よりよく生きる」とはどういうことか

日本メメント・モリ協会を設立し、「死を想うことで生が豊かになる」ことについて考える場を提供している著者。生の豊かさを感じづらい終末期や病床においても、「よりよく生きている」と感じられるようになるには。そして、その人らしい最期を支える上で家族や医療従事者ができることは何か。

映画『潜水服は蝶の夢を見る』が教えてくれたことよりよく生きるとはどういうことか。そのことを、私は内科医として患者さんたちと向

もっとみる
命の捉え方が変わった、2つの出会い

命の捉え方が変わった、2つの出会い

どうすれば「死を想う」ことを身近に、前向きに捉えられるか。著者にとって忘れえぬ幼少期の原体験、そして自身の活動の転機となった出会いを語る。

憧れのあの子との別れ「あなたはまだ小さいから、お通夜には行かなくていいの」
「どうして? いやだ、絶対に行く」

私が初めて「死を想う」経験をしたのは、まだ幼稚園児だったときのこと。近所に住んでいた同い年の女の子が、先天性の心疾患で亡くなりました。素敵なお庭

もっとみる