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ことばたちの水あそび

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#短編小説

いつの間にか

その帽子、すてきですね ありがとう。これは貰ったものです。100年くらい前に。 そのかばん…

mariko fukura
3年前
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小さな器

初めて作った本(20冊のうちの1冊)を会うときに持って行ったらその人は いらないよ それ誰が読…

mariko fukura
3年前
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その日は海に行った 海に会いに行った 海はそこにあったけど とても大きいから わたしのちかく…

mariko fukura
3年前
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才能売り

才能売りがあらわれた。 なにか才能がほしいと思っていやしませんか。 わたしは言った。 で…

mariko fukura
3年前
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話が長い

この人は話が長い。 何を聞いても、話が長い。 いい加減わかりそうなものなのに、毎度わたしは…

mariko fukura
3年前

電車賃

蚊が言った。 わたしは電車の中でほんのすこしのスペースしか占めていないのに、300円も払っ…

mariko fukura
3年前
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5時間

明け方、カーテンと窓のすき間にはちみつ色がやってきた。溶けそうなまるい光だった。 お邪魔します、すこし休ませてください。 どうぞ、どうぞ。  おむつ替えをしながらわたしは言った。 赤ちゃんはなかなか寝ない。 わたしは眠たいので、寝てほしい。 しかしさっきまで寝ていたんだからなかなか寝ないのはそりゃそうだ。 わたしが赤ちゃんを抱っこして揺れている間、光はずっと窓のところで休んでいた。 赤ちゃんは散々泣いて、寝た。 わたしは腰が痛い。 麦茶飲みますか?  と光に聞くと

脱皮

ある朝アパートの通路に殻があり、203号室の彼が脱皮したことがわかった。もうここへは戻って…

mariko fukura
3年前
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