「天女の羽衣」と「even if」:2021年10月24日(天女の日)
子どもの頃に祖母に読んでもらった絵本で「天女の羽衣」がある。
この本のあらすじってどんなのだったっけ?と思って調べていたら、平井堅の「even if」が頭の中で流れ出してしまった。
天女の羽衣のストーリーは、川でキレイな女の人が水浴びをしているのを男が見つけたいわゆる「覗き」行為から始まる。
そして、女が木にかけていた羽衣(服)を男は見つけ、その羽衣をとって家に持ち帰り隠してしまう「窃盗」に続き、羽衣がないと天に帰れなくなった女=実は天女は男の妻になって一緒に暮らす。
このシーンで「even if」の歌詞が浮かんだ。
鍵をかけて 時間を止めて 君がここから離れないように
…
鍵をかけて 終電を越えて 君がこの店から帰れないように
今は独りよがりだけど 本当の気持ちなんだ
最後は、地上の男の家に帰るすべなくいわゆる「監禁」されていた天女。その後、男が隠していた衣を見つけ、それをさっさと身に着け天に帰ってしまうというのがラストシーン。
「天女の羽衣」の男の行動はとてもツッコミどころが多くて、「even if」の歌詞のとおり「独りよがり」だったのかもしれない。
10月24日は天女の日。天女伝説のある日本各地の自治体で構成されている「天女サミット共同宣言市町」によって制定された日で、「てん(ten=10)にょ(24)」(天女)と読む語呂合わせからだそうだ。
大人になってあらためて「天女の羽衣」の話を考えると、男は最初から羽衣なんて隠さずにいればよかったんじゃないだろうか。
男が天女にした覗きなどの迷惑行為は別として、いくら恋をしても隠したりしなければ、悲しい別れもなかったんじゃないかなって思う。
平井堅の「even if」の歌詞で展開されるストーリーも、婚約者のいる女性に対して叶わないであろう恋をしている男性の気持ちを歌っているのだけど、バーボンで酔っ払わせて帰らせなくしてしまおう、と言っている。
そして、それは「君のせいだから」と。
「天女の羽衣」の天女も羽衣を自分で探してもっと早く帰れたかもしれないし、男のことも実は好きになっていたかもしれない。
でも、所詮は人と天女でお互いが叶わぬ恋だった。
天女には天女の事情や気持ちがあったのかもしれない。
相手の大事なものや事実を隠したり、嘘をついたりすることは、結果としてお互いを傷つけ失う結果になってしまう。
そんなことを考えていると、「天女の羽衣」のラストシーンはちょっぴり切ない。