マインドフルネスの手法を活かしてプラティヤハーラ以降の八支則を理解し実践に移す方法
(ヘッダー画像はAIで描きました。瞑想によって宇宙との繋がりを理解していきます。優しい雰囲気を出したく、パステルカラーの線画にしました。)
ヨガとマインドフルネスの共通項
初めて出会ったヨガの八支則に共感できた理由
ヨガのティーチャートレーニングで「八支則(アシュターンガ)」を学んだとき、多くの仲間はその複雑さに苦戦していました。しかし、私には比較的すんなりと理解できました。以下の理由からです。
仏教思想の経験
仏教で学んだ倫理観が、ヤマ(禁戒)やニヤマ(勧戒)と通じるところがありました。マインドフルネス実践
日々行っているマインドフルネス瞑想が、プラーナーヤーマ(呼吸法)、プラティヤハーラ(感覚の制御)、そしてディヤーナ(瞑想)の理解を助けました。
マインドフルネスとヨガ哲学の違い
ただし、マインドフルネスとヨガ哲学は完全に一致するわけではありません。
マインドフルネス
ヨガ哲学から直接影響を受けてはおらず、主に仏教、特に禅やヴィパッサナー瞑想から影響を受けています。現在の瞬間に意識を集中させ、非判断的な気づきを持つことを主な目的としています。ストレス軽減やメンタルヘルスの改善が強調されています。ヨガ哲学ヨガはインドの古代哲学に基づき、心と体の統合と究極的な解放(モークシャ)を目指す包括的な実践です。身体的な実践(アーサナやプラーナーヤーマ)と精神的な修行を通じて、自己の解放と究極の悟り(サマーディ)を目指します。
プラティヤハーラ以降の理解に役立つマインドフルネス
ヤマからプラナヤマまでは行動を示し、プラティヤハーラからサーマディまでは精神状態を指しています。また、後者は『ヨガ・スートラ』に具体的な実践手法は書かれていません(と私は理解しています、もし違ったら教えてください)。
ヨガとマインドフルネスには異なる側面がありますが、私はマインドフルネスの手法が、プラティヤハーラからサマーディまでのヨガの実践を理解し、深化させる上で有効だと考えています。
以下に、プラティヤハーラ以降の各段階とマインドフルネスの対応を説明します。
プラティヤハーラからサマーディまでの状態とマインドフルネスの手法
1. プラティヤハーラ(感覚の制御)
目的
外部の感覚刺激から心を引き離し、内面的な集中を深める。マインドフルネスの手法
感覚の観察: マインドフルネスでは、感覚の一つひとつを観察し、その感覚がどのように心を揺さぶろうとしているかを冷静に見つめます。たとえば、音や匂い、視覚的な情報に対する反応をただ観察し、執着せずにそれらを手放します。
意識の内向化: 外部の刺激から意識を引き離し、呼吸や身体内部の感覚に意識を向けることで、プラティヤハーラの状態に近づきます。ガイド例
「今、何を感じているか、考えているか観察して。観察できたら良い悪いを評価せず、ただ手放してください。」
2. ダーラナ(集中)
目的
特定の対象に意識を固定し、集中力を養う。マインドフルネスの手法
一点集中瞑想: マインドフルネス瞑想では、呼吸や体の動きなどの特定の対象に意識を集中させます。心が他の思考や感覚に逸れそうになったとき、優しくその対象に戻すことで、ダーラナの集中力を鍛えます。
反復練習: 何度も浮かぶ思考を手放し、
繰り返し集中を戻すことで、対象に対する深い集中が養われ、ダーラナの状態が確立されます。ガイド例
「呼吸が鼻から肺に入り、鼻から出ていくのを追っかけて。呼吸とともに胸やお腹の膨らみ、縮みを観察してください。」
3. ディヤーナ(瞑想)
目的
集中が絶え間なく続き、瞑想状態に入る。マインドフルネスの手法
持続的注意: マインドフルネスでは、集中の持続を目指します。たとえば、呼吸の流れを途切れることなく観察し続けることで、自然に深い瞑想状態に入ります。
没入感: 対象に対して集中が深まり、時間や自我の感覚が薄れ、没入する感覚が生まれると、ディヤーナの状態に近づきます。ガイド例
「これから3分間、私のガイド無しで、無心になって集中してみてください。」
4. サマーディ(悟り、完全な集中)
目的
意識と対象が完全に一体化し、究極の悟りに至る。マインドフルネスの手法
無我の体験: サマーディにおいては、マインドフルネスの実践を通じて、自己の消失と純粋な気づきが残る状態を体験します。
一体感の瞑想: 自己と対象の区別が消え去り、完全な一体感が得られます。この状態は、サマーディの境地に通じます。※どちらかと言うとマインドフルネスよりシャバーサナが近そうです。ガイド例
「体の感覚も思考も心の動きも手放し、残された心地よさを堪能してください」
実践: クラスに組み込む例
私のヨガインストラクター向けヨガ・マインドフルネスクラスでは、ヤマやニヤマを身近に感じられる哲学の話をし、アーサナと呼吸法を実践し、マインドフルネスを通じてプラティヤハーラ(制感)、ダーラナ(集中)、ディヤーナ(瞑想)を促しています。クラスの最後にはヨガニドラ(シャバーサナ)を行い、再度ヤマとニヤマを思い出しながら、サマーディ(悟り)を目指せるように組み立てています。
結論
ヨガ哲学とマインドフルネスは異なる伝統から発展してきたものですが、特にプラティヤハーラ以降の段階において、マインドフルネスが理解と実践を深める上で有効だと考えますヨガとマインドフルネスの融合により、より深い内面的な成長と精神的な解放が期待しています。