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【彼はクズ男か運命の相手か】第2話 1通のメール

この物語は平凡な30代女子が1人のイギリス人男性との出会いにより人生が一変してしまったノンフィクションストーリーです。

第1話プロローグからぜひ読んでみてください。


2021年11月18日

1通のメールが届いた。

体験レッスンを希望します。初心者です。
よろしくおねがいします。
Adam ◯◯◯◯◯

わたしMariが運営しているピアノ教室の体験レッスンの申し込みだった。
実はこのピアノ教室は11月にOpenしたばかり。今まで講師の経験はあったものの雇われ講師をしていて自分の教室を持つ事が長年の夢だった。

都会でピアノ教室を開くのはとても大変だ。自宅は賃貸マンション楽器不可なので、自宅で教室を開くことはできない。騒音問題、グランドピアノを搬入できるところ、家賃の問題などいくつものハードルがあり、これらをクリアできる物件は極めて少ない。

実際に物件を探し始めてから2年を要したのだが、ひょんなことから話がトントン拍子に進んだ。物件探しでお世話になっていた管理会社の方から連絡があり、ピアノ教室を閉める人がいるので、そのままの状態で部屋を借りられることになったのだ。捨てるぐらいなら使って欲しいと、なんと置いてあったグランドピアノも破格値で譲ってもらう事ができた。

まるでこうなる事が既に決まっていたかのように、あまりにもスムーズに話がまとまってしまい驚いた。こうして運良くピアノ教室を開く事ができるのだが、生徒がいないことには始まらない。

生徒募集のためにホームページを作り、看板を立て、Web広告を載せたり、SNSでの発信、チラシを作りポスティングもした。全てが初めての経験だったのでひとつひとつ調べながら1人でやるのはとても大変だった。

そんなこんなで、やっと夢だったピアノ教室をOpenしたその月に、待ちに待った1通のメールが届いた。

1番最初に体験レッスンを申し込んでくれたのがAdamさんだった。

わたしは嬉しくなり旦那さんに、すぐに話した。

「体験レッスンの申し込みがあったよ。しかも外人さんみたい!
どこの国の人かなぁ?男かなぁ?女かなぁ?」

「Adamなんだから男だろ!笑」

「あっ、アダムとイブのAdamか〜!笑」

なんて馬鹿みたいな会話をしたのをよく覚えている。

でも、なんでだろう。。。
Adam ◯◯◯◯◯
フルネームで書かれたその名前は、なぜかどこかで目にしたような、すでに知っているような気がした。

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