同僚に紹介されて読んだ本です。
↑kindle版
2023年10月20日の京都大学での講演と、10月23日の早稲田大学での講演を収録したもので、当然ながら内容に重複があります。でも2度語られるからこそ、事態の深刻さが心に染みてきます。
「はじめに」にあった、現在のガザについての報道は「出来事を報道しながら、その報道によってむしろ真実を歪曲、隠蔽するという、エドワード・サイードが『カヴァリング・イスラーム』と呼んで批判した『イスラーム報道』の典型」(p.4)という指摘に、目を開かされる思いでした。
この指摘の意味も、重いです。
イスラエルによるパレスチナ住民への攻撃の実態も、分かっているようで分かっていませんでした。
付け加えると、医薬品が慢性的に不足しているガザでは、脚を切断する際の麻酔もありません。
なお、『ビッグイシュー日本版』の2024年1月1日号に、イスラエルがパレスチナの子どもを狙う理由が書かれています。
岡さんのこの言葉は、私自身にも当てはまります。私は2008年末から2009年にかけてのガザへの攻撃の際は、授業を通して生徒に、今ガザで何が起きているのか、その背景は何かを伝え、虐殺を止めるために出来ることはしてほしいと訴えました。でも私は2011年11月の攻撃も、2014年の攻撃(五十一日間戦争)のことも、覚えていません。もちろんその時にニュースは観て、心は痛めたのでしょうけれど、忘れてしまったわけです。言い訳にもなりませんが、2021年の攻撃の際は、また生徒にガザのことを伝えました。昨秋(2023年)も。
現在、その食糧援助すら充分に出来ず、ガザの住民は飢餓状態に陥っています。
人間であるため、私はガザに生きる人々が人間であり、今も苦しんでいることを忘れません。
ナチスによるユダヤ人絶滅計画を経験したユダヤ人が、同じことをパレスチナ人にするとは、ありえないことです。
長い引用になりました。痛すぎる指摘ですが、真剣に考えねばなりません。
例えば「イスラエルの人権侵害の犯罪を告発する者たちは、イスラエルにとってテロリスト」(p.178)です。
何かしなければといっても、とりあえず私に出来るのは、募金くらいです。募金なんて自己満足とか、いろいろご批判もあるかと思います。でも自己満足でも何でも、そのお金が集まれば、食糧を配布できたり、医療を提供出来たりできるのです。もちろん上記の通り、本当に必要なのは政治的解決ですが。
とりあえずご参考までに、日本ユニセフ協会と国連WFP(世界食糧計画)のリンクを貼っておきます。どちらの団体もお好きではない方は、国境なき医師団など、他にもガザへの緊急支援を行っているところは、いろいろあるかと思います。
うろ覚えなので、正確ではないかもしれませんが、こんな話があります。戦後、ナチスによるユダヤ人迫害の実態が明らかになった時、あるドイツ人は「私たちは知らなかった」と言って、泣いたそうです。それに対し、生き延びたユダヤ人は言いました。「いいえ、あなたたちは知っていた」と。私たちも、ガザのことを「知らなかった」と言うことは、許されないのではないでしょうか。
以下の記事にも書いたように、私はガザの住民側の視点から、この問題を捉えたいです。
パレスチナ問題について小学生・中学生向けに書かれたのが、以下の本です。分かりやすさを優先するあまり、やや正確さを書いている部分もありますが、導入としては悪くないです。
見出し画像は、東京ジャーミーで撮った『コーラン』です。イスラーム教は、本来は平和の宗教です。テロ行為は、いかなる理由があっても正当化することは出来ませんが、イスラーム教を信じる彼らが、なぜテロ行為に走らざるをえないのか、その背景を知らずに、彼らを非難することは許されないと思います。