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【展覧会】「創建1200年記念特別展 神護寺 空海と真言密教のはじまり」(東京国立博物館)に行ってきた

2024年9月8日まで開催中の「神護寺」展に行ってきました。前売り券を買ったのに、うかうかしていると行きそこなってしまうので。


備忘録代わりに、作品番号順に印象を書いていきます。展示順とは一致しません。


・弘法大師像(神護寺)(重文)
板の浮彫なのがすごい! 神護寺の大師堂の本尊としてまつられている秘仏です。


・弘法大師像(互御影)(神護寺)
弘法大師と八幡神が互いに相手の姿を描いたという、いわれがあります(鎌倉時代の模写)。似顔絵の描きっこ?


・真言八祖像(神護寺)(重文)
弘法大師のお師匠さんの恵果は、どこにでもいそうなお顔です。ちょっと、おとぼけ顔ですらありました。ダライ=ラマ14世が、実物はものすごくオーラがあるわけではなく、どこにでもいそうなお爺さんなんだけど、でもやはりありがたい感じであったことを思い出しました。
ちなみに英語表記は、例えば恵果はHuiguoのように、中国語の音なのですが、弘法大師のみKobo Daishi(Kukai)と、日本語のローマ字表記でした。もちろん正しいのだけど、ちょっと違和感。


・御請来目録(教王護国寺)(国宝)
最澄筆です!


・灌頂暦名(神護寺)(国宝)
空海筆なのですが、「メモといえど達筆」というキャプションが付いていました。確かに。達筆のメモ、書きたいです。


・両界曼荼羅(高雄曼荼羅)(金剛界)(神護寺)(国宝)
今回の展覧会の主役の1つです。修復が済み、金の線が見やすくなったそうです。空海が筆を入れたと伝えられるとのこと。

ちなみに空海は、「真言は漢字表記では、本来の意味を失う。だから理解のために図画が必要」と言ったそうです。曼荼羅もその一つでしょうか。

軸先の三鈷杵の螺鈿細工が美しかったです。

「映像で解説する高雄曼荼羅」コーナーの8Kの映像で見て、綾織りであることがはっきり分かりました。


・後白河法皇院宣(平親宗筆)(神護寺)(重文)
「高雄曼荼羅をさっさと神護寺に戻すように」という内容が、短い文面かつ、きっぱりした文字で書かれています。


・釈迦如来像(神護寺)(国宝)
赤い衣を着ることから「赤釈迦」の名で知られています。赤の色合いの美しさと言ったら! 細く切った金箔による截金文様がすごいです。


・大般若経(神護寺)(重文)
紺色の紙に金で書かれているのですが、その保存状態の良さと言ったら、最近書かれたもののようです。平安時代のものとは思えません。


・紺紙金字一切経経帙(神護寺)(重文)
経帙とは、複数の経巻を巻き包むための道具だそうです。雲母がきらきらして豪華な一方、46-2に描かれていた子どもが可愛らしかったです。

奈良博の以下のサイトで、画像を見ることができます。

https://www.narahaku.go.jp/collection/766-0.html


・僧形八幡神像(互御影)(神護寺)
上記の「似顔絵の描きっこ」の、空海が八幡神を描いた方。鎌倉時代の写しですが、空海さん、書だけではなく絵もお上手だったのですね。


・両界曼荼羅(金剛界)(神護寺)
国宝の高雄曼荼羅は4メートル四方ですが、それを1メートル四方に縮小したものです。鎌倉時代のもので、今は見えなくなっている線も見えるというだけではなく、このくらいのサイズ感の方が、全体が把握しやすくて良いなと思いました。いえ、別に国宝を否定しているわけではありません(^-^;


・尊勝曼荼羅(神護寺)
大日如来が座す蓮華が獅子7頭で構成されています。


・十二天屏風(神護寺)(重文)
個人的には風天が好きです。


・両界曼荼羅(高橋逸斎筆)(知恩院)
表装まで絵で精密に写し取る執念に脱帽。これで初めて胎蔵界の方に描かれているカニなどの動物たちが確認できました。獅子は松の木か何かかと思ったのは、ともかく。


・紫潭祥雲硯(神護寺)
赤い石の色合いが良かったです。こういう硯を使えば、字がうまくなるかしら(そういう問題ではない)? 裏側の銘文が活字のようでした。石に活字のような字を彫る技術に感動。


・伝源頼朝像(冷泉為恭筆)(東京国立博物館)
ものすごく精密に写し取っています。当たり前ですが一発勝負で、ちょっとでも書き損じたらおしまいなわけで、その集中力がすごいです。


・薬師如来立像(神護寺)(国宝)
こちらも今回の展覧会の主役ですね。今回、内容が後期展示の方が良さそうだと判断したため、この時期に行ったのですが、公式サイトによるとこの薬師如来立像の光背とステージ背後の白幕を取ったそうで、「背後の十二神将立像との一体感を感じる展示となった」とのこと。薬師如来の後ろ姿がとても良かったので、後期にして良かったです。


・日光菩薩立像・月光菩薩立像(神護寺)(重文)
ちょっと珍しいお顔です。


・五大虚空蔵菩薩坐像(国宝)
宝光虚空蔵の緑、蓮華虚空蔵の赤は分かりやすく残っています。業用虚空蔵の持ち物が謎だったのですが、調べたら多分三鈷杵を十字に組み合わせたものですね。中尊の法界虚空蔵を他の四尊が取り巻く形の展示方法が良かったです。


・愛染明王像(康円作)(神護寺)(重文)
康円は運慶の孫にあたります。玉眼の力がすごいです。


・四天王立像(大黒屋長右衛門作)(神護寺)
江戸時代の作ですが、衣装などからすると、もっと新しくすら見えます。小ぶりなのですが、お顔が怖く、迫力がありました。


・十二神将立像(吉野右京・大橋作衛門等作)(神護寺)
酉神と亥神が室町時代、あとは江戸時代の作です。何だかそれぞれ、吹き出しを付けられそうでした。子神は「イェーイ」、巳神は「あれー」という感じ。


・二天王立像(神護寺)
最近の展覧会恒例の、撮影可のコーナーです。


増長天(左)と持国天

増長天に踏んづけられている餓鬼が、のたうっている感じで印象的でした。


お腹ペコペコで「ゆりの木」に向かう途中、通りすがりにちらちらと観たもの。


「抱擁」(二代目平田郷要作)

これ、何度見ても可愛らしいです。


文殊菩薩騎師像および侍者立像(興福寺伝来)

いわゆる「渡海文殊」です。2年前、どうしてもこれを見たくて忙しい中東博に来たことがあるのですが、その後少なくとも2回、出会っているんですよね。まぁ、あの時見たことに、意味があったということで。


不動明王立像

不動明王としては柔和なお顔だなぁと思ったら、キャプションに「顔の作りが中央にまとまり、表情もややおとなしいことや衣の線が整っていることなどに、洗練された趣があります」と書かれていました。なるほど。


豚ロースかつ重(1,780円)

久しぶりに「ゆりの木」で、天丼以外のものを食べました。

満腹になり、帰途につきました。



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