【読書】今川氏の位置づけ~『どうした、家康』(上田秀人ほか)~
大河ドラマ「どうする家康」に便乗したのが、バレバレの題名の本です。
↑kindle版
とはいえ、13人の作家に家康がらみの短編を書かせ、それで家康の生涯を追うというコンセプトは面白いです。短編だからこそ、手軽にどんどん読めますし。巻頭に「徳川家康関連地図」、巻末に「徳川家康略年譜」が付いているのも親切で、各短編の理解を助けます。また、カバー装画と扉画を手掛けた大高郁子さんの画がとても可愛く、かつこれまた各短編の理解を助けます。
どの作品も面白かったですが、難点をあげるとすれば、13人中2人しか女性作家がいないのは、いかがなものかと……。良い歴史小説・時代小説を書く女性作家はたくさんいるのに。半々にすべきとまでは言いませんが、2人は少なすぎます。
以下、印象に残った部分を、備忘録代わりに書いておきます。
今川家がそういう位置づけであることは、知りませんでした。別の作品では、もう少し詳しく書かれています。
大河を観ていて、今川方の人質になるはずの竹千代が織田方に奪われた後、何で結局今川方に行ったのかが不明だったのですが、巻末の年表に8歳の時に「織田・今川との人質交換で、駿府に赴く」とあり、ようやく得心がいきました。
三河一向一揆の最中の築山殿(瀬名)のセリフですが、今回の大河同様、この作品の瀬名は考える頭・見る目がある設定になっています。まぁ最終的には、とほほな理由で、ある判断を行うのですが……。でも今川家が上記の通り、私が思っていた以上に家柄が良く、かつ瀬名がその血を受け継いでいる(母が今川義元の妹らしい)ことを考えると、「とほほ」であって「とほほ」ではないのかな。ネタバレを避けるため、こんな書き方ですみません。
あと、それこそ大河でも描かれましたが、寺内町、すごいですよね。一種の自治都市と言えます。家康も、上手にその力を使いこなせば良かったのに。
なるほど。大河では松平から徳川に姓が変わった経緯も描かれなかったので、この作品でよく分かりました。まぁもちろん創作がだいぶ混ざっているのでしょうけど、家康が一時的に「藤原」だったとは知りませんでした。
神と祇の違いが分かりました。
分かりやすいです。
ちなみにこの『どうした、家康』を読もうと思ったきっかけが、この作品です。最近私がはまっている「三河雑兵心得」シリーズの作者の井原忠政の短編が、収録されていると知ったもので。
茶屋四郎次郎と朱印船貿易がつながるとは。ちなみに巻末の年表を見て、朱印船貿易って1601年、つまり江戸幕府成立前に始まっていると知りました。
見出し画像は、浜松市章の付いたマンホール蓋です。