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【読書】地球温暖化の原因とは~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.491 2024.11.15)~

『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第94弾です。そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「恐竜関心大国 日本と恐竜」です。

日本画家のししよしよしさんによる表紙絵がとても美しいです。

哺乳類は乳歯が永久歯に生え変わると、それっきりですが、恐竜は一生生え変わります。とはいえ、一気に生え変わると歯がない状態になるので、徐々に生え変わる。すると歯並びが悪くなるので、噛み合わせは悪かったはずです

pp.7-8

恐竜の歯並びが悪かったとは、ちょっと面白いです。歯並びが良い恐竜というのも、これはこれで何だか微妙ですが。


「恐竜は、隕石衝突よりも1000万年前の7600万年前頃から、一部の草食恐竜を除いて、その多様性が低下していたらしいことが明らかになってきました。そして、生物多様性が下がることで、生態系が崩壊しやすくなり、大量絶滅のリスクが高まっていたらしいこともわかってきました」
「恐竜の研究が、過去を知るだけではなく、現代の生態系を理解し、近未来を考えることにつながるだろうと願っています」

p.10

6回目の大量絶滅のリスクが高まっていると言われる現在、考えさせられます。生物多様性を低下させている原因が人類であることを考えると、特に。


特集以外ではまず、「世界短信」のガーナの記事が印象的でした。

今年7月、同国で「ジェンダー平等における差別是正措置法」が可決。人権活動家たちが10年以上にわたり働きかけてきた結果だ。
この法律は、官公庁や民間企業でのリーダー職に女性が一定の割合を占めるように義務付け、2026年までに3割、30年までに5割へ引き上げることを目指す。順守する企業には税金が優遇される。

p.11

日本もこういう法律が必要なのではないでしょうか。もっとも、数だけ増やしても仕方がないわけです。逆に能力が高いとは言えない女性を、数合わせのように登用するのは、「女性は能力が低い」というイメージを植え付けるためかと疑いたくなります。


「スペシャルインタビュー」のニック・ケイヴの言葉も良かったです。

ケイヴは「世界の魂と人類そのものの精神をむしばむもの」の象徴がAIだと釘を刺す。
「俺にとっての創造の苦しみは、芸術に限らず、人間としてのあらゆる意味で、世界を動かすために欠かせないエンジンなんだ。それなしで、何が残る? それが怖いよ。最後には、人類は何かの前にひざまずき、陳腐で無意味なものに畏れを抱くようになる」

p.14

前号のピーター・バラカンさんもそうでしたが、まともな感覚を持っている人は、AIの作るものは芸術ではないと思っていますよね。


地球温暖化の原因についての、清水靖子さんの考察にも頷かされました。

そもそも、海面上昇を含む地球温暖化の本当の原因はCO2によるものだけなのか。簡単に信じ込まされてしまっている面がないだろうか?
私は、長年の原生林を守るかかわりと調査から、地球温暖化の”最たる原因のひとつ”は、”原生林の大規模商業伐採”であることを確信している。多様で相互に依存しあっている原生林の生態系は、ひとたび大規模伐採のブルドーザーが入ると、将棋倒しのように脆くも崩壊させられる。CO2を吸収している森を奪われて、裸になった大地に砂漠化と干ばつが進行し、さらに山火事を広げ(CO2を排出)、悪循環を繰り返しながら、地球温暖化への一因となっていく。(中略)
原生林を消失させてきた国(世界一の熱帯材消費国)とは、他ならぬ、私たちの日本なのである。IPCCも、日本の企業も新聞も、「原生林を伐っても、植林をすれば問題ない!」と宣伝する。しかし騙されてはいけない。「単一樹種の植林」(主にユーカリ植林)こそは、大地の水分と滋養を著しく奪い、砂漠化を進め、山火事を広げる者である。
IPCCの強調するCO2地球温暖化説の結果として、原発推進の必要性が強調されるようになった。しかし、原発はウランの濃縮段階から発電に至るすべての過程で膨大なCO2を出す。さらに原発からの温排水は各地の海を温め続ける、いわば原発は”海温め装置”なのだ。

p.18


森の案内人・三浦豊さんのクスノキについての説明も印象的でした。

「葉を茂らせて木陰をつくり、気圧を生んでその足元に風を呼び込みます。暑い時はその木陰に入ると涼しく感じますよ」

p.19

クスノキ1本でも、そういう力があるのですから、原生林ならなおさらです。


今号も、本当に学びが多かったです。

『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった高島さん、いつもありがとうございます!



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margrete@高校世界史教員
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