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【読書】運動は最強のアイテム~『最強脳ー『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業ー』(アンデシュ・ハンセン)~

『スマホ脳』の著者であるアンデシュ・ハンセンが、子どもや若者向けに書いた本です。


子ども向けということで、『スマホ脳』より字が大きく、言葉遣いも柔らかく、挿絵もあり、読みやすいです。そしてスマホやSNSの害を声高に言うのではなく、さらっと触れるだけなので、スマホ命の子も、抵抗なく手に取れるのではないでしょうか。運動の効能の1つとして、「ゲームが上手くなる」ことまで挙げているのですから。


最初の「日本の読者の皆さんへ」には、こうあります。

実は、この本の結論は一言で言えてしまいます。
運動をしよう――そうすれば脳は確実に強くなる。

なら、ここまで読んだらこの本は閉じて、さっさと運動を始めれば良いわけですが、もちろんそんな人はまずいないでしょう。だからこの本があるわけで、運動が脳にとって良い理由が、手を変え品を変え語られています。


ちなみに運動と言っても、何もトライアスロンとかをしろというのではなく、まずは散歩とかで充分だというのですから、気軽に始められます。というか、何しろ始めてみることが大事。


その結果どうなるかは、第11章に書かれています。

この本をしっかり読んだ人は(そしてその通りに運動した人は)前よりも幸せな気分になり、賢くなり、集中も出来るようになり、ストレスに強く、発想力が豊かになり、ゲームも上手くなり、さらには記憶力も良くなっているはずです。つまり、この本を読む前よりもレベルアップしているのです。

言うことなしですね。運動は最強のアイテムと言えるでしょう。


座っている時間が長い子、さらにテレビを1日3時間以上見ている子たち(中略)は、集中力も記憶力もあきらかに悪かったのです。おまけに考えるのも遅かったそうです。

「これはスマホが登場する前の研究」だそうですが、もちろん「テレビ」は「スマホ」や「タブレット」に置き換えられるわけです。コロナ禍でオンラインでの自宅学習を強いられる子たちの脳が、本当に心配です。


運動は発想力を数時間ほど高めてくれます。基礎体力もつければ、思いついたアイデアを実現するためのパワーもわいてくるはずです。

毎日1時間目が体育の授業なら、どれだけ勉強がはかどったでしょう!

この本を読むとその通りなのですが、現役の教員としては、体育のすぐ後の授業で生徒が集中しているかといえば、いま一つ疑問です。休み時間中に着替え終わってくれないと、こっちの授業時間は減ってしまうし。


昔、私たちは狩りをしながら移動して暮らしていました。(中略)その時代は生きのびるために様々なタイプの人が必要でしたし、今でもそうです。みんな同じではない方が人類全体にとって良いことなのです。

これは「ADHDが進化の中で残った理由」という小見出しの中の一節ですが、とても納得がいきました。


とても簡単なテクニックを使うだけでテストの成績が10%も上がることが分かりました。(中略)生徒たちの脳の前頭葉が活発になったそうです。特に作業記憶と集中力に大切な左側が活発になりました。
そのテクニックがどんなものだったかというと、座らずに立ってテストを受けただけのことでした。

これ、生徒にやらせたいですが、どう考えても無理なのが残念です。


25歳より若い人たちは、衝動のコントロールがまだあまり上手く出来ないということになります。(中略)10代の子供の脳はごほうびに非常に弱いということになります。(中略)ブレーキはまだ作っている最中なのに、今すぐ何かをしたいという衝動は立派に機能しているのですから。実はそれが、子供や若者がごほうびをたくさんくれるスマホのえじきになってしまう理由なのです。

やはり少なくとも高校生までは、スマホの使用には大幅な制限を設けるべきだと個人的には思います。


見出し画像には「みんなのフォトギャラリー」で出てきた、準備運動をしている(?)猫ちゃんの画像を使わせていただきました。


↑新書版



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margrete@高校世界史教員
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