ようり

ようりはmeet-meの住人。主に箱から出たものを高値で売りさばくことを生業とする「まれ屋」の店主。 まれにしか良い物が仕入れられないため、営業もまれ。 洋服のデザインなんかもしているが、採用もまれ。

ようり

ようりはmeet-meの住人。主に箱から出たものを高値で売りさばくことを生業とする「まれ屋」の店主。 まれにしか良い物が仕入れられないため、営業もまれ。 洋服のデザインなんかもしているが、採用もまれ。

最近の記事

078-揣摩臆測 ‟sophia”の向こう側

【2011年11月某日 笹塚 回想中】 『お互い言い過ぎたのだから』という咲夜さんの仲裁でsophiaさんが‟暴走”したということだったけど、そのときの話を聞いたわたしには、‟暴走”というほどのことではないと思えた。  結果的には、そのとおりだった。  あのときの松乃さんからの詳細な第二報からは、ほぼいつもどおりのsophiaさんのようすがうかがえたから。  まったくの、本当にまったくのわたしの無責任な当て推量なのだけれど、sophiaさんは良かれと思ったアドバイスで思いの

    • 077-10月27日付 松乃さんからのメッセージ

      【2011年11月某日 笹塚 回想中】  松乃さんの話では、sophiaさんと風香さんの衝突は2011年10月22日土曜日。  松乃さんはリアルの事情で22日から24日夜までインできなかったそうで、ふたりの衝突を知らないでいた。  たまたまわたしもリアルの都合で1週間ほどインできていなかったから、26日の夜に松乃さんから『退会する』メッセージを受け取った時はなにがなにやらわからず動揺したのだった。  松乃さんの家はすでに更地になっていたけど、事情の説明を求めて松乃さんのSNS

      • 076-松乃さんが美咲さんから聞いた事情

        【2011年11月某日 笹塚】   住宅街にポツンとある遊具のない近隣公園。  まさしくそのような空間に、わたしは佇んでいた。  そう広くはない土地にちらほらと草木が植えられ、それらをそっと押しのけるように中央が広場になっている。  土地の一辺は開いていてベンチがひとつだけ設置してある。それを照らす外灯の明かりが物悲しい。  ここは風香さんの土地だ。  まだ、そうであるはずだ。  ちょうどいまは広場となっている辺りに、10月末まで家屋が建っていた。  風香さんの家の2階は彼女

        • 075-monologue

          【2011年10月27日 松乃さんの店舗 跡地にて】 ‟MMファームの誓い”  あのときの日記にはそう表題をつけたけれど、その本当の部分は結局書き残せなかった。  残すにはすこし恥ずかしかったのだ。  わたしの知らない‟わたし”の感情だったから。  あの日記には「わたしの気持ちが通じたかどうか深掘りはすまい」と書いたけれど、本当はちょっとだけ松乃さんにわたしの想いを伝えていた。  わたしは松乃さんが必要としてくれているときに話を聞いてあげられなかったかもしれない、そばにいて

          閑話6

           ここで再確認。  わたしがここで書いているお話は ‟meet-me ~ミッドライフクライシス~”  といいます。  わたしがメタバースmeet-meで体験した、フレたちとの物語です。  副題の「ミッドライフクライシス」については、meet-meに没入してゆく実社会の‟私”のエピソードを書くことができればと考えてつけておきましたが……  うーん……  わたしが最も描きたい部分、「‟私”にとってmeet-meとはなんだったのか」を伝えるためには必要だと思ったのですが……  わた

          074-10月26日のメッセージ 全文

          【相生 松乃さんからのメッセージ】 日付2011年10月26日 00:21:54 件名 ごめんねーwww  あー連絡ついてからと思ったんだけど、あのね、いまようりさんに借りたものとかようりさんのポストに送ってるwww  ポストいっぱいになっちゃうかもだけど、ごめんwww  もーね、風香ちゃんわけわかんないし  そのせいでsophiaさんおかしくなって私ともギクシャクしちゃうし  腹立つし面倒だから松乃はMM退会しますwww    ごめんねー  ようりさんあのときも私のこと心配

          074-10月26日のメッセージ 全文

          073-online

          【2011年10月26日が終わるころ】   せっかく開いた窓が閉じてしまう。  松乃さんが開いてくれたMMの窓が――  わたしは松乃さんのお店に車で向かおうとしたけれど、駐車場リストに松乃さんのお店がなくなっている。  家を撤去したか、少なくとも駐車場は撤去されているということ。  恐怖にも似た絶望に駆り立てられながら、バスと電車を使ってお店に向かった。  でも、でもまだ間に合う。  フレンドリストにはグレーアウトしてはいるものの松乃さんのアイコンがある。まだ退会はしてい

          072-meet-me私史上最悪の出来事

          【2011年10月26日】  突然晒しスレにsophiaさんの話題が連投され始めたのは、風香さんが引退を思いとどまったという話を聞いてから2週間ほど経ったあたりから。  sophiaさんについてのあるセンシティブなエピソードがスレに投下されたのがきっかけだった。  meet-me wikiのなかでもゴシップに特化したwikiの人物図鑑が元ネタで、投稿者は「これって本当ですか」とわざわざ晒しスレにその話題を持ち込んだのだからしらじらしい。リンクまで貼ってある。  すぐにsoph

          072-meet-me私史上最悪の出来事

          071-online

          【2018年1月31日 MMサ終の日 大井ふ頭移動中】  フレンドリストでようりのベストを着ていた風香さんのアイコン。  それを見たときの気持ちは6年以上が経過したいまでもはっきりと覚えているけれど、6年以上を費やしたいまでも言葉で言い表すことができないでいる。  フレンドリストのアイコンは、そのときのコーデを反映する。  あの日松乃さんと「最後のお話」を終えた風香さんは、述懐メッセを松乃さんに送ったあと、すぐに飾っていたようりのベストを下ろし、袖を通してくれたんだ。  それ

          070-message from matuno

          【2011年10月5日】 『昨日、一応最後のお話ししてきました』  そんなふうに始まるメッセージが、松乃さんから届いた。  そこにはここ数日の自身の‟暗躍”についての報告と、風香さんの一連の気持ちの変化について記されていた。 『やめるからようりさんに返してと送られてきたベスト突っ返すついでにねw 「自分で手に入れられるまでの約束で借りたんだから、手に入れてから返しに行きなー これ持ったまま消えたら許さないからねー」って言っといたwww すげースキなんだって、ようりさんのベスト

          070-message from matuno

          069-diary

          【2011年 ある夏の終わりの日の ようりの日記】    季節の変わり目を知らせる、最初の風が吹く――  そんな風のような出会いが  いまは別離れの風向き……  夏のある日  日常に新しく吹き込んだ風は  気づけば秋の訪れととともに  いまはもう吹き抜けようとしている  彼女がMMを引退する  それを知ったとき  風が窓辺の日記帳をめくるように  彼女との出会いの1ページ目から  思い出がめまぐるしく送られていった  だけどね  あっけないほどすぐに  白いページになっ

          068-shithouse poetry

          【2018年1月31日 MMサ終の日 大井ふ頭移動中】  MMに生まれた‟最初のわたし”には、わたしを気にかけてくれた親切なマイキャラがいた。  彼とはよく趣味のお話をしたけれど、すぐにわたしは彼の過干渉に辟易するようになる。  一見紳士的だけれど、彼のやさしさと思いやりはあまりに‟雄弁”で時にいいわけがましい。  何をするにも上げ膳据え膳でわたしに接してくれるけれど、彼の望む方向以外の選択肢を抜け目なく遮るやりかたは、なんというか酒席で遊びなれた男が下心を巧みに隠し、C調な

          068-shithouse poetry

          067-monologue 風香さんのこと

          【2018年1月31日 大井ふ頭移動中】  風香さんは松乃さんがよく遊びに行くbarの常連だったという。  MMのお洋服が好きな子で、歓談中にsophiaさんとわたしの名が出たらしい。 「まだようりさんたちとフレだって話してないけど紹介していい? なんか妙にアツくて面白いし、良さそうな子だよ」  sophiaさんにはもうOKをもらっているという。わたしにも特に断る理由はないのでOKした。  松乃さんはただ名前が出たからといって誰彼構わずつなぐようなことをしない。  実際にわた

          067-monologue 風香さんのこと

          066-online

          【2018年1月31日 大井ふ頭移動中】  RYOさんと初対面のあの日、パピヨンの見学をしたあと松乃さんが「RYOたん今日は何時ころまで大丈夫? よかったらスイカ割りしない?」って提案してくれて、いったん解散したあとまた3人でお台場海水浴場に集合したんだ。  RYOさんはお仕事で夜遅くの帰宅が多いらしく、「むしろこれからエンジンがwww」ってノリノリでお付き合いしてくれたっけ。  3人だけだったけれど楽しかった。でももうちゃんと覚えていないなあ。SS飛ばしちゃったこと本当に後

          065-online

          【2011年 夏 某日】  今日は松乃さんと”まれ屋"で待ち合わせしてお出かけ。  いつか一緒に行こうねと言われ続けた"おしゃま☆"さんのお店、青海の“papillon de nuit”にいよいよおじゃまする。  ただ土壇場で臨時休業になってしまったということで、自由に店内の見学をさせてくれるということになった。  おしゃまさんも律儀な方で、お詫びにとわざわざ案内役のキャストを1人付けてくれたらしい。 「はじめましてー RYOでーすw」  ヒエッ!  真夜中にはまだぜんぜん早

          064-online

          【2011年 7月某日 ”まれ屋”にて】  くろえさんと会うにあたって、松乃さんに声をかけたい気持ちもあった。もうわたしたちは共通のフレだし、例の嫌がらせでなにか相談事を持ち掛けられるのなら松乃さんの同席は力強い。  ただ、くろえさんはそういうことを好まない人だという印象もあった。悩みを打ち明けてそれに同調してもらい、ストレスを発散して感情的に解決することよりも、きっと理性的に物事を考えて結論する人だ。 「実は私、引退することにしたんです。お世話になった人にお別れだけは伝えた