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069-diary

【2011年 ある夏の終わりの日の ようりの日記】
 
 季節の変わり目を知らせる、最初の風が吹く――
 そんな風のような出会いが
 いまは別離れの風向き……
 夏のある日
 日常に新しく吹き込んだ風は
 気づけば秋の訪れととともに
 いまはもう吹き抜けようとしている

 彼女がMMを引退する

 それを知ったとき
 風が窓辺の日記帳をめくるように
 彼女との出会いの1ページ目から
 思い出がめまぐるしく送られていった

 だけどね
 あっけないほどすぐに
 白いページになってしまうんだ
 その白いページが
 少しさびしい

 風を掴めないように
 去ろうとする人を引き止めることはできないけれど
 それでもいつか
 白いページに新しい日付が刻まれるよう
 ただいま、と言うあなたに
 おかえり、と言えるよう
 アカウントは残しておいて欲しいな
 だってこのMM(世界)の
‟どこかにいるかもしれない”と
‟どこにもいない”は
 ぜんぜん違うから

 あの季節をもたらした風が
 今度は新たな季節の訪れを教えに
 いつかまたそよいでくれるかもしれない

 フレンドリストのグレーアウトしたあなたの姿をふと目にするたび
 そんなふうに思えるように

【カテゴリ 午前2時のセンチメンタル】


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