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なぜ、厨房改革には真空調理済み食材が必要なのか?品質管理の僕がお伝えします。
採用面接時、「私がモルツウェルの看板となる商品をつくります!」とA4用紙3枚いっぱいに思いをぎっしり書いてもってきてくれ、採用に至った、入社して5年目の里脇弘倫さん(通称ワッキー)。QC検定や食品表示検定の有資格者でもあり、やわらかい物腰の中に、熱く絶えないものづくり魂をもった品質管理のエースです。そんなワッキーに厨房改革に欠かせない、モルツウェルしかできない、長年開発を続けている高齢者向けの「真空調理済み食材」について教えてもらいました。
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1)里脇さんの仕事内容を教えてください。
食材や資材の購買、生産に必要な製造指示書の作成、製造記録の確認、食材棚卸など現場で働く人が必要な物を準備・管理することが主な業務です。また月1回工場の衛生状態を確認するための工場環境菌検査と商品が安全に加熱・保管されているか品質確認のための食品菌検査を行っています。他にも新商品の開発・お客様のご意見を参考にした既存メニューの改善や献立表に掲載するコラムの作成などを行っています。
2)モルツウェルに入社したいと思ったきっかけを教えてください。
食に関わる仕事の中で特に商品開発がやりたかったので、商品開発に力を入れている仕事を探していました。その中でモルツウェル株式会社が真空調理という他にあまり例を見ない珍しい調理方法を行っていることを知りました。真空調理について調べるうちに興味を持ち、私も真空調理法で商品開発を行いたいと思いモルツウェル株式会社を選びました。
また、会社が社員のやりたいこと・挑戦したいことを応援してくれることということを知り、商品開発が行える環境ができている点、また全国の介護施設向けの食材販売や地域の高齢者へのお弁当宅配サービスなどこれからの高齢化社会に必要な物、新たに注目を浴びるであろうビジネスに着手して先見の明があり、将来のことも見据えた仕事していると思った点です。
3)実際に入社してから、やりたかったことへチャレンジできていますか?
僕は面接の時に企業分析を行い、モルツウェル株式会社には魅力ある商品がたくさんあれど主力となる商品がないので私が看板となる商品を作りますと言ったことを今でも覚えています。新商品開発や既存メニューの改善をいった取り組みを行えているので入社前に考えてた商品開発をやるといったことは出来ています。しかし看板となる商品作りというのは実際に取り組んでみると難しく、大きな1プロジェクトとして大勢の人と協力して取り組む必要があるのでないかと考えています。
4)入社前は真空調理の調理法は知っていましたか?
入社前は真空調理のことは全く知りませんでした。なので就活中に真空調理のメリット・デメリット、実際にどのようなものが市場に出回っていて人気なのか、どういう製造方法を行っているかなど気になることを片っ端から調べました。
5)真空調理のすごさを教えて下さい。
真空調理は下処理済みの食材を調味料とともに専用の真空パックに入れて、袋のまま加熱調理する近年注目されている新しい調理方法です。
味が染みやすく、栄養素が損なわれにくい
袋に食材と調味料を一緒に入れて加熱調理を行うため、食材に味が染みやすいです。また袋の中で調理されるため栄養素もしっかりと維持されます。また真空密封して状態で加熱するため熱が均等に行き渡ります。食材全体が一様に加熱されるため外側が焦げたり、中が生焼けになったりする心配もなく、食材が柔らかく仕上がります。
クックチルと比べて賞味期限が長く、衛生面が優れている
真空後の製品はレトルト釜で加熱することで殺菌され、加熱後は提供まで食材に直接触れることがないため食中毒などのリスクが低くなっています。クックチルの賞味期限が5日程度しか持たないのに対して弊社の真空調理済み食材は加熱殺菌の効果により2週間チルド帯での保存が可能になっています。なので、全国発送が可能です。
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僕たちが作っている、モルツウェルの真空調理商品「楽盛」は高齢者の毎日に食事という「楽しみ」をご提供するために和・洋・中様々な飽きのこない食事ラインナップとお客様に合わせた食事形態を兼ね備えた弊社の食事提供サービスです。楽盛は調理済み食材でのため温めてお皿に盛り付けるだけで準備が済み、調理経験のないスタッフや人員が少ない厨房でもすぐに食事提供することが出来ます。
食材選び、製造工程、品質チェック、すべてに妥協はありません。
仕入れ業者さんの衛生環境のチェック、食材の素材選びから、カットの大きさ、そして調理工程、加熱殺菌温度の設定など、商品が出来上がるまでには様々な関門があります。仕入れ業者さんとの信頼関係はとても大切。取引業者さんの工場視察に伺ったり、展示会に足を運んだりして信頼関係の構築を行います。また社内では、各工程が確実に安心安全な製品を製造できるように、日々環境づくりをしています。
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毎月お客さまから頂くご意見を、献立のブラッシュアップや新商品の開発に活かしています。
僕たちが開発する商品を最終召し上がっていただくのは、高齢の方がほとんどです。味の微妙な甘さ、辛さのほか、特に固さなどは、嚥下機能が低下したお客様にも食べやすく、味わって食べていただけるように何度も何度も試作を繰り返します。気が遠くなる作業になるときもあります。開発担当者や製造担当者、僕たち品質管理、全社で商品づくりをしています。
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6)品質管理ってどんな仕事ですか?
商品の品質を管理し、安全安心な商品を安定して製造する仕事です。製造した商品が安心だと証明するために様々な書類や規則を作成し、人や物の管理を行っています。
具体的に僕は工場で使用している道具や機械類がしっかりと清掃・殺菌処理されているか確認するふきとり菌検査と製造した商品がしっかりと加熱され適切な温度管理がされているか抜き取り食品菌検査を行っており、日々製造される商品が綺麗な環境で安全な物が作られていることを定期的に確認しています。
品質管理の仕事の醍醐味は、品質を向上させるために組織間で連携して取り組みを行い、自分たちが製造している商品に付加価値をもたらすことです。お客様からの献立に関する意見を聞き取り、より美味しく改善したり、不良品や無駄を削減し、作業効率が上がるような業務改善を行うことでコストや労務費が削減され組織として総合的なパフォーマンスが向上します。
食品表示については、特に仕入れ業者さんとの連携が必要になります。規格書のやり取りもしっかり行い、食品表示をきちんと行うことはまず食品製造者として必須です。お客様も僕たち作り手も、提供する厨房のスタッフの皆さんや、施設担当者の方々、みんなが安心して、利用し続けていただける商品やサービスにしていくことに、何よりやりがいを感じています。
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7)品質管理の仕事をしている中で、お客さまから最近どんな質問が多いですか?
・朝食だけ、昼食だけなどでも利用できますか?といった質問があります。朝が忙しくたくさん人員も用意できないので朝だけ利用する、デイサービス用にお昼だけ利用するといったように施設の要望に沿った発注も対応可能です。
・禁止対応は可能ですかとの問い合わせは多いです。
アレルギー対応はできませんが、ご利用者様の好き嫌いや持病で食べるのを避けた方が良い食材などは変更対応が可能です。
8)Z世代の品質管理担当ワッキーが考える未来の厨房って?
厨房受託ではご利用者様の健康状態に合わせてごはんやおかずの量を調整したり、持病や好き嫌いに合わせて献立を一部変更したりとご利用者様一人一人に合った食事を提供する必要があり、それに対応する厨房職員の作業はとても複雑になります。実際私も厨房受託に研修を行いましたが、ごはん一つとっても盛る量が80g~200g、おかゆ、ミキサー粥などが組み合せで存在し、表を作ってそれを見ながら作業を行っていたのを今でも覚えています。そんな複雑な厨房の作業はご利用者の人数変更や食札の変更などが手書きで変更するアナログ形式のことが多く、中々改善できないことが多いです。
そんな厨房の困りごとをデジタル化によって解決するために
「モルツ(Morzwell)に関わる全ての(All)人(Person)が幸せ(Siawase)になるため」のMAPS推進チームとともに、食事サービス総合支援システムの開発を進めています。
9)このサービスによって解消されるお客さまの悩みは何ですか?
・ご利用者様一人一人のごはん、おかず、汁の量や禁止対応といった個々の情報は紙ではなくパソコンやタブレットで管理できるようになります。これにより今まで変更がある度に手書きで書類を修正していたものがパソコン上で簡単に変更情報を反映させることが出来ます。
・ご利用者様によって禁止食があり決まった代替品を出していることが多いと思いますが、MAPSでは豊富なメニューのから禁止食対応もあらかじめ選んで注文できるため禁止食用に在庫を抱えることや禁止食のだぶりなどを気にすることもなくなります。
そのメニュー開発を僕たちも一緒に取り組んでいます。
10)ズバリ、理想の厨房はどんな厨房だと思いますか?
誰でもすぐに即戦力として働くことが出来る環境が整っている厨房です。
介護施設の厨房では前述した複雑な食事形態の他にも提供時間に合わせたタイムマネジメント、安全な食事提供のための衛生管理、スタッフ間での円滑なチームワークとコミュニケーションなど様々な仕事やスキルが要求されます。これらに関する規則や作業手順などがデジタル化でわかりやすく整理され、誰でも作業ができるようルーティン化された物になれば働きやすい理想の厨房になると思います。日々の業務がルーティン化されたならば季節や時期に対応したメニューアレンジや業務改善などサービスや作業効率の向上といったことに頭が使えるようになり、より良い厨房を目指すサイクルが回せると思います。
しかし、障壁もまだまだあります。
なんにでも当てはまることですが新しいことを始めることに対して人は抵抗を持つものです。切り替えて失敗したらどうしよう、新しいことをたくさん覚えないといけないと知らないことが多いから不安になるのも当然だと思います。なのでまずは営業やサンプルなどを通してモルツウェル株式会社を知ってもらうことからだと思います。話を進める中でMAPSについて知り、今の業務と比較してもらって困りごとや資金面などが改善されるならばMAPSの導入を考えてもらいたいと思います。
厨房職員の高齢化も障壁になると思います。今まで手書き、経験と勘といったアナログな形式で仕事を行っている厨房に対して急にパソコンやタブレットの話をしても機械操作は難しいといった偏見やイメージが先行してしまい、商談すら難しいことになりかねません。具体的な操作の簡単さの説明やパートやご高齢の方でも簡単に扱えるといった事例などがあると導入へのハードルが下がるかなと考えます。
【なぜ、厨房改革には真空調理済み食材が必要なのか?まとめ】
・クックサーブではもう人材の確保ができない。
・煩雑な作業をしながら、食中毒リスクの高い高齢者への食事準備に衛生面で限界がある。
・様々な食事形態や禁止食材への対応をするには、管理に限界がある。
・消費期限が長く、衛生面に優れている取り扱いがしやすい真空調理済み食材が、BCPの観点からもベスト。
・さらに、再加熱キャビネットやMAPSと併用すれば、誰でもワンオペで作業できる。
その背骨となれるのは、僕たちがつくり続ける真空調理済み食材「楽盛」なのです。
しかし、そこには人と人。
だからこそまずは、お客様とのコミュニケーションから。
お客様アンケートでいただくご意見に真摯にお答えすることや、地道な衛生環境の監査や改善、商品のブラッシュアップ、今が完璧でないからこそ、お客様から頂く声が私たちの道しるべになります。
直接お客様にお会いすることが少ない僕たちですが、日々の仕事がお客様の大切な命をつなぐ一食一食だと思って、これからも努力をしていきたいと思います。
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それを忘れず、安心していただける商品をこれからも作り続けます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
まだまだ私たちの挑戦は続きます。
応援よろしくお願いします♪