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【スポーツ栄養学】【カフェインフリー】移動時間で差がつく コーヒーの代わりに○○○○!
今回のテーマは、スポーツ選手の移動時間の活用方法。
練習前後の長時間の移動など、眠気や疲労感の強いシーンにおいて体の速い回復や不快感の軽減に向けて、どういった栄養でのアプローチができるのかのお話です。
【移動が必須なスポーツは多い】
わたしが夏や冬によく行うスキーやトレイルランニングに共通していることの一つに、山で行われるということがあります。
これ以外でも限られたフィールドで行うスポーツでは現地への移動が必須になります。
スポーツ選手の中には、住んでいる街とフィールドが離れていて車などでの移動が必須の方も多いのではないでしょうか。ときには長距離の移動が強いられる場面でついウトウト。そんな体験はありませんか?
【運転中の眠気の原因】
まずは移動中(運転中)の眠気について。
移動といっても、様々な時間帯が想定できますが、わたしの実体験からすると行き、帰りであれば「帰り道」、朝方よりも運動後の「夕方から夜」の移動の方がしんどいことが多いです。
皆さんはどうでしょうか。
運転中の眠気を引き起こす大きな原因としては
①疲れたから眠くなる ②夜になると眠くなる。
の2つがあるそうです。それぞれみると、
① 疲れたから眠くなる:日中の疲労により、脳の活動が低下して眠くなるもので、昼間の行動時間に依存するしくみ。日中に運動や勉強を沢山した行動的な一日はその分ぐっすり長時間眠ることができるのもこのようなしくみ。
②夜になると眠くなる:体内時計がはたらき、夜に自然と眠くなるしくみ。このしくみに重要なのが、メラトニンというホルモン。メラトニンは、暗くなる夜になると分泌され、日中の活動的な状態から休息状態に切り替えます。ドライブ中は特に、室内は暗くなりやすく眠くなりやすいです。
やはり疲労が蓄積する午後や、暗くなってからの方が眠気は強くなりそうです。さらに日中に激しい運動を行う場合には通常よりも疲労蓄積もありますね。
【ドライブのお供は?】
疲れていても移動しなくてはいけない。
待っている人やペットがいたり、翌日も仕事であれば、なるべくスムーズに帰りたいですね。そんな時に皆さんが眠気や疲労感の対策に使うのはどんなものがありますか?
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多くの人はコーヒーやエナジードリンクなどカフェイン入りの飲料などを試すでしょうか。
実は栄養学的にはこれが、かなり体に負担かかります。
疲れた体に鞭、打ってます。
間違ったカフェイン摂取が、回復を目指すどころか疲労増大につながる可能性があります。
ただ皆さんは実際にカフェインの何かしらの効果を実感して利用していますよね。どういう作用があるのでしょうか。
カフェインで活力や集中力が向上したと感じるのは、実はカフェインが脳に作用して、脳のブレーキの役割をする物質の分泌を抑制し、反対に交感神経を緊張させて興奮作用のあるアドレナリンなどのホルモンを放出しているからです。一時的に脳のリミッターを外したような状態ということです。
このためカフェイン摂取は``元気の前借り‘‘ともいわれています。
ではカフェインについて詳しく解説👇
【カフェインの作用】
カフェインの作用①アデノシンの抑制
カフェインには睡眠や鎮痛作用(=ブレーキの役割)のあるアデノシンの作用を妨害する作用があります。このため、眠気が起こらず、反対に覚醒の効果が起こるのですね。この効果は大体4~6時間程度といわれています。
カフェインの作用②血糖値の上昇
カフェインによって、放出されたアドレナリンは体内で肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があります。
食事をしたわけではないのに血糖値が上がるなんて不思議に感じますよね。日中の練習後に疲労によって低下していた血糖値が、カフェインの摂取により一時的に上がることで食事をとった時と同様に元気が出るという仕組みです。
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走っている間、食事や補食をしていなくても運動中は興奮状態で常に血糖上昇、走行中は空腹状態でも100以上をキープ。同じくアドレナリン等ホルモンでの血糖上昇作用を示しています。
カフェインの作用③エネルギーを作る手助けをする
体の中では、食事から得た糖質や脂質、タンパク質の三大栄養素からエネルギー(ATP)が作られます。このとき、体内の代謝過程では三大栄養素だけではなく、あらゆるビタミンやミネラルなどの手助けがあってはじめてATPに変換されます。このATP産生の回路の一つに「電子伝達系」という回路があります。この回路でATP生産の手助けをしているのが、カフェイン。なんです。
ということは、カフェインが入ればATPを作る回路がガンガン回せる。
ATPが作られれば元気が出る。というしくみ。
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なんとなくカフェインの作用がわかってきたでしょうか?
では続いてカフェインの問題点をみていきましょう。
【カフェインの問題点】
カフェインの問題点①カフェイン中毒
皆さんは一日で平均どれくらいコーヒーなどのカフェインを摂取していますか?朝、仕事を始める前、昼食後、休憩時間、、、?
ドライブに限らず、集中したいとき、気分転換したいとき、様々なタイミングでコーヒーブレイクありますよね。
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では中毒症状はどうして起きるか。
カフェインを摂取したことで分泌されるアドレナリンなどは報酬系の伝達物質であり、この物質自体が中毒症状を起こしやすく、「コーヒー中毒」が起きています。
飲まなくてはいられない?
デスクには常にドリップコーヒーのストックがないと不安?
問題なのは無自覚のうちにこの中毒症状に陥り、気づいたらコーヒーやエナジードリンクを飲まずにはいられないということ。
カフェインの過剰摂取によって、ドーパミンやアドレナリンを過剰に分泌していると、自立神経は乱れやすく、またこれらのホルモンを分泌している「副腎」という臓器そのものが疲弊してしまうことがあるのです。
疲弊した副腎は大事な場面でホルモンを分泌できなくなり、血糖値を上手に保つことができなくなります。
血糖値をうまくコントロールできないと、日々の練習や大会、スポーツの大切なシーンでやる気や集中力がでないばかりか、ひどい場合にはこのアンバランスによって、睡眠障害やうつのよう症状が現れて日常生活にも影響が出てしまいます。毎日のコーヒーが日常の原因不明の不調や気分低下に関わっているとはなかなか想像できませんよね。
もしも朝早くの運転時や仕事の疲労がたまった夕方などに毎回、コーヒーを飲んでいるのであれば、体が無意識にカフェインでのドーピングを求めているのかもしれません。
「ノンカフェインもダメなんですか!」なんて質問が浮かぶようであれば、それはもうカフェイン中毒、ともいえるでしょう。
例えばそんな傾向があるならば、一度
・空腹時や食事中、食後すぐは避ける
※ミネラル吸収を阻害するので食事中、食後すぐも避ける
・少しづつ量を減らしていく
など、特別なことはせずに少しづつカフェインを減らしていくことがおすすめです。
体をいたわり、ほどほどに、適量を楽しめるようにしていきましょう。
また、カフェインの作用③で書いたように、ATPを作る際の行程ではカフェインと同時に、他のビタミンミネラル(ビタミンB₂やコエンザイムQ10、ビタミンE等)も急激に消費するため、カフェイン切れの瞬間の倦怠感や疲労、だるさを招く恐れがあります。さらには食事などからのATPの生産時にビタミンミネラルが不足してATPが作り出せないということも考えられます。
ビタミンミネラルの無駄遣いが更なる疲労感やエネルギー不足の状態を招いてしまう、かもしれないということです。
スポーツシーンでは食事をエネルギーに効率良く変えていくことが重要ですのでここでの無駄遣いは致命傷です。
早い回復を目指すのであれば、カフェインFREE。
サプリメントでは基本の食事を大切に、さらにビタミンやミネラルのバランスが良く配合された商品を選び、使うタイミングも重要といえます。
【対策】
では栄養学的にはどういったアプローチがベストか。
まずはカフェインを少しづつ減らしていくこと。
慣れてきたらカフェインフリーを実践すること。
では、カフェインの代わりは何か。
眠気の原因で説明した②の体内時計のしくみを変えるのは難しいですし、毎日の生活パターンではないのであれば急に無理矢理に変えてしまうと健康被害が起きてしまいます。先ずは真夜中のドライブなどは適宜適切な仮眠を取り、無理のないように心がけてください。
ここでもう一つの原因である日中の疲労に対して、運動後、次の食事まで間隔がある場合、移動時においての栄養でのアプローチについてです。
【運動後には「アミノ酸」】
運動後には「アミノ酸」をおすすめします。
ご存じかもしれませんが、タンパク質(体内で分解して吸収される形がアミノ酸)には、疲労したからだを速いタイミングで修復、強化していく働きがあります。もしもトレーニング後すぐに食事が行えない場合には段々と血糖値が低下しますので、早めにアミノ酸を摂取して低血糖からの脱却(※糖新生の利用)、そして体の回復を速い段階から目指しましょう。
このタイミングでケアできるかで翌日、三日後、五日後、次の週のコンディションや練習に確実に影響します。
練習後に血糖値が低いままで行動しているとせっかくのトレーニングで鍛えた筋肉が分解され、生き延びる(最低限の血糖維持の)ためのエネルギー源として使われてしまいますし、血糖値が安定しない時間を繰り返すことで自律神経が乱れ、最悪うつっぽい気分も現れます。
しんどいし、もったいない。
このとき、余裕があるならば具入りのおにぎりや、ゆで卵、魚肉ソーセージ、などがおすすめ。ただスキーやトレランでは山を下りてくるまではコンビニなんてありませんし、特にトレイルランニングのような継続した長時間の運動や、寒さ暑さに影響される山がフィールドのスポーツでは疲れて食べる気が起こらないし、時間もない。
練習後はタンパク質に糖質を組み合わせて摂取できれば良いですが、時間がないとなればやはりタンパク質(=アミノ酸)。糖質に比べて体内で胃での消化の滞留時間も少なく消化管への負担も少ないです。
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ただ準備しようにも肉や魚や卵は持ち運びの面から難易度が高いと思いますので、ドラッグストアの顆粒タイプでも大丈夫です。あらかじめ準備ができて、飲みやすいもの、入手しやすいものを選んでみましょう。
これをすると、血糖値が安定し、頭がすっきりしてくるわけです。運転中の低血糖が引き起こす不快感がコーヒーやエナジードリンクがなくても、または他のストレスを与えなくても改善されることがあります。血糖値が補食によって安定することで、体で余計なホルモンの消費も起こらずに、後からの疲労感も軽減され回復までの時間も短縮されるのです。
スポーツ選手が勝つためには、ビタミンミネラルもホルモンも無駄にしない事です。
なんとなくご理解いただけたでしょうか。
今回はスポーツ選手に伝えたいカフェインフリーのお話でした。
やっぱり文章は長くなってしまいます。
反省、、、。
何はともあれ、日常生活で睡眠不足や栄養不足が起きていると、それは今回のようなその場の栄養のアプローチだけではよくなりませんので!
まずは毎日の生活習慣を見直してみてくださいね。
ポイントは食べて→寝て→よく動く!こと。ですー!
※アスリートは生活が比較的整っていて少しの改善で効果抜群な人多いですよ。
ぜひカフェインFREE、試してみてください!