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その本性は嘘。ほんとうは

辛い時にこそ人の本性が現れる。この言葉に私はとても苦しめられた。

この「辛い」のレベルには限度がある。
それを知っておかないと、他人に厳しくなりすぎるし、自分を追い込んでしまうことになる。

本当に辛いとき、人は何かを楽しむ余裕さえ無くなってしまう。

好きなご飯も美味しくないし、好きな本や音楽、映画やテレビ、旅行に趣味、何も楽しめない。人との会話だって楽しめない。

もしそんな状態なら
それはもう本来の自分ではないのだ。

そんな虚無のような状態があなたのはずがない。
私のはずがない。

何も楽しめないくらいに余裕がなくなると、普段は温厚な人でも身近な誰かに当たってしまうことがある。

追い詰められて自暴自棄にもなる。

ひどい言葉を思い浮かぶかもしれない。
それを実際に誰かにぶつけてしまうかもしれない。

そんな時に
「それがあなたの本性です。」
と言われたらどうだろうか?


私たちは、どんな苦境の中でも笑顔でいられる屈強さを求められることになる。

そうあれない自分を責めてしまうだろう。

でも、逆なのだ。
私たちは、何かを楽しめる余裕がある時にこそ、本来の自分でいられる。
もし楽しめる余裕が無いのなら、本来の自分でいられない原因がどこかにあるのだ。

あ、いまダメな自分だ。
そう思った時にはもう何かに追い詰められている。

どうかそれが自分の本性だと思わないで欲しい。

ストレスに晒された時、他人に当たってしまったこと、余裕をなくして嫌な態度を取ってしまったこと、それを反省するのは良いことだ。

相手との良好な関係を築くために、配慮する努力は必要だし、酷いことをしたのなら、相手に謝ろう。

それと同時に、自分の心も手当てして欲しい。
これが自分の本性なのか、最悪だな…なんて思わないで欲しい。

そうやって自分を傷つけると、自分の本性が本当に「酷いことをする人間」になってしまう。

今は、あなたがあなたでいられない時なのだ。
私が私でいられない時なのだ。


辛い時こそ、自分に優しくあって欲しい。
自分の本性が出せるところまで回復できるように、できることをしよう。

とにかく寝る
泣きたいだけ泣く
嫌な気持ちを紙に書き出す
スマホのメモ帳だって良い
自分を追い詰めてる原因から距離をおく
体を動かしてみる

誰かと触れ合うことも有効な方法らしいが、なるべく自分だけで浮上できる方法を持っておいた方が良い。
自分が自分でいられない時、誰かに縋ってしまうと一緒に落ちてしまう可能性がある。
もしかしたら相手も何か処理しきれない問題を抱えてる可能性がある。

私の中のバロメーターは「自分の好きなものでご機嫌になれるか?」だ。好きなものを好きと思えないのは、心が枯れている証拠。

無理をしすぎている。


自分の本性はこうなんだと決めつけないで欲しい。

誰かが辛い思いをしている時、それがその人の本性なんだと諦めないで欲しい。

少し離れて、その人が本来の自分に戻れる時を待ってみよう。


「辛い時にこそ本性が出る」なんて悲しい世界ではなく、誰もがいつでも本来の自分でいられるような世界であって欲しい。



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