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【日本語教師必見】マインドフルネスを授業に取り入れる:一分の呼吸

日本語教育とマインドフルネス

日本語教育においても、学習者の言語能力向上だけでなく、Well-beingに配慮した学びが重要視されています。その一環として、心を整え、リラックスした状態で学習するための方法としてマインドフルネスが注目されています

マインドフルネスとは、「いまここに気づいている状態」のことです。

世界標準の定義(マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバットジン博士の定義)
「意図的に、今この瞬間に、価値判断することなく注意を向けること」

中村悟著『1分で整う いつでもどこでもマインドフルネス』

多忙な日本語教師にとって、マインドフルネスの実践は、自己ケアの一環として非常に有効なだけでなく、その効果は教室全体に波及し、より豊かな学習環境を作り出す可能性があると思います。

この記事では、日本語教師がすぐに授業に取り入れられる、具体的なマインドフルネス実践法をご紹介します。

授業開始は「呼吸に意識を向ける1分間のマインドフルネス瞑想」で心を整える

慌ただしい日常から教室へ飛び込んできたばかりの学習者は、なかなか集中できないものです。教室から教室に移動する教師自身もそうだと思います。

僕はニュージーランドの大学で教えていますが、授業開始時に1分間の短い呼吸瞑想を取り入れることで、学生さん、そして、自分の心を整え、集中力を高め、学習に最適な心理状態を作り出す実践を行っています。

3−5分が理想的かもしれませんが、授業時間の関係、また、瞑想状態に入り込んでしまうと学習への意識に戻るまでに時間が必要になることなどから、試行錯誤を重ねた結果、1分に落ち着きました。

中上級の学習者には日本語で指示し、初級の学習者には最初は英語で説明し、日本語の指示も提示し、少しずつ日本語だけにしていきます。何度か繰り返すと、初級の学生さんでも日本語での指示に対しても自然に反応できるようになります。

アンケート調査などは実施していませんが、大学生を対象としたこの実践はとても好評です。

僕が主催するオンライセミナーなどでも、心を整えるために参加者の方と一緒に行うことがあります。オンラインであっても、呼吸と沈黙の時間を共有することは、セミナー自体の雰囲気にもプラスの効果があると感じています。

実践方法

  1. 全員で静かに座ります: 椅子に座る場合は、背筋を軽く伸ばし、足裏をしっかり床につけます。

  2. 目を軽く閉じるか、視線を下げます: 視覚情報を遮断することで、内面に意識を向けやすくなります。

  3. 手は膝の上。手のひらを上に向けたほうが胸が開き呼吸がしやすいかもしれません。

  4. 1分間、呼吸に意識を集中します: 無理に呼吸をコントロールしようとせず、自然な呼吸を観察します。

  5. まず、ゆっくり吐くことから始める。

  6. 吸う息、吐く息をゆっくりと感じます: 鼻から空気が入ってくる感覚、お腹や胸が膨らむ感覚、そして息が体から出ていく感覚を丁寧に味わいます。

  7. 注意がそれたら: 注意がそれていることに気づいたら、優しく「注意がそれている」と認識し、再び呼吸に意識を戻します。思考を無理に止めようとする必要はありません。

効果

  • 心が整う(ストレスの軽減):自律神経に働きかけることによって、副交感神経が優位になり、身体や心の反応を落ち着かせることができます。リラックス効果を高め、授業前の緊張や不安を和らげることができます。

  • 集中力の向上: 呼吸に意識を集中することで、注意散漫を防ぎ、目の前の課題に集中しやすくなります。

  • 学習への準備態勢の形成: 心身が落ち着いた状態で授業に臨むことで、学習内容の理解度が高まり、積極的な参加を促します。

  • 教室全体の雰囲気の改善: 教師が落ち着いて授業を始めることで、学習者も安心感を覚え、リラックスした雰囲気の中で学習に取り組めます。

  • 注意力をコントロールする力が身につく:自分の注意がどこにあるのかという注意力をコントロールする力が身につきます。

実践のポイント

  • 毎回同じように行う: 毎回同じ手順で行うことで、学習者は安心して瞑想に取り組むことができます。

  • 教師自身も一緒に実践する: 教師自身が率先して瞑想を行うことで、学習者に安心感を与え、一体感を高めることができます。

  • 宗教的な実践でないことを説明する:特定の宗教の実践でないことを伝えます。

  • メンタルに不調を抱えている学習者もいるかもしれないので、しない選択肢も用意しておく。(例:1分間、無言でいるだけで結構です)

マインドフルネスで、より豊かな日本語教育に

マインドフルネスは、日本語教師自身のWell-beingを高めるだけでなく、学習者の集中力、ストレス軽減、学習意欲の向上に貢献する、非常に有効な方法だと思います。

実践を継続すると

マインドフルネスの実践ワークにはさまざまなものがありますが、授業では難しいと思いますが、一日合計10分の実践を継続すると、次の効果が感じられるそうです。

約2−3ヶ月
ストレスが減る
集中力が上がる
生産性が上がる
創造性が上がる
ケアレスミスが減る

半年ー1年
自己理解が深まる
感情をマネジメントできる
他者への共感が高まる
コミュニケーション能力が高まる
価値観が明確になる

中村悟著『1分で整う いつでもどこでもマインドフルネス』

「自分の人生を生きている」という実感

『1分で整う いつでもどこでもマインドフルネス』の著者の中村悟さんは、「自分の人生を生きている」と実感されているそうです。

学習者に向き合う教師が「自分の人生を生きている」という実感を持って授業実践を行えたら素晴らしいと思います。

執筆にあたり、中村悟さんの『1分で整う いつでもどこでもマインドフルネス』を参考にさせていただきました、感謝いたします。

この記事が、みなさまの日本語教育実践のヒントとなれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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