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読書「コロナ後の世界」~都合の良い情報が手に入る時代~
先日、「コロナ後の世界」(文藝春秋)という様々なジャンルの学者がコロナ後の世界について推察した本を読み、その中でスコット・ギャロウェイ氏が語った言葉が印象に残った。本日は本書の感想を書きたい。
・選ばれた情報を取り続けると考えが偏る
近年、データ解析技術の発展により、我々は見たい情報を得られるようになった。FacebookなどのSNSで表示される情報はどれも私の趣味嗜好に合ったものであり、見たくない情報は表示されないようになっている。これに関してギャロウェイ氏は、人々の偏見や差別意識、敵対心を助長する可能性があると指摘していた。
この言葉を聞き、私のTwitterのタイムラインを見返してみると自分が共感できるような(好きな)情報ばかりであることに気づいた。考えを偏らせることは自分の意見を持つことに繋がるので、決して悪いことではないと思う。しかしながら、片方の情報のみを取り続けてしまうと、正しい選択ができないことになる。
私は先日、宇都宮城にて展示されていた空襲後の下野新聞の一面を思い出した。(以下にリンクがあります。)
戦時中は新聞やラジオから片方の情報のみが流され続けたため、日本人は戦い続けてしまった。我々は情報が選択できる現代で同じことを無意識におこなっている。そう考えると恐ろしい。
・ニュースコメントの有料化と教育
Yahooなどのネットニュースにはコメント欄が付けられている。様々な見解を知ることが出来る点で優れた機能だと思うのだが、誹謗中傷やあからさまなデマコメントが多く見られるので、有料化して制限をかけてもいいのかなと思う。
これからの世代は自分にとって都合の良い情報のみを得てしまい、その結果として物事を多面的に考えることができなくなる可能性がある。そのような世代に対してどのような教育をするべきなのか、よく考える必要があると感じた。
また、コロナ禍においては友人などと会う機会が少なくなったこともあり、SNSなどを見る頻度が増えている。いま一度、タイムラインに流れる情報が偏っていないかチェックし、考えのコリを解消させていきたい。