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ヒデ(Hide)さんの闘病記です。
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#入院

闘病記(43)  オネショマン

闘病記(43) オネショマン

前回投稿したテキスト「採尿パーティー」のnoteに40を超える「スキ」を頂戴し、フォローをしてくれる人も増えた。とってもうれしい。皆さんの応援を無駄にすることなく、これからも丁寧に書いていこうと思う。
 さて、自分はようやくバルーンを取り外せたわけだが、何より驚いたのは病院内の人々が大変に喜んでくれたことだった。あんなに喜ばれるとは思わなかった。バルーンが取れた翌朝、車椅子を押してもらってリハビリ

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闘病記(40) 「いやだよ。」

闘病記(40) 「いやだよ。」

 この「闘病記」が40話目を迎えた。書き始めた当初は、ただただ自分のために書いていたような気がする。
 やがて、「自分と同じ境遇にある誰かの目に触れて、少しでも気持ちが軽くなってくれればいいなぁ。」と思いながら書くようになった。
 それに加えて、今では「自分のために(仕事とは言え)一生懸命リハビリをしてくれたり、ケアをしてくれたりした人々に、スポットライトが当たるような内容になればいいな。」と思っ

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闘病記(38)   イニシャルb

闘病記(38) イニシャルb

 
 入院している患者に、
「病院にあるものや入院生活に関係するもので、bから始まる英単語を1つ言ってみてください。」
と質問したとしよう。(無茶振り以外の何物でもないが)どんな答えが返ってくるだろうか?(この際「うるさい!」「知るかそんなもん!」といった反応をする入院患者は1人もいないと仮定します。)
 自分が考えるに、圧倒的な第1位は「bed(ベッド)」ではないかと思うのだ。そして第2位が、「

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闘病記(35)  回復期病棟の トイレ事情

闘病記(35) 回復期病棟の トイレ事情

 回復期病棟の患者のほとんどは、車椅子で移動する。いわゆる大部屋から、食堂、風呂場等は離れた場所にあり、足や腰を痛めたり、脳出血や脳梗塞で歩けないという人たちにとって車椅子での移動は必須だった。そして、トイレもまた離れた場所にあった。(もちろん部屋によっては、近い場所になる人もいたが、それでも1人で移動する事はできず看護師さんや介護士さんとともに車椅子で移動した。)
 自分がトイレを使ったのは、最

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闘病記(33)バナナ は どうする ?    ふりかけ は ?

闘病記(33)バナナ は どうする ? ふりかけ は ?

 お年を召した多くの方々が、車椅子に乗り壁際に1列に整列をしている様は壮観だ。キラリと光る車いすの金属部分と、虚空を見つめるかのような(実は眠いだけかもしれないが) 視線が相まって、実に厳しい人生を乗り越えてきた人々の集まりのようなオーラを放っている。
 そんな人たちの中でまだ若造の自分は、聞こえるか聞こえないか位の声で
「おはようございまーす。」と挨拶をしながら、列の末尾に並ぶ。こうして毎日7:

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闘病記(31)ビバ!普通食

闘病記(31)ビバ!普通食

 ある日の午後、言語療法の時間。その嬉しい知らせは言語聴覚士Mさんの質問から始まった。
「赤松さん、もし今、お茶やお味噌汁に加えているとろみを入れなくても良くなって、飲食がある程度自由になったとしたら、お見舞いに来てくださった方と何を飲んでおしゃべりを楽しみますか?」
「コーラです。」
即答した。Mさんは目を大きく見開いて、 
「コーラなんですか?」
「そうですよ。いけませんか?」
「いえいえ。な

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闘病記(27) 感覚が麻痺してしまったあなたへ

闘病記(27) 感覚が麻痺してしまったあなたへ

 突然だが、今回のタイトルにあるような名前のついた冊子やパンフレットは無い。リハビリ病院に転院してまもなく、自分なりに一生懸命探してみた。ナースステーションのスタッフや介護福祉士の人たちに「感覚障害の人のための、生活の手引書みたいなものはありますかね?」「右半身か左半身どちらかの感覚が麻痺してしまった、ちょうど僕みたいな患者が生活する上で気をつけた方が良いことなどをすまとめたものは何かないですか?

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