シェア
Mayumi B
2016年7月15日 19:31
インティメート・ボランティアの完結編です。全てで23回になります。インティメート・ボランティア 1はコチラからになります。親切心ではじめたボランティアが、いつの間にか自分の空虚の穴をうめるものになっていた。最後は、ちょっとした展開を迎えます。最後だけ有料にさせていただきます。購読していただければ嬉しい限りです。(1770文字)
2016年7月14日 15:54
「短い間でしたが、お世話になりました」深深と下げた頭を上げると、志穂はさっと沙紀の顔を盗み見た。先ほど、上司の川崎が、志穂の寿退社の説明を同僚にした。志穂の言葉に従順に、お相手は、元テレビ局のプロデューサーで、現在は実業家として活躍されている方だそうです、と紹介した。志穂は、沙紀の顔が一瞬歪んだのを見逃さなかった。ミーハーな沙紀にとっては、羨ましい相手に聞こえたに違いない。志穂は、見切
2016年7月13日 16:56
ボランティア先もひとつになり、志穂は、自然と星野の家を訪ねる回数も増えてきた。認めたくないが、休日に会う友だちもほとんどいなかった。その日も星野の家を訪れていた。急に冷え込んで肌寒くなったので、星野が奥にある寝室に、カーディガンをとりにいった。車椅子なので、時間がかかるが星野は自分でできることは自分でしたがった。志穂は紅茶を淹れるため、湯を沸かした。白い湯気がたってきて幸せな気分になり
2016年7月10日 12:08
週中に、めずらしくボランティア団体から志穂に、電話が入った。ミヤケが急に様態が悪くなり、しきりに志穂と会いたがっているので、週末になる前になるべく早く、ミヤケのところにお見舞いに行ってくれないかという電話だった。志穂は、次の日に半休を取ると、ミヤケのアパートを訪れた。すでに到着していた介護ヘルパーが、志穂を部屋に通してくれた。いつもの薄っぺらい蒲団のなかでミヤケは、蒼い顔をして横たわっ
2016年7月9日 11:01
このまま行くと、自分の人生は、うまくいっても、もう少しましな仕事につき、もう少し大きな、多分1LDKのマンションに住むぐらいで終わってしまうだろう。さりとて、悪くいっても、このままフリーターで食いつなぐことはできるかもしれない。しかし、病気になったときなど、何も保証もない。田舎に帰ることもできるだろうが、帰って何をするでもない。早く結婚しろと両親や周りにとやかくいわれることを思うと、億劫になる
2016年7月8日 21:01
「まったく、何やってんの。メールにちゃんと書いておいたのに、読まなかったの」沙紀が、呆れたような表情で腕組みして、威圧的に志穂にいった。グループみんなに当てたメッセージの下に数行のメッセージが志穂宛に書いてあったのを、見逃し、志穂は沙紀にいわれたサンプルの手配をしていなかった。「あと、1時間後に、クライアントのところに行かなければいけないのに、どうしてくれるの?」志穂は表情を消して