「あなたの英語、こう聞こえます!」は無視して良いと分かる話
「あなたの英語、こう聞こえます!」系の話題は未だにある
英語をそれなりに使う立場として、少しイラっとすることがあります。
それは、「あなたの英語、こう聞こえていますよ」っていうやつ。
あれねー、いじわるなんですよ。
例えば日本人ってLとRの発音があいまいだから、本来Rで発音するところがLで聞こえる。だから、I want to eat riceって言うと、I want to eat liceって聞こえるから「私はシラミが食べたい」に聞こえる、みたいな。
っていうか、liceがシラミって意味だっていうのはこの例文から覚えたし、これ以外で使うことって全く無いんですよね。そりゃそうです。どんな時に英語喋っててシラミの話なんてしますか?日本語でもシラミの話なんてしないですからね。
こんなの、私に言わせたら気にしなくていいんですよ。
ちゃんと発音できるに越したことは無いですけどね。
だって、考えてみてくださいよ。
文脈的にシラミ食いたいわけないじゃないですか。
なんだろうなぁ。
あの「あなたの英語、こう聞こえます!」系の話題って、なんであんなに何十年も出続けているのかなぁ?って。あれ多分、英語が出来ない、上手くしゃべれないみたいなコンプレックスを刺激したいのかなぁって思うんです。
つまり、日本人の英語って、私が中学生くらいの頃、つまり30年前からそんなに上がっていないんじゃないのかなぁ。グローバル化とか、いろんなことが謡われている中で同じ話題が「いや、それ、もういいよ」っていう機運があまり高まってきていないですから。
相変わらずお前の英語は駄目だぜって言われたらヒャッ!ってなる想いってなかなか捨てられないのはわかりますけどね。
ボビーオロゴンさんの日本語は何が言いたいか分かるから面白い
でも実際、逆の立場になって考えると、大体何が言いたいか分かる訳です。
ほら、私達って、一昔前のボビーオロゴンさんの日本語ってデタラメなんですけど、概ね何が言いたくて、どう間違えているか?っていうことを理解していたじゃないですか。
あれの何が面白いか?っていうと、日本人からするとこういう答えが返ってくるだろうなぁっていう質問をボビーさんにして、ボビーさんが絶妙に言い間違える。
しかもその言い間違えが「え!?なんで?」っていうところをつついてくる。それを行っているのが外国人のボビーさんで、しかも例の表情で大抵キレながら言っている。
そりゃ面白いよ、って。
ボビーさんの日本語って要所で間違えるんですよ。
でも、聞いている側は本当は何が言いたいかが理解できている。
要するに「I want to eat lice.」が本当は「rice」と言いたいのを理解できているのとまったく同じことなんです。
多少発音に癖があっても人って何が言いたいか?ってことを常に予測しながら話しているから、こう来るだろうなぁってことを想像している訳で、だから多少何言っているかは分からなくても部分部分で聞こえてくることを元に推測して、言いたいことを理解する。
だから、例えば私はビジネス系の英語ってそんなに得意じゃないですけど、海外のスポーツのインタビューとか結構何言ってるかは分かるんです。
それは、インタビューしている時にインタビュアーが聞きたいことなって大体想像できるんですよ。そして、選手が言いたいことも大体想像できる。
つまり、ボケないボビーさん状態だから、全体的に分かるってことです。
逆に言えば、全く関心の無い経済系のニュースとかリスニングしていると、もうまるでダメで、話の筋について予測がつかない上に専門用語が出てきて、それもどんな意味なのかも皆目見当がつかない。
ボビーオロゴン=ブタゴリラ疑惑
だから、恐らくなんですけど、ボビーさんの日本語の面白さの理由って二つ考えられるんですよ。
一つは、ボビーさんが極めて高い日本語力を持っていること。
そしてもう一つが、作家が存在すること。
まず、あの絶妙なラインを毎回突いてくるっていうこと自体、これはもう、高い確率で狙って言っているとしか考えられません。そうでなければ、ちゃんと回答できるシーンも少なからずなければいけないですからね。
狙って日本人が面白いと思える言葉選びを、絶妙の間合いで出来るとしたら、もうそれって相当高度なコミュニケーション能力ということになります。
狙って言い間違えるって、日本人の私でも出来ないですよ。
あれって、一時期ちょっと話題になった必ず負けるじゃんけんみたいなもので、本来選ぼうとしている言葉があって、そこを一旦リセットして、どう間違えればいいかを考え、言葉を選んで、特有の言い回しをして、笑わせるっていう、とにかく複雑な思考を一瞬で行わなければならない。
これ、本当に凄いですよ。
全て自力でボビーさんがやっていたら、これはとんでもない。
そんな訳で恐らく濃厚だと思うのが、作家が居るということ。
言い間違えるシナリオをあらかじめ作っておいて、それをボビーさんに言ってもらうということですね。
まぁこっちの方が現実的だし、実にテレビ的な話だと思うんです。
だってね、言い間違えて100%笑いを取るなんて相当高度で、昔のアニメで「キテレツ大百科」ってあって、あれのブタゴリラ(本名:熊田薫)っていう、あのアニメでいうところのジャイアンポジションの子が正にボビーさんと同じように毎回なんか言い間違える訳です。
作家が居るとしたら、ブタゴリラと同じことですからね。
居なければブタゴリラ超えていることになる訳です。
ボビーさんとブタゴリラを比較するという相当訳の分からない話をしていますが、作家が付いているとしたらブタゴリラ並みということになります。
じゃあボビーさんは大した日本語力を持っていないか?といえばそんなことは全く無くて。
だって、こう言い間違えたら確実に笑えるっていう間合いで、ちゃんと自分の役割を果たして言い切るって相当凄いですよ。近所のおじさんのゲッツはちっとも面白くないけど、ダンディ坂野のゲッツはまだ現役ですからね。それと同じです。
逆に言うことが決まっていた方が緊張するかもしれないですし、結局あのキャラクターで常に言い間違えて、しかも笑いが取れるっていうのは相当なことなんですよ。
目指せ、ボビー。目指せ、出川。
だいぶ話は逸れましたけど、私達って想像以上に言語コミュニケーションにおいては高度なことをしていて、多少の不備はあっても補完できるようになっている。
だからこそボビーさんのように不備があるコミュニケーションを意図的にしたらその構造を理解して大笑いすることが出来る。そしてその意図的な誤りというのは、非常に高度なことだということです。
だからと言って高度なコミュニケーションに甘えて全部拙い言語力でいいかと言うとそうではないけど、でも多少のことは気にせず、堂々と間違えてやるくらいの方が言葉って通じやすいとは思うんですよ。
外国語を喋ることに対して何故こんなに自ら縮こまらせるようなことをずーっと言い続けているのかは私にはよく分からないですけど、出川イングリッシュとボビーさんの日本語って大いに学ぶものがあるんです。
とにかく、英語なんて「rice」か「lice」辺りで未だにビビってないで、英語で「オレハシラミガクイテエンダヨォ!!!」って堂々と言い切ってネイティブに爆笑される自分でありたいなぁと思います。
■今日の記事
浦和レッズとサポーターに対する良いも悪いも全て内包した良い記事だと思います。
■Voicyで放送をアップしました。
今日の放送です。是非お聴きください!
先日記事にした、「何を学び直すかが大事」という話です。