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遊びと余白、身体と工学、そしてソフトとハード〜物事を述語的に統一してゆく〜

「ほんの少し余裕をもっておく」

ヨガに取り組んでいて最近心がけているのは「緊張しすぎない状態」を作るということ。

たとえば、両腕を真上に伸ばして指先を組む。

このとき、肩甲骨周辺の筋肉を過度に緊張していると、呼吸が入りにくい、その後の動作で「しなやかさ」を感じにくいことがある。

限界まで挑戦しつつも、そこからほんの少しだけ緩めながら「余白」を作ってみる。

ふと、「遊び」という言葉には、工学の分野において「余白」や「ゆとり」の意味が含まれていることを思い出す。

接合部に意図的に設けられた隙間も「遊び」と呼ばれる。これは素材が熱で膨張した際に素材同士が衝突しあって全体に歪みを生んだり、熱膨張率の違いからずれが生じたりするのを防ぐ、また木材のように湿度の変化で素材が伸縮する際の歪みを吸収し破損を予防するなどの理由から設けられる。

Wikipedia

ほんの少しの「ゆとり」が物事の調和、連携をなめらかにしていく。

「遊び」や「ゆるみ」の概念を通じて身体と工学が、あるいはそこから派生して「ソフト(Soft)」と「ハード(Hard)」という特性によって、さらにはソフトとハードを統合して「しなやかさ」という概念によって様々な物事を「述語的に統一していく」ことができそうな気がしている。

水平面状の連続一体な水に対する視覚は、「水平な面」という水のイメージを指向する。(中略)水平面状の連続一体な水が、空間のある部分に置かれている様は「空間に水平基盤を与える水」を指向する。これは、水が空間に作用してつくり出す秩序である。(中略)穏やかに波立つ水平面状の水は「穏やかな水平面」を指向する。(中略)水平面状の連続一体な水に対する、視覚を増大する見せ方は「広がる面」を指向する。(中略)対岸が見えないほど遠い場合には、水平面状の連続一体な水は「果てしなく広がる水面」を指向する。(中略)この「果てしなく広がる水面」には、「緊張感」が伴うことが多い。「広がる面」を指向する水は、、周辺環境の狭さとともに、「快適な広々とした水面」を指向する。

鈴木信宏『水空間の演出』

ある空間にあって、観察者の視界を越える水平面は「空間を広げる水面」を指向する。(中略)「空間を広げる水面」を指向する水において、その奥行が特に強調されている場合には、その水は「空間を方向づける線」となる。(中略)二つの空間を横切って置かれた水平面状の水は、その両端が視界を越えて見えるとき、「二つの空間を併置する面」を指向する。これは、連続一体な水平面が定まったスケールを表現しないために、二つの空間の距離感を消滅させるためである。(中略)G・カレンは、このような効果をもたらす視点と環境との関係を直接性(immediacy)と呼んでいる。

鈴木信宏『水空間の演出』

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