「温かさをつくる」ものづくり企業が高校生323名と本気で挑む総合的な探究の時間
株式会社スリーハイでは神奈川県立綾瀬高校の「総合的な探究の時間」の授業に協力することになりました。協力、といっても「うまくいったらいいな」というような、ハンパな気持ちではありません。実際にスリーハイが直面する5つの「困りごと」を、高校生のフレッシュな感性で、ズバッと解決してもらおうという本気の取り組みです。当noteでは、生きる力をはぐくむ「総合的な探究の時間」授業協力を通じて、ともに大きく成長したいと願う、株式会社スリーハイの挑戦をお伝えします。
「総合的な探究の時間」は企業活動そのもの
2022年からはじまった高校の必修授業「総合的な探究の時間」。学校では「総探(そうたん)」と呼ばれる授業です。AIの発展などで知識偏重教育の見直しが迫られ、答えのない問いを自ら考え、課題を解決し、自ら生きていく力を身につけられるようにと導入されました。
実はこれ、社会に出るといきなり求められる、とても大切な力なんです。
スリーハイでも何かを暗記してアウトプットするというような場面は、日常業務の中でほとんどありません。直面する課題、問題点を探し出し、より良い製品やサービスを提供していこうと創意工夫をこらすのが仕事です。まさに答えのない問いに挑み、課題自体を自分たちで見つけようとする「総探」と同じですね。
でも実際に世の高校生たちは約4割が「総探」について「やる意味がわからない」と回答しているという、悲しいアンケート結果もありました。
イマドキは大学3年生くらいになると企業で働く機会を得る「インターン」という制度がありますが、今回綾瀬高校の生徒さんたちは、高校生のうちにその疑似体験ができるというわけです。
綾瀬高校では2022年からNPO法人SoELaさんと一緒にこの「総探」の授業に取り組んできました。昨年は飴細工アーティストの蜜咲ばうさん(https://www.baucandy.jp/)のプロデュースや、ボードゲームの開発、綾瀬市のPRなどに取り組んできたそうです。
ただ、授業が進む中で学校側から
「もっと現実的な企業の課題解決の方が、生徒が興味を持つのではないか」
という希望がありSoELaさんからスリーハイに授業協力の相談がきました。
スリーハイは、従業員42名の横浜市の町工場です。人員に余裕はありませんが2013年から工場見学の受け入れを実施しており、現在は地域の町工場20社ほどが協力する「東山田準工業地域こどもまち探検ツアー」を開催し、地域にオープンな町工場を目指しています。
その様子はこれまで多くの媒体でご紹介いただいています(一部抜粋)。
2023年 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20231027-OYTNT50175/
2022年 タウンニュース
https://www.threehigh.co.jp/info/detail/20220623_623.php
2019年 タウンニュース
https://www.threehigh.co.jp/info/detail/20191010_post_325.php
2018年 タウンニュース
https://www.townnews.co.jp/0104/2018/05/24/432667.html
そこでぜひ高校生にも「ものづくりの楽しさ」や「中小企業の取り組み」を知ってもらうきっかけになればと、授業協力することになりました。その後、何度も打ち合わせを重ね、以下のような授業計画が出来上がりました。
次年度4月以降の予定は学校の行事計画が出る2024年2月以降に決定します。決まり次第当noteでもお知らせします。最終授業は2024年6月上旬ごろを予定しています。
初回授業はちょっと眠そうな子も(涙)
2023年11月27日は綾瀬高校体育館にて、全体のキックオフ・ミーティングがありました。午後の授業ということもあり少し眠そうな生徒さんもいましたが、まずはSoELAさんから授業概要の説明がありました。
「総合的な学習(探究)の時間=総探」とは「探究の見方・考え方」を働かせ、横断的・総合的な学習を行うものです。自己の在り方や生き方を考えながら、よりよく課題を発見し、解決していくための資質・能力の育成を目指しています。
つまり簡単にいうと
「未来を切り拓き、よりよい社会を創造する力をつけて欲しい」
ということです。未来を作る主役は、高校生一人ひとり。
これ、大人でも難しいことです。でもイマドキの高校生たちにはこの能力を求められてるんですね。でもこの活動をやり切ると、こんな素敵な未来が待っています。
スリーハイとしては、産業用ヒーターというあまり一般的には馴染みのない機械を作っているので、「ものづくり」に興味を持つ高校生が増えてくれたら嬉しいです。また大学や専門学校で何を学ぶか決めかねているような高校生が、電気や機械系の勉強が面白そうだなと志望したり、将来の就職先として「ものづくり」企業を選んでほしいと願っています。そして最後には、こんなお願いも。
「問題解決」の「問題」「解決」の実態とは?
実際に問題解決にうつる前に、SoELaさんから「問題解決」そのものに関する説明がありました。そもそも問題とは「現状」と「あるべき姿/ありたい姿」とのギャップであり、その課題を解決するためにはどうしたら良いかの具体的な対策を考えることだということ。
生徒にもわかりやすいテストの点で例えるなら、現状は30点、でも本当は80点を取りたいと思っている。その差を埋める(50点増やす)にはどうしたら良いかを考えるのが「問題解決」です。さらにそのためには「単語で20点、文法で20点、英文解釈で10点増やす」など、具体的な施策でありたい姿を実現できるという説明でした。とてもわかりやすいですね!
ではスリーハイにとっての「①現状」と「②あるべき姿/ありたい姿」とはなんなのか。
①現状は、それぞれの部署が抱える悩みがあるということ。
②あるべき姿/ありたい姿は、「ヒーターの製造を通して、モノ、人をどこまでも温めていける存在でありたい。会社に、工場に、街に、地域に、世界に、温かさを届けたい。社員を、家族を、お取引先を、社会を、温かい気持ちにしたい。ひとりの笑顔は隣の人に必ず伝わると思うから」というもの。図解すると以下の通り。
スリーハイでは、大人の私たちが気づかない高校生みなさんならではの感性で、課題を解決してほしいと思っています。
株式会社スリーハイ綾瀬高校支店スタート
今回は綾瀬高校の2年生全員323名が、スリーハイの「綾瀬高校支店」に配属され、業務をスタートすることになりました。綾瀬高校支店には5つの部署があります。
それぞれの部署には現状の悩みがあります。具体的には以下の通り。
このよう部署別の悩みを紹介し、先生からは配属先一覧が配布されました。
グループに分かれると最初はあまり興味がなさそうだった高校生たちが顔をあげ、自分がどこの部署に配属されたいかについて意見を出し合いました。
果たして高校生たちは、どこの部署に希望を出したのでしょうか?一番人気だった部署はどこだったのでしょう?
ということで、第一回の授業はここまで。
次回の「総合的な探究の時間」は、12/11の午後13:35から、第一回と同じ綾瀬高校体育館にて行われます。株式会社スリーハイ代表である私・男澤(おざわ)から、スリーハイがどんな製品を作っているのか、どんな思いを持っている会社なのかを熱く&詳しくご紹介します。また今回選んでもらった5つの部署の担当社員5人も来校し、それぞれの部署が抱える悩みを、高校生たちに相談します。株式会社スリーハイ綾瀬高校支店の新入社員は、全部で323名。どんなアイデア、発想をぶつけてきてくれるのか楽しみです。
神奈川県立綾瀬高等学校
株式会社スリーハイ
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