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「先行研究がない」なんてことはない?【マーケティングにおける先行研究の探し方】
以前、主に学部生を対象にしたマーケティング論文の書き方の記事を公開しました。これらのシリーズの続きとして、「先行研究」について掘り下げて考えていきたいと思います。
先行研究について
先行研究の理解は、論文を書いていく上で重要な項目の一つです。
先行研究を踏まえることで、自身の研究のオリジナリティやポジショニングを考えることができます。先行研究が分かっていないと、自分の論文のどこが新しく、面白いかを主張することが難しくなってしまいます。
また、もしまったく同じ研究が見つかれば、その研究と上手く差別化をすることを考える必要性も出てきます。
しかし、卒論などを執筆する際、「先行研究がない」といった悩みを持たれている方も少なくないのではないでしょうか。
私も慣れていないうちは苦労したのですが、今回の記事では私自身の先行研究の探し方・考え方を紹介したいと思います。
先行研究の探し方
基本的に、先行研究自体はGoogle ScholarやJ-Stageなどの検索エンジンを使って探すことができます。
関連研究が豊富なテーマは、労せず先行研究が見つかるでしょう。このような場合、自分の研究テーマをそのまま検索すれば、多くの研究をキャッチアップできます。
しかし、比較的新しいトピックなどを研究対象にした場合、単純にキーワードを検索するだけでは、先行研究を見つけることが困難な場合があります。
このような場合、私自身は以下のような取り組みをおこなっています。
1.論文を見つけ、そこから芋づる式に見つける
もし、少しでも先行研究が見つかると、そこから関連研究を引っ張っていける可能性があります。
ほとんどの論文では、イントロダクションや先行研究レビューといったセクションが存在し、そこには関連論文が引用されています。この中に自分が見つけられなかった研究があれば、それらを確認するといいでしょう。
新たに見つけた論文にも、当然ながら先行研究が記載されています。
すると、「新たに見つけた論文に記載された別の論文」を芋づる式に引っ張っていけるようになります。これを繰り返すと、いつしか多くの文献が集まります。
その中から、重要性や関連性の高いものを選んでいき、自身の研究に役立てることができます。
2.似たようなテーマ・理論からアプローチを考える
もし、関連研究がまったく見つからない/見つかっても希薄な場合、似たようなテーマ・理論からアプローチする方法もあります。
具体的な例として、ふるさと納税に関する論文を紹介しましょう。
以前紹介したこともあるのですが、マーケティングジャーナルに掲載された「クラウドファンディングとしてのふるさと納税」という論文があります。
この研究のメインテーマはふるさと納税ですが、ふるさと納税に関する論文は決して豊富とは言えません。
しかし、この研究では、ふるさと納税をクラウドファンディングの一種と捉える工夫をされています。結果として、多くの先行研究を引用しつつ、ふるさと納税への理解を深めている論文になっています。
このように、ある事象を違った観点で捉えるといった工夫をすることで、先行研究が希薄な問題点を乗り越えられることがあります。
新しいトピックなど、研究が本当に少ない場合はこちらのアプローチも役立つかもしれません。
以上、先行研究がない場合の対処方法を紹介してみました。
卒論などの執筆の際、参考にしていただければ幸いです。
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