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ゼミで読むマーケティング論文

後期から、2年生のゼミが始まります。

これまでの2年間においては、本の輪読+アンケート作成入門といった内容をおこなってきたのですが、今年は今後の学習を考え、論文の輪読にチャレンジしてみようかなと考えています。

とはいえ、いきなり英語論文などを読むとハードルが高すぎるため、日本語の比較的新しめの論文を選びました。

今回の記事では、現段階で読む候補としてリストアップしている論文の一部(マーケティングジャーナル編)を、紹介したいと思います。

①サブスクリプション・サービス利用と顧客満足の特性
以前、このブログでも紹介したサブスクリプションサービスに関する論文になります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

学生にとっても、サブスクリプションサービスは身近な存在であり、感覚的にも理解しやすい面があるのではないかと思います。

私自身の現在の研究テーマの一つでもあるため、関連した研究なども紹介しつつ、サブスクリプションに関する理解を深めていく予定です。

また、アンケートデータの活用の仕方や集計方法などについても、論文の内容を踏まえつつ、講義内で紹介しようと思います。

②広告の物語性と情報提供性が広告態度に及ぼす影響
― 広告形式における表現特性の尺度開発と影響の検討 ―
この論文では、情報提供型広告(製品やブランドの情報を論理的に提示する広告)と物語型広告(登場人物の問題解決過程を描く広告)という2つの広告に焦点を当てています(※1)。

私自身は広告研究をあまり知らなかったのですが、非常に面白いテーマで、この論文を読んだ後、関連研究もフォローしました。

この論文のキーワードの一つに「尺度」があります。
尺度は学術研究ではよく用いられますが、学部生の段階ではあまり知られていない印象があります。卒業論文で尺度開発はさすがに難しいですが、手順や使い方等も含めて、紹介したいと思っています。

おそらく、2年生にとっては分析手順等かなり難しいため、フォローをしながら読み進めていく予定です。

③熱狂するファンダム
― プロ野球ファンのツイートを分析する ―

この論文は、ファンの「熱狂」について、プロ野球に関するツイートのデータを使って分析したものになります。

応援しているチームの勝敗と感情表現に関する分析がおこなわれている研究となっており、状況(貯金や試合状況、優勝可能性など)によって、感情がどのように表現されるかについて、検証されています。

個人的に面白いと思ったのは、ファンによって貯金と感情表現が異なることです。具体的には、以下のようなグルーピングがされています。

1)貯金が増えるとポジティブな表現が増え,ネガティブな表現は減るか変わらない・・・広島・巨人・横浜・中日
2)貯金が増えるとポジティブな表現とネガティブな表現がともに増える・・・ヤクルト,ロッテ,楽天
3)貯金が増えるとポジティブな表現は変わらないが,ネガティブな表現が増える・・・ソフトバンク,オリックス
4)貯金が増えるとポジティブな表現は減り,ネガティブな表現は変わらない・・・日本ハム(※2)

本文中でも言及されていますが、貯金が増えるとポジティブな感情を抱きやすいと思いきや、球団によってはネガティブな感情が表れやすいというのは意外でした。

野球好きの学生にとっては面白い論文なのではないかと思っています。また、Twitterによる分析手法についても、講義内で簡単に解説したいと考えています。

現在もまだ候補を選んでいる途中なのですが、またブログで紹介するかもしれません。もし、他にオススメの論文がありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。

※1:福田怜生. (2018). 広告の物語性と情報提供性が広告態度に及ぼす影響―広告形式における表現特性の尺度開発と影響の検討―. マーケティングジャーナル, 38(2), 91-106.
※2: 水野誠, 佐野幸恵, & 笹原和俊. (2021). 熱狂するファンダム―プロ野球ファンのツイートを分析する―. マーケティングジャーナル, 40(4), 6-18.

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