【朗読】新美南吉「飴だま」(童話/青空文庫)
今晩は新美南吉「飴だま」を朗読しました。
私は『童話を書こう!』シリーズ(青弓社)を3冊出していますが、本の中で次のように述べています。
作品の「起承転結」の「転」では、「ドキリ・ウラギリ・モリアガリ」の「3つの『リ』」が大事。
そのうちのひとつでも入れることができれば「転」は成功しやすいし、3つ入れればいうことなしです、と。
「飴だま」は、『童話を書こう!実践編』で取り上げた作品で、この「転」がじつに見事です。
飴だまという「小道具」をうまく活用し、緊迫感(ドキリ!)と直後の意外性(ウラギリ)を描き、その運びの巧みさで、場面をモリアゲています。
その他にもこの作品は、
「動き」のある書き出し
「起」でしっかり、簡潔な言葉で伝えている「登場人物たち」「舞台背景」「時代」
話の「緩急」のつけ方
無駄のない「会話」
2と1という「数字」の使い方
スタート(春のあたたかい日)とラスト(居眠り)をマッチさせることで存分に活かされている「季節感」
などなど、優れたテクニックが満載です。
しかし、そうとはあまり感じさせない、そのさりげなさが、なによりかっこいいなあと思うのであります。