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【告知・文学フリマ東京39】批評/文芸同人誌『未完了域』に寄稿します

追記:主宰であるすぱんくさんの告知note記事のリンクはこちらです。  来たる2024年12月1日(日)の「文学フリマ東京39」にて頒布予定の批評/文芸同人誌、『未完了域』第1号に寄稿します。  noteおよびTwitter(現X)で長らくお世話になっている「すぱんくtheはにー」さんが主宰です。  私マエダが寄稿するのは、「小学校国語科における『ホラー教材』の意義――安房直子、宮沢賢治、あまんきみこと空色のタクシー」と題した論考です。論考、だと思います。 2024年1

    • 【日記】反省とか、古典とか

       ここに書くにはあまりにセンシティヴで守秘義務に触れそうでちょっと怖いな〜ということがあったのと(ですのでこの話はここでおしまいです)、もうこれは古典の箱に入れちゃってもいいだろうという本を引っ張り出してちょこちょこ読み始めています、というための日記です。  向山洋一『授業の腕をあげる法則』(1985年・明治図書)は、私の中では教育書の古典に入るんじゃあないのかという所感があります。そういうことを言ったら大村はま、斎藤喜博、無着成恭なんかは神代のお話になってしまいそうですね

      • 学校教育、目標、不可分の呪縛

         こちらの記事にあった、ある一節が私に何かを呼びかけているように感じています。  目標を持ちましょう、できれば具体的に。  この行事が終わったときに、自分はどうなっていたいか考えましょう、できれば具体的に。  具体的に。そのための方策も併せて。併せて。  こういったことは学校教育現場で、節目節目だったりふとした瞬間だったり、行事ごとのたびによく言われることで、言ってしまえば「教育活動には目標や理想や目指すべき地点がより明確になっている必要がある。なっていなければならない。

        • 教材研究覚書『固有種が教えてくれること』(小5国語・光村)

           『ざんねんないきもの事典』シリーズ監修の今泉忠明氏の文章です。  日本にはなぜ固有種が数多く暮らしているのか、その疑問を解き明かしながら、それらの固有種を絶滅の危機から守ることの重要性と、それこそが日本に生きる私たちの責務であると訴える内容です。  今泉氏の主張を裏付け、補強するために、全部で7つの資料が登場します。この教材文の中核は、“資料と本文の関連をつかむこと”であり、最終的には“資料と本文を関連させることを自分の文章でもやってみる”ことにあると見ています。ですので、

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          秋、学芸行事、不調と不安とセルフケア

           秋です。本州は真夏日のところもあるそうですが、北海道は車のフロントガラスが凍結したりしているんで、これはもう秋です。学芸行事(学芸会や学習発表会などと呼ばれます)の季節であり、まあまあの確率で現場は乱世になり、私は不調と不安を訴えるようになります。少なくとも今の仕事に就いてから、秋を“一年で最も落ち着いた季節”として満喫できたためしがありません。(行事ごとの時期に「乱世」になるというのは確か堀裕嗣氏が言っていた記憶があります。確かに「乱世」です。)  行事ごとの時期になる

          秋、学芸行事、不調と不安とセルフケア

          【日記】鼻炎、歯医者、不調の秋

           昔から鼻詰まり、鼻水を起こしやすく、寝不足だったり空気が悪かったりすると鼻がパッキンの劣化した蛇口のようになってしまいます。中学生の頃、授業中にノートをカリカリ書いていたら、ポタポタと水が垂れてきてページを濡らしたので、こりゃダメだと思って早退したことがあります。  鼻水で早退。  頭がぼうっとなって全く集中できなくなるので、その時の自分の判断は間違っていないと思うのですが、どうにも早退理由がおマヌケな感じがありますね。一度鼻水で早退してしまうと「自分は鼻水に屈してしまう人

          【日記】鼻炎、歯医者、不調の秋

          【日記】授業、視点、『やまなし』、あるいは批評のこと

           9月。私が担任する特別支援学級で、先行して『やまなし』を扱った授業をしました。そして先日、普通学級での『やまなし』単元が始まりました。単元は終盤に差し掛かり、その中の1時間が、国語教育研究団体の研究授業として公開されました。  懐かしい面々との再会があり、お世話になった退職校長のお話があり、改めて『やまなし』授業のことを考えました。そういう日記です。  『やまなし』、そして作者・宮沢賢治の生涯とその最期、賢治作品群のあれやこれや、そういった様々な視点から考えたことを統合し

          【日記】授業、視点、『やまなし』、あるいは批評のこと

          「お膳立て」 学校教育との食い合わせ

           今までもあったいろいろな理念や取り組みや考え方を、さまざまに形を変えながら繰り返しているというのが学校教育の実際だとします。その仮定の中で「不易と流行」という学校教育業界におけるなんだかすごいパワーを持っている(ような)言葉が(そしてこれは「とりあえずこれ言っとけばかっこがつくよね」みたいなマジカル・ワード的側面も)あるわけです。  以上のようなことを考える中で、私の中には「お膳立て」という言葉やそれの意味する営為についての課題意識が湧き上がってきています。  単元内自由進

          「お膳立て」 学校教育との食い合わせ

          教材研究覚書『鳥獣戯画を読む』(光村・小6国語)

           高畑勲による鳥獣戯画の“批評文”です。  「説明文」という呼称でもいいのかもしれませんが、高学年ともなると説明文らしき説明文は姿を消し、随筆や評論などが中心的に扱われるようになります。テーマも、哲学、社会学、心理学……いろいろです。  まあ、“説明文”というのも、物語/文学的文章に分類されない文章たちの中核的イメージを言い表しただけでしかないのではないかという思いがあるわけですが。  日本で最も有名な“絵”巻物と言って過言でないこの鳥獣戯画を、果たして“読む”とはどういう

          教材研究覚書『鳥獣戯画を読む』(光村・小6国語)

          ありがちな「特に書くことがない日の日記」

           半ば意地になって毎週金土日曜日のいずれかに更新をしており、この記事で42週連続更新ということになります。あと10週やれば、1年間にわたって毎週何かしらを書いて公開できたことになります。まあ、だからなんやねんというのもあるわけですが。 日記に書くことがない  小学生の頃は、よく日記の宿題が出ていました。土日の宿題として出されるので、どこかに家族で出かけたり、兄弟や友達の誕生日のようなイベントがあったり、好きなテレビ番組があったりすれば、そのことを書いていました。しかしそん

          ありがちな「特に書くことがない日の日記」

          雑談、宿泊行事、性的多様性

           何とは言いませんが、宿泊を伴う業務がありました。100名規模の団体での行動でしたので、ちょっと疲労感は残っていますが、無事に終わったので一安心ですね。  宿での夕食は宴会場でのビュッフェ形式でした。宿の方で男女に分かれたテーブル列を用意してくださっていました。  その列を見ながら隣り合った同僚がボソリと「こういう明確な男女別テーブルって、そのうちなくなるような気もしますね。」  実際どうなのでしょう。  こちらから「男女別のテーブルにはしないでください。」と明確に指定す

          雑談、宿泊行事、性的多様性

          授業報告 『やまなし』(光村・小6国語)

           単元が終了に差し掛かっています。校内の先生向けに授業を公開したので、それも併せての報告です。  本単元で目指したのは、「物語を読んで想像し、それを表現すること」でした。一言で言い切ると実に何てことないようなものに見えるのですが、この一文を見て/読んで、教師はかなり自動的にいろいろなものを補完してしまいます。なので、その“勝手に補完しているものを意識する”作業が必要になりますし、意識して自己評価をしていく必要があります。決してこの“何てことないような一文”を素通りすることが

          授業報告 『やまなし』(光村・小6国語)

          苦難の果実は反転する 『レモンの図書室』

           ジョー・コットリル 作 杉田七重 訳『レモンの図書室』(小学館・2018年)を読みました。  近年、レモンを用いた食品や飲料を店頭で見かけることが増えました。酒席でレモンサワーが注文されることも多いように思います。  レモンといえば爽やかな酸味と香り、というイメージが先行しますが、レモンの味を決定づけているのは、実は皮付近に潜む“苦味”なのだそうです。 あらすじ  引っ込み思案な10歳の少女、カリプソは、読書という共通の趣味から転校生のメイと仲良くなります。二人は「一緒

          苦難の果実は反転する 『レモンの図書室』

          夏休み2024を振り返りながら

           仕事のことを考え始めています。というのも、週が明ければ、具体的には8月19日から授業が始まるからです。盆を過ぎた北海道は例年であれば予告なしに秋に突入するので、それくらいから授業が始まっても問題はないわけです。まあ、昨年は8月下旬に猛暑日による2日連続臨時休校があったりもしましたが、今年度の北見市は小中学校にエアコンがあるので大丈夫でしょう。市財政はヤバめですが。  主体性信仰、あるいは「自分ごと」信仰、をぼんやり考えています。  「自分ごと」という言葉。「他人事」「ひと

          夏休み2024を振り返りながら

          君はまだ天然色 「ガールズバンドクライ」

           アニメ「ガールズバンドクライ」を観ました。率直に、またドラムをやりたくなっています。なんだかんだですばるちゃん、楽しそうだったね。  そういうわけで、とても良かったです。  抑圧的な家庭、理不尽な処遇を受けた高校の両方から逃げ出すように、そして自分が“負けていない”こと、“間違っていない”ことを証明するために単身で神奈川県川崎市に乗り込んだ主人公・井芹仁菜。  一人暮らしをして予備校に通い、自力で大学進学を、と意気込む中で、かつての自分を歌で救ってくれた憧れのストリートミ

          君はまだ天然色 「ガールズバンドクライ」

          教材研究覚書 『ぼくのブック・ウーマン』(光村・小6国語)

           2024年度版教科書に初めてお目見えした教材文『ぼくのブック・ウーマン』(作 ヘザー・ヘンソン 訳 藤原 宏之)。1930年代のアメリカに実在した、荷馬(騎馬)図書館員の女性を題材とした物語です。  僻地や辺境に暮らす人々のために、馬に乗って定期的に図書館の本を届ける“ブック・ウーマン”。彼女は物々交換として差し出された品物を固辞し、「空気と同じように」本を届けます。  物語の主人公“カル”は、字が読める=本が読める妹を疎ましく思っていました。自分は、文字が「ニワトリが引

          教材研究覚書 『ぼくのブック・ウーマン』(光村・小6国語)