最新!今後の働き方に関する調査レポート/従業員リサーチナレッジ
新型コロナ感染拡大以降、国からのテレワーク推奨によって大きく変化したビジネスパーソンの「働き方」。働き方の変化による従業員意識を把握するために、「従業員リサーチ」を実施する企業が増加しました。
最近では新型コロナの感染状況がやや落ち着きを見せ始めていますが、「働き方」について、今どのように考えられているのでしょうか。今回は、企業の従業員リサーチやHRを担当する方への参考情報として、リサーチ結果をご紹介したいと思います。
当連載では、企業が従業員向けに実施する調査のナレッジやノウハウをお伝えしてきましたが、前回と今回は少し視点を変えて、みんなのホンネを明らかにする企画をお届けしています。
働き方などの会社の方針を決める際は、従業員の声を聞くことが重要なポイントとなります。今回は世の中のみなさんの声を集めましたが、ぜひあなたの会社の従業員にもリサーチでホンネを確認してみていただきたいと思います。それでは、リサーチ結果を見ていきましょう。
1.リモートワーク希望多数!長く働く人の半数が「ハイブリッド型」勤務を希望!?
この1~2年、新しい働き方を推進する企業が増加しています。Google社はオフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッド」ワークプレイスモデルへの移行を発表し、Amazon社はオフィスへの出勤判断を個々のチームディレクターに委ねる取り組みを発表するなど、柔軟な働き方を推奨しています。
このような中、採用市場では、テレワークの可否が転職者の企業選びの重要項目になっています。エン・ジャパンの調査によると、転職サイト利用者の4割が“テレワークの可否が転職先選びに影響する”と回答しました。(※1)
また、経済産業省も働き手一人ひとりが多様で柔軟な働き方を自由に選択できる社会へ向けた政策検討の意向を示しています。(※2)
このように官民ともに柔軟な働き方を推進する動きの中、東京都内企業のテレワーク実施率に目を向けると、2021年4月は56.6%、新型コロナ感染拡大防止のための行動制限が無くなった2022年4月でも52.1.%と大きな変化はなく、テレワークを継続している企業が一定数存在することが分かります。(※3)
そこで私たちは、最新の働き方に関する調査を実施!今後の希望を自由記述で回答してもらいました。
回答を見ると、テレワークか出社かといった「勤務方法」をあげた人が65%でダントツでした。その他、少ないながらも、時短勤務や好みの時間帯での勤務など「時間」についてが6%、週休3日など「週休」についてが5%でした。
ここからは、回答が多かった「勤務方法」について詳しく見ていきます。
勤務方法についての回答の中では、「リモートワーク希望」という記述が最も多く約41%でした。勤続年数別に細かく見ると、勤続年数が6~10年目、11~20年目は、「リモートワーク希望」よりも、リモートワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型希望」の方が多いことが分かりました。
また、現在の勤務方法別に見ると、現在フルリモートの方は今後もリモートワークを希望、ハイブリッド型の方は、今後も引き続きハイブリッド型を希望が多く、現在出社の方は出社希望よりも、リモートワークやハイブリッド型を希望する割合が多くなりました。
リモートワーク希望者と、ハイブリッド型希望者の自由記述回答をそれぞれ見てみます。
勤続年数が長い人ほど、対面コミュニケーションを大切にし、出社意欲も高いのではないか?と想像した方もいらっしゃったかもしれませんが、幅広い世代がリモートワークを希望していました。
職種によっては、個人の希望を完全に実現することが難しい場合があるかもしれませんが、リサーチを通じて希望やその理由をヒアリングしておくと、会社としてどのような働き方を採用するかを検討する際に活かすことができます。
2.リモートワークと出社勤務の「メリット」とは?
リモートワーク導入希望が多い結果となりましたが、リモートワーク・出社勤務、それぞれにおける「仕事上のメリット」は何なのでしょうか。
■「リモートワーク」のメリット
調査結果を見ると、『通勤時間等の移動時間が削減できること』をメリットと感じているようです。「時間」「通勤」の回答が最も多く、理由は、移動時間がない分、仕事に割く時間を増やせることや、すぐ仕事にとりかかることができて時間を有効活用できる、など。また、通勤がないため通勤ラッシュのような仕事前のストレスがなく仕事に取り組める、といった時間削減以外のメリットを感じている方もいました。
また、『集中して仕事ができる』『自分のペースで仕事ができること』をメリットに感じている人もいました。「集中」「ペース」といった回答も多く、理由は、雑務が減る、周囲の目や雑音を気にしないで済む、人間関係による対人ストレスがなくなる等で、仕事だけに集中できことがポイントになっています。また、時間に縛られず仕事が出来る、納期や求められている内容を達成している限り文句を言われず自分のペースを保てる点にメリットを感じている人もいました。
今後、出社勤務を基本とする方針の企業様の場合は、このような従業員の希望に応えるべく通勤時間を削減する・・・といったは対策は難しいかもしれません。しかし、対人ストレス軽減や職場コミュニケーションを改善する施策の導入、自分のペースで時間を使えるような制度への見直しなどについては検討してみても良いかもしれません。
■「出社勤務」のメリット
出社勤務については、『コミュニケーションが取りやすい』ことをメリットと感じる方が最も多いことが分かりました。「コミュニケーション」という記述が最も多く、「聞く」「確認する」なども挙げられました。対面での会話で、細かいニュアンスが伝わりやすいことや、ちょっとした確認や相談もすぐに済むことを仕事上のメリットとして感じているようです。
また、『集中できる/オンオフのメリハリがつく』、『仕事の環境が整っている』という点もメリットに感じており、出社で仕事モードに切り替わる、オンオフをしっかり区別した方が集中できるといった理由が挙げられました。
3.まとめ
ここまで、働き方に関する調査結果についてご紹介してきました。このように、な従業員の声をキャッチアップする有効な手段として従業員満足度調査等の「従業員リサーチ」があります。
コロナ渦で、新しい働き方を採用した企業も多いと思いますが、それに対する従業員の意見を継続的にアンケートでウォッチし、コロナ後も継続するべきか、改善は必要か、検討する材料にしてみてはいかがでしょうか。また、今後の新しい働き方や施策を検討している場合、従業員へ事前ヒアリングをしても良いでしょう。
新型コロナの感染拡大が落ち着き始めた今、今後の働き方についてどう意思決定するか、また、従業員満足(エンゲージメント)を高めるために従業員の声を定期的にキャッチアップし、状況にあわせて判断していくことの重要性がさらに増していると感じます。
※1:出典:エン・ジャパン株式会社『「コロナ禍のテレワーク」実態調査』(2022年4月13日発表)
※2:出典:経済産業省『多様で柔軟な働き方』
※3:出典:東京都 産業労働局『テレワーク実施率調査』(2022年5月16日発表)
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