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【読書の秋2024】〜 読書のスゝメ 〜

この記事は昨年(2023年)11月5日に投稿した記事を加筆・修正したものです(全文約1,700文字)。

九條です。

錦秋の10月。少しずつ秋めいて参りましたね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

秋の夜長に読書などはいかがでしょうか?

いきなりですが…。

想像してください。ここにひとつの文章があると仮定します。詩でもエッセイでも小説でも伝記でも論文でも…何でも良いと思います。

そこに「何が書いてあるのか」ということは大事だと思いますが、それよりも「その文章によって筆者は何を伝えようとしているのか?」を理解すること、すなわち「文字だけではなくて文字に書かれていないその背景や筆者の心の動きを読み取ること」のほうが、もっともっと大切だと思います。

同じように、誰かが何かを言っているとします。

相手が「何を言っているのか」を理解することは大切ですが、それよりもその相手が「何を伝えようとしているのか?」という相手の気持ちを理解することのほうが、遥かに大切だと思います。

こういったことは、温かい人の心を持った人、すなわち動物としてのヒトではなくて人間としての人にしかできないことであると思います。

文字や言葉には限界があると思います。文字や言葉だけでは伝えきれないことが世の中にはたくさんあります。人の心の動きもそのひとつだと思います。

とくに、非常に大切なことについては敢えて直截的な文字や言葉を用いた表現はせず、遠回しな表現や比喩を用いたり、ときには沈黙をしたりして、相手にその気持ちを伝える(あるいは読者や聞き手に感じ取ってもらう)ということも往々にしてあると思います。仏教の「以心伝心」や「拈華微笑」の喩えはそういった例ですね。

ですから、その文字や言葉についての上辺だけの解釈(何が書いてあるのか、何を言っているのかといった、言葉上だけの解釈)のみにとらわれることなく、その文字や言葉の向こう側にいる相手(筆者・話者あるいはその物語の登場人物など)が、何を伝えようとしているのか、どんな気持ちなのか、そういった相手の心の動きを読み取ること、心の動きを感じ取ることは、人としてとても大切なことであると思います。

それは「相手の立場になる」「人の気持ちを考える」「人の心に寄り添う」「人の心の痛みに共感する」という、人間として人間らしい温かくて柔らかな心、優しい心を育むことに繋がるのではないかと思います。

私は大学の文学部(歴史学/日本史学専攻)の出身なのですが、その一般教養過程の講義のときに教授が以下のようなことを言われていました(要旨)。

よい文章を書こうと思えば、とにかくよい文章をたくさん読んでください。たとえば漱石だとか鴎外だとか芥川だとか、そういった「名作」と言われている文学によく親しんでください。

読書をするのは人間だけです。読書は人の世界観を広げます。視野を大きく広げます。世界観が広がれば、あなた達が持っている自分自身のものの考え方や価値観や世界観とは違った、たくさんの考え方や価値観や世界観に出あうことができます。

そうして読書をすることによって自分自身の視野を広げて、世界を広げて、心を豊かにして、感性を磨いてください。

自己主張ばかりではダメなのです。自己主張などは動物でもしています。人は、人だけが相手の気持ちを考えること、相手の気持になることができるのです。

みなさん、どうか、さまざまな価値観・世界観に出あって、そうして視野を広げて「人間らしい人」として大きく成長してください。


読書の秋ですね。
最後に、読書にまつわる名言を3つ。

あらゆる良書を読むことは、過去数世紀の最高の人々と会話をするようなものだ。

(ルネ・デカルト)

書物の新しいページを1ページ、1ページ読むごとに、私はより豊かに、より強く、より高くなってゆく。

(アントン・チェーホフ)

本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。

(長田 弘)


皆さまがステキな本と廻りあわれますように。^_^


©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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