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幼いわたしを救う。

9月のある日、弟に会いに行った。

母に虐待されてたことを弟に打ち明けたのは
そのときが初めてだった。

中学生までおねしょが止まなかったこと。
おねしょするたひに怒鳴られながら
叩かれて、裸で立たされていたこと。
「恥ずかしい子」と言われてたこと。
同居してた祖母がわたしを助けようとしても、
「子育てに口出してくるな!」と追い払っていたこと。

弟とは5歳年が離れているから、
わたしがそんな目に遭ってるとは全然知らなかった。
母がそんな仕打ちをしてたんやと驚いた様子だった。

と同時に、母をかばう発言もしてきた。

「オカンもストレス溜まってたんやで。
うちの⚪︎⚪︎(甥っ子)も小学生やのにおねしょするんよ。
俺もよく家のおもてに引きずり出すで。
朝も忙しいのにおねしょされる身にもなってよ」

空いた口がふさがらなかった。

ストレスが溜まったら人に乱暴してもいいのか?
辱めを受けさせてもいいのか?
おねしょは気合いで治るものじゃない。
むしろ恐怖にさらされたらもっと悪化する。
病院行けば治るって子どもは知る由もない。
知ったとて、自分だけの意思で病院に行けない。お金もない。
大人が守ってやらないといけないのに、
その大人に乱暴されて、大人は自分を正当化する。
これは他人の目に触れず、家庭という密室で起きている。

わたしは情けなくて悲しくて悔しくて、
自分の身の上を話しながら泣いた。なんならわめいた。

兄弟の中で蔓延してるトラウマに
なすすべがないのかと打ちのめされた。

叩かれるほうは悲惨なトラウマが残る。
叩くほうだって少なからず傷つくんだよ?
どれだけ正当化しても。後悔する。
誰も救われない。絶望に突っ込んでいくだけなんよ。

親の言うこと聞かん子は叩いて当然だという
母に対して、会ったらこう言ってやるつもり。

「お母さんがこれから歳とって、おしっこ漏らすようになったら、
毎回叩いてやるわ!言うこと聞かないんやから。
こっちの手をわずらわせるんやから。
それと同じことをあんたはしてきたんやで」。

今日、弟の奥さんからLINEがあった。
甥っ子を病院に連れて行った、と。
薬をもらって治療してます、と。

それを見てため息と一緒に涙が出た。
弟夫婦はちゃんと考えてくれたんや。

甥っ子のこれまでの傷が癒えるかは分からない。
乱暴してきた親に覚えた恐怖感は神経に残る。
自動的にわきあがる不信感を
払拭して、安心に変えていくには、
これからの親の態度にかかってる。
想像もつかないような時間がかかるかもしれない。

でも、これ以上、傷つかないように
甥っ子を守る一歩を踏んでくれた。

それが今日知れた。

大袈裟かもしれないけど、わたしは
幼い頃の自分に救いの手を差し伸べられたような、
悲しみの中の希望を見たような気がして、
シャワー浴びながら泣いた。

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