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【苦しい】恋愛で寂しさは埋まらない。恋に悩む女性に「心の穴」を自覚させ、自己肯定感を高めるための本:『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(二村ヒトシ)

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恋愛や人生に悩む全女性に読んでもらいたい、「自分で自分を認めて幸せになる」ための指南本

この記事を書いている私は男なので、説得力という意味ではとても弱いと理解していますが、この本は、人生で何かモヤモヤを感じてしまっているすべての女性の救いになり得る1冊だと私は思っています。タイトルや装丁から「恋愛指南本」に見えてしまうでしょうし、実際にそういう内容も多いのですが、決して「恋愛」の話だけではありません。「恋愛を含めた『女性の生き方』が『幸せ』に行き着かない理由は何か?」について書かれている本だと捉えるのがいいと私は思います。

また、知っている方もいるかもしれませんが、「二村ヒトシ」という著者、実はAV監督です。「AV監督が女性向けの生き方指南本を書いている」という時点で、「そんなんあり得ないわー」と手に取りたくなくなるかもしれませんが、是非、一旦その先入観は外してもらいたいと思います。

本書の説明は多岐に渡りますが、まず何よりも、「言葉にするのが非常に難しそうな感覚を絶妙に言語化している」という点に驚かされるのではないかと思います。さらに、本書に書かれてているアドバイスが「すぐに実行できるくらい具体的」であることも特徴だと言っていいでしょう。世の中に存在するアドバイスの類には、「分かってるんだけれど、そんなこと簡単にはできない」と感じるものも多くあるだろうと思います。しかし本書のアドバイスは、「それなら出来るかもしれない」と感じさせるものではないかと感じるのです。

「著者がAV監督」という情報を知ってしまうと、読みたいという気分にはなかなかならないかもしれませんが、「騙されたと思って読んでみてほしい」という定型文でとりあえずオススメをしておこうと思います。

著者は本書を誰に読んでほしいと考えているか

ではまず、ちょっと長いのですが、本書のまえがきに書かれている文章を引用してみましょう。これを読むと、「自分がこの本を読むべきかどうか」の判断の参考になるのではないかと思います。

あなたは「私のことを好きになってくれない人を、好きになっちゃう」とか「向こうから好きだって言ってくれる人は、なぜか、好きになれない」ことが多くありませんか?
「私は自分がキライ……。でも、そんな自分が大好き」って思うこと、ありませんか?
うまくいかない恋愛や、理想的な結婚ができないことや、そもそも出会いがないこと、そして自分を好きだったりキライだったりで心が不安定になることには、理由があります。
それは、あなたが「男運が悪いから」「性格が悪いから」では、ありません。「魅力がないから」でもありません。そういう単純な理由じゃないんです。
そして「あなただけのせい」でもありません。
(中略)
何年か前に、ある有名な女性誌のセックス特集で取材を受けました。内容は「男性を気持ちよくさせて女性も楽しめるテクニックを教えてほしい」というものでした。
とてもまじめに取材してくれて、僕が話したとおり文章にしてくれました。ところが、できあがって送られてきた雑誌を見た僕は「あれっ?なんか変だ」と感じたんです。
僕が話した言葉も含めて、そのセックス特集全体が「男性に飽きられないように、捨てられないために、セックスをがんばろう」という雰囲気になっていたからです。
それって「二人が愛しあって、セックスを楽しんでること」に、なるんでしょうか?
それから僕は、女性向けの「恋愛や結婚やセックスに関する記事」が、なんだか気になるようになりました。
よく読んでみると、そこにはかならず「愛されるファッション」とか「恋する女性は美しい」とか「モテの極意」とかは書いてあるんですが、恋愛の相手を「愛することができる女になろう」とは、どこにも書いていないんです。
(中略)
あなたが苦しいのは、あなたが悪いからではありません。
でも残念ながら、他の誰かが「なんとかしてくれる」わけでも、ありません。
この本では恋の苦しさの秘密をひとつひとつ解きあかして、あなたが幸せを感じられるようになるための手助けをしていきます。
「どうしたら幸せになれるのか」の秘密が、きっと、わかると思います。

いかがでしょうか? 「なんとなく漠然とイメージしていたような方向性」とは異なる印象なんじゃないかと思います。

ここで少し、私自身の話を書こうと思います。この記事を書いている人間がどういうスタンスなのかを理解することも、この記事全体の受け取り方に影響するだろうと考えているからです。

私は基本的に「女性の中にいる方が楽」と感じるタイプの人間です。LGBT的な部分は一切なく、「男性として女性が好き」な人間ですが、その一方で、「男の中にいるとどうもしっくりこない」とも感じます。女性と話している方が感覚的に合うという印象が強く、女性の側もそう思ってくれることが多いのか、女子会に呼ばれる(女性の中に男は私だけという場に声が掛かる)ことも結構あるという感じです。基本的に友人は女友達ばかりで、恋愛関係なく女性と2人で飲みに行きます。

女性との会話の中で、「(自分が男であるという事実は一旦棚に上げて)男ってこういうところが変・おかしい・間違っている」みたいな話をすると、共感してもらえることが多いです。自分ではなんとなく、「感覚が女性寄りなのだ」と考えています。

もちろん、周りの女性がただ私に話を合わせてくれているだけという可能性はあるし、こういうエピソードをどれだけ積み重ねたところでなんの証明にもならないなんてことはわかっているつもりです。ただ、とりあえずこの記事では、「私も男ではあるけれども、男の感覚に違和感を覚えることが多いこともあり、『男ってダメだよね』というスタンスを貫く」と宣言しておきます。「なんだこいつキモッ」と思われた方はここで読むのを止めていただくと良いでしょう。

さて、本書は間違いなく女性向けの本ですが、「男性がこういう視点で読むのもアリ」という主旨の文章もあります。

この本は、恋愛やセックスに悩む女性のための本ですが、そんな女性のことを好きになってしまったマジメで不器用なモテない男性にも、そういう女性たちを苦しませながらセックスをしつづけてきて「そろそろ、そういうの卒業して大人にならないと、自分の人生もヤバい……」と思い始めている不マジメなのにモテる男性にも役立つ本です。

本書は「男性が女性の気持ちを代弁した“つもり”の本」であり、そのことを頭の片隅に入れておく必要はありますが、それでも、「この本に書かれているような女性もいる」と理解して行動することは、男性にとってもプラスになるでしょう。「女性として生きることの困難さ」みたいなものを、男性はなかなか理解できません。私も、自分の周りにいる男性の言動から、「女性に対してその程度の認識・理解しか無いのか」と驚かされることはありますし、そう思う度に「女性が感じる息苦しさみたいなものはまだまだ無くならないのだろう」と実感させられます。

これ以降は、ブログ「ルシルナ」でご覧いただけます

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