宿なし道中【note詩】
立派な立派なカンコウチョウ
壮麗なる城館で
おエライサンが口から風船を
ぷかぷか飛ばす昼下がり
カンコウチョウの城壁から
締め出されたホームレスたちは
ぐるりぐるりと大行進
炊き出しだ ホレ配給だ
わんさか群がると思いきや
礼儀正しく整列し
お堀の周りを進んでいく
粗末な一張羅の彼らだが
無礼になるには
性根が立派すぎるのだ
たとえば毛糸の帽子の彼
大手広告代理店で
データの不正を告発したが
幹部の大きな力によって
全財産を失った
缶詰のサケをむさぼり歩く彼は
カンコウチョウの城館で
お殿様だったお方
指一本の間違いが
大炎上を起こした結果
家族も御膳も失った
お堀の周りをぐるりと囲み
通行人に貰った煙草をふかす彼らは
昨日の権力者かもしれない
明日の聖人かもしれない
列をくずさず和を乱さず
尊厳は捨てない
寒空の下
歌いながらのパレードだ
たこあし
ねこあし
そぞろあし
働けど働けどなおわがくらし
この世は無情
世は情け
昨日のお殿は
今日の友
さぁさぁゆこう、さぁゆこう
ちゃんちゃらおかしいこの世界
せめて誇りを持ちながら
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