「野筆」を携えて飛び出そう! / モンベル x 製硯師(せいけんし)青栁貴史氏の毛筆セット
こんにちは。
アメリカで巨岩たちと過ごして以来、ずっと頭にこびりついてるのが石と、
岩に刻まれた文字、ペトログリフ。私の中に小さな点として存在していた古代文字の存在が大きくなり、ある日夢の中で「硯(すずり)」という文字が浮かび、ガバッと起きた。
(記事「化石の森国立公園(Petrified Forest National Park) / アリゾナ vol.4」)
ああそうか、「石を見る」と書いて硯か。今更ながら気付く。
そして筆で書きたい!と猛烈に思った。小学校以来筆を使ってないし、字はヘタクソだ。でも石に触りたい、石で墨を磨ってみたい。
こうなるとグーッと調べる。辿り着いたのが、昭和14年から浅草で続く書道専門店「宝研堂」の4代目、 硯の製造から修理まで請け負うという製硯師(せいけんし)である青栁貴史氏。
製硯師、なんて端正な響き!石を視て、診て、観る人なのね。
書道の入り口にも立ててないのに、いそいそとお店に向かう。
お堅い世界かと思い、少々身構えて店内に入ったのですが、柔らかでした。何も知らない私が飛び込んで、わー麗し!とはしゃいでも「ご自由にガラスを開けてご覧ください」と。程良い距離感の接客がとても気持ち良かった。
美しいオリジナルの羊毛筆。
昔の羊は毛を取る目的のみだったのでサラリとしていたそうですが、
現在の羊は少々油っぽいそうで。なんだか色々と考えさせられます。
篆刻の石たちも麗し。
古いお道具たちも。落ち着いた美しさを湛えていました。
筆筒の彫刻に魅入られ凝視。じっくり拝見したくて取り出していただいた。
竹や紅木に施された意匠。
鱗のような松に
微細に表現された竹林。
カワイイのがいた。
そして、この空間で購入したかったのが青栁氏監修の「野筆セット」。
文字を書く機会が大幅に減ってしまった今、毛筆文化を蘇らせたいという青栁氏の想いから生まれたのが「野筆セット」。
硯は宮城県石巻市雄勝町産の「玄昌石」、墨は奈良産、程よい弾力があるウサギの毛を使用した筆に、「登竜門」の意味を持つ魚を象った水指し。
簡単にいうと、硯となる石には「鋒鋩(ほうぼう)」と呼ばれる細かい凹凸があって、ここに墨がひっかかって磨れるという仕組み。
磨るって磨くことか。相性の良い硯と墨が磨きあって輝くのね。人と一緒。
小さいながら「本物」が詰まっている。
墨や筆の水分を拭き取るティッシュは水解性原紙を使用。
自らも採石しに山に入り、作業中など普段からモンベルを愛用しているという青栁氏。そんな氏のもとに、モンベルの会長が訪れたのがきっかけで生まれたのが「野筆セット」。
アウトドアブランドに毛筆セットが置かれているのが画期的だと。もっと自由に、もっと伸び伸びと、もっと軽やかに自分を表現できる素晴らしきお供なのね。
川の水で墨を磨ってらっしゃるのが印象的。
字を習うのが習字、自分の感情や個性を字を通して表現するのが書道。なら、毛筆はもっと自由に気楽に自分の想いを綴ることなのね。
これは…もの凄い可能性を秘めていると思う。
私は「野筆」をこれから旅に持っていく。山に登る時も
国立公園のトレイルを歩く時も
ああ、機上での毛筆も素敵!
興奮しながらお店を後にし、
バンダイ本社のアンパンマンに挨拶して帰る。
世界がブワッと広がるね。素晴らしいギアをありがとう!
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