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「バアバからの便り」―詩―

故郷のバアバから
小包が届く
野菜が 沢山詰められている
どれも 畑の泥付きだ

手紙も 入っていた

{坊や 元気にしてますか。
こちらは ジイジもバアバも
カタツムリみたいに
ユルユルと やってます

坊やが 東京の大学に行って
しもうたから 皆な さみしがっとるよ。
犬のチロは いつも坊やの
古いズックぐつといっしょに 寝とる。

うちの畑でとれた 野菜送りました。
この夏は暑すぎて
多くの野菜が 大きく
育たんかったです。

これから 寒さがひどくなる頃
じゃけん、耳当てを編みました。 
一緒におくります。
ちーと 大きいかもしれんです。
使こうてくれたら、うれしいです
眼鏡が よう見えんようになったので
編むのに ちーと 時間 かかりました。

お正月には こっちさぁ
戻って きんさいね。
バアバ ジイジ チロも
まちょーるからね
あんじょーやってーよ}

しやべり 言葉が ツンツンと 並ぶ
不器用で 暖かい 手紙の 文面
所々には 誤字もポツポツ。

小包のなかには
大根、白菜 ほうれん草
にんじん、レンコンと
色々な 野菜たちがいた
どれも 顔を光らせ 挨拶してくる

これ 一人でたべきれるかなぁ・・

野菜と 手紙からは
故郷の 匂いが 溢れかえる
懐かしさが 胸にいっぱいに
しみわたり 思わず
電話機を 手に取った

ベルがなり
電話口から 岡山の声が 流れてくる
ボクは 何も言えずに
胸を熱くして 受話器を 握って聞いている

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立山 剣
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