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「ボク 帰りたいな」-詩―
窓の外で 風鈴が 鳴っている
夏から 吊るされたままだ
季節外れの 音色で
北風に身を託して 歌ってる
ふるさと 軒下の風鈴は
風邪ひいて ないかなぁ
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バアバは 今ごろ
野良着姿で 台所で
畑で取れた 大根を
洗っているかな・・
ジイジは 縁側に 腰かけて
焦点が 合わなくなった
眼鏡をかけて しかめ面で
新聞を 読み返してるかな・・
ああ ふるさとへ 帰りたいな
古びたバスは ガタガタと
バス停で 止まる
大きな荷物を 抱えて
バスを 降りれば
近くの里山の 欅の木は
枝を揺らして 会釈。
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冬風は 葉を落とした
裏山の 香りを バラまいてくれる
カサコソと 落ち葉の
つぶやきも 聞こえる
「どげん しとりん さった?」
隣家の おばあさんが
シワシワの笑顔で
歯の少なくなった 口を開けて
歓迎して くれる
少し みないうちに
年の苦労が 体によりそってる
愛犬の チロは
何度も高く 跳び上がり
「おかえり!! おかえり!!」と
全身で 嬉しさを ぶつけてくれる
なくした時間を ポケットに詰め込んで
迷いながら ひたすら 歩いてきた
そして いつの間にか
都会の 迷い人の一人に なった
ああ ふるさとへ また 帰りたいな
ずっと 変わらない 自分が
今も ふるさとには
どこかに ひっそりと
住んでいるかもしれない
(2022年作品のリライトです)
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