「月に手を振る」詩―シロクマ文芸部「月の色」参加作品
川沿いの 桜並木は 黄色い葉が
道の上に 積もりだし
秋が ひっそりと
落ち葉集めを 始めたようだ
坊やは バアバに手を繋がれて
川辺の道を やんわりと 歩く
空の 十六夜月は
バアバと坊やの 二人ボッチ影を
ぼんやりと 作ってる
「今夜の月の色は カステラ色だ」
バアバは ポツリとつぶやく
「坊やが大好きな お菓子の色!
バアバ また 買ってね」と坊や
バアバは フッと笑みをうかべ
ため息をつくと
坊やの手を 強く握り
遠い目をして
月を仰ぎ 一人語りを始めた
「バアバが まだ こんまい頃
お月さまを 見上げてると
幾つかの 黒い飛行機の影が
お月さまの前を 編隊組んで
飛んで 行ったんよ
一緒にいた 父様にきくと
お国のために 南へと
飛んでいくと おっしゃってた
父さまは いつも飛行機に
両手を 振って 見送っていらした
バアバも まねして 手をふった」
バアバは 首を振りつつ つぶやく
「どうして 手を振ったの?」と坊や
バアバは それに答えず
「坊やの時代には、もう あんな風に お月さまに
二度と 手を振る日が 来んければいいわねぇ」
それを聞いていた お月さまは 微笑んで
カステラ色が 黄金を織り交ぜた色に変わり
キラリと輝いた気がした
小牧幸助さんのシロクマ文芸部 お題「月の色」の
企画に参加させていただきました。小牧さん
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